- 吉野 充巨
- オフィスマイエフ・ピー 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:投資相談
- 大山 充
- (シニア・エグゼクティブ・アドバイザー)
- 大山 充
- (シニア・エグゼクティブ・アドバイザー)
前回は、新ファミリー一族の一代目として、二代目やお孫さんに受け継がれる、長期投資の考え方を説明いたしました。また、時代に受け継ぐべき資産の例を紹介しております。
ところで、資産を残す場合のメジャーは、インフレ率等物価上昇に耐えうるものでなければ、なりません。
下図は、一代目が生まれた、1945年を起点とする食料品価格指数の推移です。資料は日本銀行の検索・グラフ化システムを使用しています。灰色の網掛けは景気後退期です。
戦後すぐに物価は高騰、1950年から1970年まではなだらかに上昇そして、高度成長の真っただ中の、1970年から1980年の10年間で約2.5倍になり、その後の長期間、デフレにより横ばいでした。しかしながら、1950年から2013年としてみると、食料品価格は5.75倍になっています。年間約2.8%の上昇率です。現在阿部政権が目標としている2.0%よりはかなり高いのです。
新ファミリー・一族が目指すリターンはコスト含み2~3%(幾何平均収益率)が見込める資産・銘柄が対象となると考えます。当然この間にもフローとして各自の収入が入ります。資産の活用よりも、維持の点であまりに高いターゲットを狙いますと、リスクも大きくなり元本が毀損する可能性が高くなりますから、無理は禁物と思います。
ところで、超長期に耐える資産としてすぐ浮かぶのは、不動産と金かと思います。
不動産として、過去のデータを引いてみますと、たいへん古いのですが、内閣府の公表出たとして1980年から2003年まで23年間公示地価の推移が掲載されていました。
ピークのバブル時と崩壊後10年の価格ですので、右肩下がりは致し方ありませんが、地価も下がるという例として、掲示いたします。
また、同時期の利益率にも着目ください、不動産を持てば何とかなるという誤解が解ける事例と思います。
日本の不動産バブル崩壊による景気後退は1991年~1993年でした。その後8年経っても利益率は長期国債の利回りに届いません。
では、金はどのようになっているのかを見たのが下図です。
グラフは、ロンドン金価格(米ドル表示/トロイオンス)の年間平均と高値・安値の3線推移です。1973年から2013年の推移です。この間に約14.5になっていますから、平均では6.85%のリターンがあったことに為りますが、手数料と保管コストを含んでいませんので、実際は居少し割り引いて考える必要があります。
現物の不動産よりもREITを保有しておいて、それを残すという選択肢の方が、次代に残すという観点からは、相応しいと思われます。REITであれば、インフレにも対応します。
ただし、長期間の停滞もあることを忘れないでください。また、保管コストは貸金庫等がかかります
企業への投資という観点で、株式に投資したらどうかと申しますと、
イボットソン アソシエイツ ジャパンのデータでは1969年12月から2013年12月までの44年間の平均returnはコストを含まずに6.2%です(東証一部時価総額加重平均収益率)。
このこと自体で企業の株を残すのは、可ということにはなりません。何故ならば、東証一部全体を一つの銘柄として、測っているからです。個別株を保有・承継した場合には、此の収益率よりも良くなる場合もありますし、悪くなる場合もあります。
日経ビジネスの記事によれば、日本企業の盛時は30年で、それ以降は下降するといわれています。従いまして、個別株を残す場合には余程の吟味が必要かと存じます。
個別株を保有し残した場合は企業の永続性も大きなリスクになります。
良く言われることは、会社を起業して3日、3月、3年という危機があり、そこでダウン=廃業するものが多く、10年経てば老舗といわれるとの格言があります。
ある企業統計によると、100年以上の老舗は約20,000社、内200年以上が1,200社、300年以上が400社、500年以上が30社、1,000年以上7社とされています。私が受け継いだ企業も92年で閉めています。
100年以上の老舗企業は日本がダントツで世界でもまれな国とされています。
上記を避けるには、データは東証一部加重平均ですので、例えば、TOPIXに連動する上場投資信託(ETF)を保有するという手もあります。この場合には、市場の平均returnでで次代に引き継ぐことが出来ます。
また、同期間の海外株式(MSCIコクサイ:グロス円ベース)のリターンはコスト抜きで7.1%
でした。こちらも個別企業の栄枯盛衰は不確実ですので、指数に連動するETFを保有するという手があります。
皆様も御存じのとおり、債券は償還期限があります、従って、残期間が問題になります。永久債を購入しておいて引き継ぐという手もありますが、インフレには弱く、お勧めできません。また、日本では手に入りにくく、こちらも、国内債券のパフォーマンス指数のNBP指数に連動する投資信託や、シティ世界国際指数に連動するインデックス投信などが適していると考えています。
新ファミリー・一族は私の造語で、昭和20年生まれを初代とする一家(ファミリー)を指します。その属性は、下記の図に示す通りで、ほぼ準富裕層以上の世帯相当になります。
文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨
【保有資格】
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー
宅地建物取引主任者 (東京)第188140号
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー&登録講師
ホームページアドレス
http://www.officemyfp.com/
独立系顧問料制アドバイザーとは
http://profile.allabout.co.jp/w/c-64005/
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/12298/
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『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
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