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日経記事;『東芝、究極の安全通信 量子暗号で実用化へ』に関する考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月31日付の日経新聞に、『東芝、究極の安全通信 量子暗号で実用化へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は「理論上破られない」究極の暗号とされる量子暗号通信の実用化にめどをつけた。一般回線を使った量子暗号通信の実証実験や、同時に複数の拠点と情報をやり取りすることに成功し、インターネットでの活用にも道を開いた。

東芝は5年後をめどに実用化する。光回線の情報を「盗聴」するなど、巧妙さと悪質さを増しているサイバー攻撃への対策に役立てる。

量子暗号通信は暗号処理を施したデータとその暗号を解く鍵を、光ファイバーを通る極小の光に載せてやり取りする。

部外者が不正に情報を盗もうとすると、光に変化が生じて暗号鍵が壊れ、データを解読できなくなる。不正アクセスも「量子力学の原理により100%判明する」(東芝研究開発センター)という。

東芝は英ケンブリッジ大学と協力し、量子暗号通信の実用化に向けた技術開発を進めている。このほど英通信大手BTグループの商業用光通信網で、他に多数の利用者がいる状態でも量子暗号を使えることを確認した。これまでは研究施設の専用回線を使い、限定された環境での通信だった。

また、量子暗号を使い64カ所の拠点から1カ所に専用線経由で同時にデータを集約する技術を世界で初めて確立した。複数の拠点とのやり取りでは光の制御が難しく、従来は1対1の通信しかできなかった。グローバル企業が顧客情報を海外拠点から本社に安全に集めることも可能になる。

将来、1つの拠点から複数の拠点にデータを送る逆方向の通信が可能になれば、提携する大手企業間で最先端の情報を安全に共有するといった使い方も想定される。一般回線で複数拠点と通信できれば、インターネット上で量子暗号通信を使うこともできそうだ。

東芝は5年後の実用化を目指す。機密情報や個人情報などを扱う官公庁や医療機関での利用が想定され、並行して事業化領域の選定も進める。

量子暗号通信の利用には光回線網のほか、光を適切に検出して管理する専用装置が送信側と受信側のそれぞれに必要になる。専用装置は現時点で1台あたり1千万円を超えるとされ、価格の引き下げも実用化に向けた大きな課題となる。

通信速度の向上も課題の一つ。東芝は毎秒1メガ(メガは100万)ビットと、量子暗号を使った情報のやり取りで世界最速の技術を持つが、現行の速度で大容量のデータをやり取りすることは難しい。

量子暗号通信はNTTや三菱電機なども研究開発に取り組んでいる。』


「量子暗号通信」は、日経新聞では以下のように定義されています。

「量子力学に基づく量子暗号のこと。量子暗号で使う光の粒はのぞき見ようとすると、物理学的な性質が壊れる。この性質を暗号技術に利用すると、第三者が盗聴すると鍵が壊れてしまい、送信者と受信者だけがわかる。その鍵を使わなければ解読されることはない。原理的に盗聴が不可能なため「究極の暗号」と呼ばれる。」

現在、ほぼすべてのビジネスや各種社会活動に、インターネットやITが使われていると言っても過言ではありません。

インターネットやITが積極的に活用されるのは、利便性が高いことによります。一旦、インターネットやITの利便性を経験しますと、後戻りできない状況になります。

インターネットやITが積極的に活用されるもう一つの要因は、経済性・効率性の良さにあります。
これらの理由により、インターネットやITは社会インフラとして大きな存在感をもっており、ますますその重要性が高まっています。

インターネットやITの利用で、利便性や効率性が高まる一方、深刻な状況になっているのは、通信回線やWebサイト、サーバーなどへの不正アクセスです。

不正アクセスのやり方も巧妙化、かつ、大規模化しており、いったん、その被害にあうと深刻な事態に直面します。

たとえば、Webサイトへの不正アクセスを防ぐには、使用しているOSやアプリケーションソフトを最新のものにしておく、高度なセキュリティソフトウエアを使うなどの方法があります。

しかし、現時点ではこれらの防護策をもってしても不正アクセスを根絶できません。不正アクセスをする側が、明確な意図をもってセキュリティシステムをかいくぐる方法を常に進化させ、実行していることによります。

本日の記事は、不正アクセスを防御する一つの道すじを与えています。それは、光ケーブル網(光回線)を使う通信について、当該内容を不正アクセスからから完全に守る仕組みの実用化に目処をつけたことによります。

今までも、限られた環境下で、1対1の光回線による通信内容が、量子暗号の仕組み利用により不正アクセスから守られることは実証されていました。

今回、東芝は、この量子暗号の実用化を一歩進めました。それは、下記二つの理由によります。

・1対1ではなく、64カ所の拠点から1カ所に専用線経由で同時にデータを集約する技術(1体n)を確立した。

・研究施設の専用回線ではなく、一般的な商業用光通信網、つまりインターネット回線で成功した。

上記二つのことは、量子暗号の仕組みを実用的な領域に近づける大きなエポックメイキングになります。

一方、量子暗号を導入するには、情報の送信側と受信側の双方で光情報を扱う専用装置の設置が必要になります。本日の記事では、当該専用装置の販売価格が1千万円以上とのことであり、価格低下を行う必要があります。

また、現行の通信速度では大容量のデータをやり取りすることは難しい、とされます。

量子暗号技術は、まだ実用化の一歩手前にありますが、今回の東芝の成功は非常に大きな一歩を進めることになったと確信します。

専用装置の価格や通信速度などの課題は、技術の進歩が解決します。東芝は、2020年ごろに実用的な量子暗号の仕組みを提供する計画をもっています。

病院同士や大手企業間、政府や行政機関間などでの個人情報を含む重要かつ機密情報・データのやり取りに活用されることになります。

さらに、専用装置の販売価格が低下していけば、中小企業や個人でも使用されることになります。

量子暗号の仕組みが、安全・安心なインターネット環境を支えるインフラの一つになることは確実です。

国内企業が、このインターネットやITに関する光回線による通信インフラの中で、量子暗号に基づく安全性を担保できれば、世界市場で大きな需要を獲得します。

国内企業では、東芝以外にNTTや三菱電機なども量子暗号の実用化に取り組んでいるとのこと。国内企業が切磋琢磨して、最先端技術による量子暗号の実用化に成功しますと、関連技術やアプリケーションソフトなどの分野で、ベンチャーや中小企業にも大きな新規事業機会が生まれます。

上記視点から、今後の量子暗号と東芝、NTT、三菱電機などの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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