日経記事;『日米間の光回線、容量4倍 グーグルやKDDI 通信増のアジアと接続』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日米間の光回線、容量4倍 グーグルやKDDI 通信増のアジアと接続』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月10日付の日経新聞に、『日米間の光回線、容量4倍 グーグルやKDDI 通信増のアジアと接続』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米グーグルはKDDIなど通信会社と共同で日米を結ぶ大規模な光海底ケーブルを敷設する。2016年夏にも利用を始める。日米間の通信容量は現在の4倍となり、情報量の多い動画も円滑にやり取りできる。

日本をアジアと北米の中継地と位置付け、スマートフォン(スマホ)の普及に伴うアジアの通信需要の拡大に対応する。

新たに敷設する光ケーブルの通信容量は毎秒60テラ(テラは1兆)ビット。ハイビジョン動画を同時に750万人が視聴できる規模だ。

約9千キロメートル離れた米西海岸と千葉県のKDDIの拠点を結び、さらにアジア各国に延びる通信網と接続する。総事業費は3億ドル(約310億円)の見通しで、中国やシンガポールなどの通信会社と共同で負担する。

国際電気通信連合(ITU)によると、アジア太平洋の13年のネット利用人口は約12億人。5年間で倍増し、世界の45%に達した。

スマホの普及に伴いネットで動画を視聴する消費者が増えている一方、動画サイトなどのサービスは米国に拠点を置くことが多い。

北米ではすでにインターネット通信の容量の3割強を動画配信サービスの米ネットフリックス、約1割をグーグル傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」が占める。

今後、フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ「4K」などさらに情報量の多い動画の普及も見込まれる。グーグルなどは北米とアジアを結ぶ基幹回線として、日米間の海底ケーブルを大幅に増強。アジアの消費者は米国の動画サービスを円滑に視聴し、共有もしやすくなる。

調査会社の米テレジオグラフィーによると、13年の海底ケーブルの太平洋間の通信容量は毎秒19.5テラビットで前年比46%増だった。一方、大西洋間は同33%増の毎秒27.1テラビット。一気に容量を4倍に引き上げることで、太平洋間の容量が大西洋間を上回る可能性がある。

グーグルは従来、通信会社から回線を借りてネット検索や動画サイトなどのサービスを提供してきた。動画の視聴拡大などで通信量が急増しており、海底ケーブルで実績のあるKDDIなどとインフラを整備。自社のサービスの品質を高める。

アジアでも交流サイト(SNS)の米フェイスブックがNTTコミュニケーションズや韓国KTなどが進める光海底ケーブルの敷設に参画する。』


何度か本ブログ・コラムで述べていますように、ASEAN域内では、中国やインドメーカーの格安スマホが飛ぶように売れています。

域内政府が日本と同じような光ケーブルの敷設を行う前に、スマホの急速普及で、一気にブロードバンド環境が作られつつあります。

光ケーブルが敷設されていない国では、衛星通信などがインターネットのインフラを支えています。しかし、現在のインフラでは、通信速度が遅く、かつ、動画などの大容量データ・ファイルのやり取りが出来難い状態にあります。

そこで、日本や米国の通信事業者やメーカーなどが、積極的にASEANと日本・米国間、あるいはASEAN域内で光ケーブル敷設工事を加速しています。

本日の記事は、グーグルが初めてKDDIと連携して、日本と米国間の光ケーブル網を拡大することについて書いています。

グーグルが通信網の投資に動くのは、スマホでやり取りされる高画質動画や静止画像・音楽などの高付加価値コンテンツをストレスなしに通す「土管」を自らの手で確保しようとする施策を取ることによります。

今までグーグルは、通信回線を通信事業者から借りていました。このやり方を変更して、自ら通信事業者になって当該インフラを自前でもつやり方を採用したことになります。

米シスコシステムズの調査結果によると、世界のネット上を流れるデータ量は2017年に12年の3倍に膨らむ、ASEANと中国を含むアジア太平洋地域は年率26%で増え、16年には月間約35.4エクサバイト(DVD90億枚分)と北米を抜き首位になるとされます。

