日経記事;『GE、選択と集中徹底 家電売却へ欧州大手と交渉 創業事業よりインフラ』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『GE、選択と集中徹底 家電売却へ欧州大手と交渉 創業事業よりインフラ』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月16日付の日経新聞に、『GE、選択と集中徹底 家電売却へ欧州大手と交渉 創業事業よりインフラ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米ゼネラル・エレクトリック(GE)が家電事業売却に向け欧州家電最大手のエレクトロラックス(スウェーデン)と交渉していることが14日、明らかになった。同事業には創業者の一人であるトーマス・エジソンが発明した照明も含む。

株価低迷が続くなか、創業事業でさえ売却する姿勢を示し、選択と集中の徹底を投資家にアピールする狙いとみられる。

GEはエネルギー・インフラ事業に注力している。

エレクトロラックスが同日、GEと家電事業の買収を巡り交渉していることを発表した。米メディアは7月中旬、GEの家電事業売却に向け複数社と交渉しているとの観測を報じており、別の企業とも交渉している可能性がある。

GEの家電事業は冷蔵庫、洗濯機や食器洗浄機など白物家電が中心で、主に北米市場で事業を展開している。2013年12月期で家電事業の営業利益は約400億円。売上高営業利益率は4.5%と航空機エンジン(同約20%)やオイル&ガス(同約13%)などと比較して見劣りしていた。

GEは6月、激しい争奪戦の末、アルストムのガスタービン事業買収などで合意した。一方で北米の消費者金融事業の新規株式公開(IPO)の作業を進めるなど、業績変動の大きいビジネスから距離を置き、強みを持つインフラ関連への経営資源のシフトを加速していた。

ただ、こうした取り組みにもかかわらず、株価はさえない。年初から14日終値までS&P500種平均が約5%上昇しているのに対し、GE株は約7%安。収益性が低く注力事業との相乗効果も薄い家電事業の改革を市場から迫られる環境でもあった。

今後、交渉がGEの期待する条件で進むかは不透明な面もある。家電事業は赤字に陥っているわけではなく、引き続き保有する可能性も残っている。

GEのジェフ・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)はかねて「事業ポートフォリオは常に見直していく」と公言。トップ就任からの13年間に、プラスチック、放送や保険などの事業を切り離してきた。

家電事業を売却しても収益へのインパクトは限定的とみられるが、創業事業だけにこれまでにはない重い決断を迫られそうだ。』


本日の記事は、米GEの家電事業分野のリストラについて書いています。家電事業は、GE創業時の主力です。

もしGEがこの家電事業を他社に売却すると、GEの文化自体を変えるインパクトがあります。しかし、この家電事業分野が、将来的に汎用化が進み、収益拡大を図れないと判断されると、条件が折り合えば売却される可能性があります。

GEがどのような決断をするか、現時点では不明ですが、今後の対応に注目していきます。GEが家電事業を売却した場合、現在の収益ではなく、将来の収益性を見通しての決断であり、国内電機メーカーは大いに参考にすべきと考えます。

さて、私が中小製造事業者から、リストラの相談を受けたときに、参考情報として提示する事例があります。事例の対象にするのは、米IBMと蘭フィリップスです。GEが上記決断しますと、GEも参考事例に加えます。

IBMとフィリップスの両社とも、国内電機メーカーが実施する前から、集中と選択を行いました。私の理解が正しければ両社とも、当該事業分野の営業利益に相当する金額の現状と将来性を予想して、収益拡大を図れないものを手放すことを実現してきました。

両社とも、営業利益の拡大を図れない事業分野は、現在の主力事業であっても、合理化しました。
米IBMの場合、パソコン事業が対象になりました。フィリップスは、家電事業分野を対象としました。

IBMは、決断当時、パソコン事業の将来性を見渡して、今後、汎用化が進んで価格競争に陥ると予測して、中国メーカーに売却しました。

IBMは、このとき、ソフトウエアを中核とする企業になることを決断しました。IBMがパソコン事業を手放したのは、パソコンは当時から水平分業の事業モデルで開発・設計・製造のプロセスが成り立っていました。

パソコンは、部品を調達すれば、誰でも簡単にパソコンを作れます。これを企業が行うと、各企業が製品の開発・設計・製造の各分野を、専門事業化して強みを出して特化することになります。これを水平分業と言います。