アジア地域でデータ量が増えるのは、上記するスマホの急速普及に加えて、株などの金融取引が超高速で行われるシンガポールや香港での社会インフラ整備需要が強いことによります。

日経記事によると、「アジアでのITインフラ需要は20年までの10年間で1兆ドル(約100兆円)との試算もある」とのこと。

KDDIやNTTコミュニケーションズなどの通信事業者や、NECなどの国内大手通信関連メーカーにとっては、ASEANやアジア域内で光ケーブル網の敷設事業は、大きな新規需要になります。

また、今回のグーグルの動きは、アマゾン、マイクロソフト、IBM、DELLなどの他の大手ITベンダーを刺激して、同じように自前の「土管」確保に動き可能性があります。

国内勢は、日本でほぼ完璧な光ケーブル網敷設の実績と高い信頼性がありますので、新規受注の可能性が高くなります。

ASEAN域内でのインターネットインフラを支えるもう一つのものは、データセンター;クラウドサービスです。

現在、クラウドサービスに対する需要は急増しています。クラウドは、企業や行政機関などが自前でサーバーをもたないで、パソコン、スマホやタブレット端末とインターネット接続環境があれば、活用できる仕組みです。

低額な投資コスト維持運営費を武器にクラウドサービス事業は、拡大しています。クラウドサービスを支えるインフラがデータセンターになります。

国内勢では、KDDIやNTTコミュニケーションズなどの通信事業者、NECや日立製作所などの通信関連メーカー、IIJなどのクラウドサービス事業者などが活発にASEAN域内や香港でデータセンターを新規稼働させています。

データセンター事業のポイントは、高い信頼性と高速処理にあります。高い信頼性には、サーバーの性能、セキュリティ、地政学的なリスクの排除などが含まれます。

サーバーの性能やセキュリティシステムは、技術的課題であり、地政学的リスクは、データセンターの設置場所に関係します。

政治的・社会的に不安要因がある国や地域にある、データセンターを活用しないほうが安全です。
たとえば、香港には多くのデータセンターが設置されています。香港にあるデータセンター活用は、中国の対香港政策の動きを注視する必要があります。中国政府は、必要があれば、香港の現体制を瞬時に変えてしまう可能性があることによります。

データセンターは、日本やシンガポール、マレーシアなどのASEAN域内に設置した方が政治的・地政学的リスクが低減されます。

ASEAN域内に光ケーブル網やデータセンターが設置されますと、日本や米国内で行っているインターネット関連事業の展開が容易になります。

パソコン、スマホやタブレット端末の普及で、インターネットの出口が増えていますので、BtoCおよびBtoBの両タイプの事業で、ネットやITの活用がさらに高まります。

国内製造事業者やサービス事業者は、インターネットを活用したさまざまタイプのネット通販事業を拡大して、ASEAN域内の成長需要を取り込んだ形での事業展開が可能になります。

現在、多くの製造事業者が取り組み始めているIoTもASEAN域内で加速されます。これは、IoTを支える通信回線やデータ処理施設の社会インフラが強化・拡充されることによります。

IoTを支える各種センサーデバイスや無線LANチップなどに対する需要も高まります。同時に、各種関連アプリケーションソフトウエアに対する需要も拡大します。

このように、ASEANに対する光ケーブル網の敷設とデータセンター設置の拡大は、インターネットやITの活用機会の急増につながりますので、国内ITベンダーにとって大きな新規事業機会が生まれます。

すでに多くのITベンダーがASEAN域内での事業展開に関心をもって活動しています。私に対するアドバイス相談依頼も増えています。

これから、差別化・差異化可能な技術やノウハウをもっている国内ITベンダーがASEANに進出して活躍することを期待します。

今後もASEAN域内での、インターネットやIT関連の動きや国内ITベンダーの事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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