水平分業の形で開発・事業化されるのは、パソコンから始まって、スマホやタブレット端末に広がっています。

どの製品カテゴリーも、汎用化が進んでいます。パソコンだけでなく、スマホも価格破壊が進んでいます。

価格破壊は、中国やインドから低価格製品が提供されていることによります。スマホもパソコンと同じように、低価格部品を調達して、EMSに委託すれば、低コストで製造・供給されます。

中国やインド製の格安スマホが急速普及しています東南アジアでは、アップルやサムスンの売上が伸び悩んでいます。

格安スマホを使用する顧客は、それなりの機能や性能に満足しており、最低限、Webサイトを見れたり、LineなどのSNSやeメールをやり取りできれば満足しています。顧客は、壊れたら買い直せばよいと割り切っています。

IBMは、パソコンに対して上記のような見通しをもって、事業売却を決めました。

フィリップスは、家電事業が創業当時からの主力事業であったにもかかわらず、2000年代後半から採算悪化に直面しました。

その結果、不採算部門であった家電や半導体事業を売却したり、本体事業から分離する大型のリストラを行いました。リストラした事業分野は、汎用化して収益確保ができないものでした。

フィリップスは、当該大型リストラ後の、主力事業を下記の四つの分野としました。現在、フィリップスの業績は回復しています。
・若い家族向けの取り組み「Nurturing」
・家庭でのヘルスケアや健康的なライフスタイルへの取り組み「Enjoying」
・先進医療への取り組み「Healing」
・次世代照明による生活向上や都市再生への取り組み「Living」

さらに、2013年6月に社名を変更し、社名からエレクトロニクスを外しました。これは、家電分野などの総合電機メーカーとの決別を宣言したとみています。

国内企業では、日立製作所や東芝が総合電機メーカーの看板を外して、集中と選択を進めて、環境・エネルギー・ITを軸とした企業に変わりつあります。

パナソニックも、総合家電メーカーから、環境・エネルギーを核とした業務用途や自動車用途などの事業分野に軸足を移しています。家電事業では、比較的価格競争に巻き込まれにくい白物家電を中心に事業しています。


一方、ソニーは、スマホ事業が中国を中心とする低価格スマホの提供メーカーからの影響を受けて、今期の予想販売台数が当初予算通りに達成できないと、最近発表しました。

スマホは、上記しましたように、今後とも低価格商品が出されていきますので、価格競争におちいる事業分野になることは十分考えられます。

ソニーがスマホに経営資源をかけることが、有効かどうか早期に結論を出して、ソニー全体の収益悪化を防ぐ手段の構築・実現を早期に行うよう期待します。

ソニーにとって、家電を主力事業とする必要はなく、どの家電分野も汎用化が進んで収益確保ができないと見込めば、早期に撤退することが重要になります。

最近、ソニーは、自動車用途のセンサーデバイス提供事業に参入することを表明しました。センサーデバイスは、自動車の部分的な自動ブレーキなどの重要な安全機能で、「眼」としての役割を果たします。

ソニーの「眼」としてのセンサーデバイス、CMOS技術や製品は他社を圧倒しています。スマホの普及で、デジタルカメラ市場が縮小していくのは明確です。

しかし、ソニーのCMOSセンサーデバイスは、多くのスマホメーカーに採用されています。このセンサーデバイスが多くの自動車の「眼」として採用されると、巨大市場が生まれます。

ソニーがこのCMOSセンサーデバイスをIoT化して、ネット上で映像情報をやり取りできるようにする。さらに、画像処理技術であるアルゴリズムを進化させて、高速で高画質な映像をネット上でやり取りできる仕組みを開発・実用化すれば、大きな収益基盤を作れます。

CMOSセンサーデバイスは、「眼」として自動車だけでなく、ロボットや小型飛行機やヘリコプターなどにも搭載可能です。

ソニーには、既存の家電事業を基盤としない、新しい事業分野の早期確立を期待します。フィリップスの動きは、大いに参考になります。

ソニーのネットを活用した金融や保険事業は、成功しています。最近、ソニーはネットによる不動産事業への参入を表明しました。今後の動きに注目していきます。

インターネットやITがさらに進化していく事業環境下では、変化が早く、他社との差別化・差異化が難しい分野は、あっという間に汎用化して価格競争に陥ります。既存の家電事業がその一例になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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