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日経記事『そこが知りたい東南ア市場の今後 丸紅社長 国分文也氏に聞く 食料/医療にも成長性』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

8月3日付の日経新聞に、『そこが知りたい東南ア市場の今後 丸紅社長 国分文也氏に聞く 食料/医療にも成長性』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中国に続く日本企業の投資先として存在感が増す東南アジア。生産拠点と消費市場の両面で各社の期待感は大きいが、タイの軍事クーデターやインドネシアで強まる保護主義政策など、政治リスクも一部で表面化している。日本企業は今後、東南アジア投資をどう進めていくべきか。丸紅の国分文也社長に聞いた。


――東南アジア市場の今後の成長を、どのように予想していますか。

「国ごとに違いはあるが、全体では相当伸びる。特にタイやフィリピン、インドネシアが期待できる。都市鉄道や電力などインフラ需要はもちろん、食料や医療分野の成長性も無視できない。

エネルギーでは今後需要が拡大する液化天然ガス(LNG)事業に注目している。ガスの搬出から搬入という一連の流れのなかで、様々な商機がある」


――タイやインドネシアに加え、南シナ海を巡る領有権問題で中国と対立したベトナムなど、政治リスクが表面化しています。

「企業が撤退するほどの状況にはならないと考えている。タイは治安が安定しており、中東やウクライナなどの危機度の高さとは意味合いが違う。ベトナムは一部の日系企業が直接被害を受けたが、大きな方向性としては周辺国と協調し、安定成長に向かうだろう」

「保護主義の強まりは世界的な流れだが、インドネシアは総選挙を意識したアピール合戦の側面があった。(一部の外資が投資を引き揚げた)ベネズエラのように極端な保護主義政策を進めても、成長はできないと認識しているはずだ」


――「脱中国」の動きは本格化していきますか。

「中国は無視できない国だが、事業環境は難しい。人件費は上昇しており、製造業の投資が中国一辺倒となる傾向は弱まるだろう」


――東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体の創設や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などは市場にどんな影響を与えますか。


「ASEAN共同体は単一市場の誕生といえば画期的だが、実際は国ごとに文化や法制度が違い、一筋縄ではいかない。一方でRCEPのように地域を越えた国際分業はビジネスチャンスの拡大につながる。商取引のルールが透明化される可能性に期待している」


――丸紅は東南アジア市場をどう攻めますか。

「東南アジアには海外駐在員の2割強に当たる約200人を配置しているが、見合うだけの利益をあげられていない。電力や交通は強いが、食品や自動車の分野はまだ手薄だ。ここで事業の核をつくりたい。インドネシアの二輪車販売金融やシンガポールの保険事業など、芽は出つつある」


聞き手から一言 最適な進出先を見極める力、必要

「タイ+1」という言葉をよく聞くようになった。東南アジア諸国連合(ASEAN)の製造業の中心地タイで人件費が上昇するなか、ミャンマーやカンボジア、ラオスなど周辺国にサプライチェーン(供給網)を広げる考え方だ。

しかし現実は厳しい。カンボジアなどの国境付近では、働き手が賃金の高いタイに流出。企業は人手不足に悩む。ASEAN経済共同体が創設されれば、人手不足感は一段と高まりそうだ。各社は今後、業種や規模に応じて最も適した進出先を見極める力が一段と必要になる。』


本日の記事は、丸紅社長が東南アジア市場に対してもっている理解や認識、今後の対応などについてインタビュー形式で書かれています。この丸紅社長の認識内容は、概ね他企業も共有できるものと考えます。

東南アジアをASEANと同じものとして考えますと、私の場合、以下の認識をもっています。

1.ASEANは、域内全体の人口は、6億人であり、総じて15歳から64歳までの生産年齢人口が増加している。

2.ASEANを構成する国ごとの経済状況は、さまざまであり、先進国であるシンガポールから、まだ未発達のミャンマー、カンボジア。ラオスまで大きな経済格差がある。

3.ASEANは、この経済格差を認識しており、格差是正に向けた取組みが行われている。その一つになるのが、2015年に計画されている経済統合である。

4.経済統合する過程で、国間の経済格差を縮小する取組みを加速させるとしている。その一つの施策として、域内の輸出入関税を撤廃か、可能な限りゼロにする。

5.域内の輸出入関税が撤廃されると、域内の商品の移動が活性化され、域内取引が増加する。

6.タイは、2015年をめどに投資優遇制度(BOI)を見直して、今まで基本的に無制限に受け入れてきた製造業者からの投資を優遇対象から外す可能性が高い。

タイでは、すでに電気・電子機器や自動車分野で、日本と同じような産業集積が進んだ結果、基本的に失業率がゼロに近い状態を達成した。軍事政権下でも、政権は安定しており、日系企業に対するマイナス影響はほぼない。

このため、タイ政府はBOIを見直して、汎用化した商品や部品の製造分野をBOI対象から外すことになる。製造業のBOI対象は、医療、バイオ、介護などの高度化技術をもつものになると見込む。

開発行為を伴うITもBOI対象となる。

7.インドネシア、ベトナム、フィリピンが第二のタイを目指して、製造業の強化を図っている。これら3国の間では、インドネシアが一歩リードする状態になっているが、同国内では、人件費が毎年二桁で上昇していることや労働者の権利意識が高いことなどが、今後の不安定要因の一つになる。

インドネシアは、新大統領の経済施策の内容を見極めて、新規投資の計画作成と実行することが安全であり、重要になる。

インドネシアは、まだ生産年齢人口が増えることと、2億人を超える人口を抱えており、製造拠点としても、消費者市場としても、最重要国の一つであることは間違いない。

インドネシアの港湾、鉄道、道路、行政の仕組みなどの社会インフラは、タイと比べると個人的な感覚では20年遅れていると感じる。

8.ベトナムは、現在、もっとも多くの日系企業が関心をもっており、製造業者やITベンダーが積極的に事業展開や投資を行っている。

ベトナム政府も、タイのBOIを手本にして、製造業やITベンダーの積極的な投資を受け入れており、投資加速の要因の一つになっている。

ベトナムでは、高校や大学卒業生の数が多く、失業率も高いので、日系企業は比較的容易に現地従業員を雇用できる。

また、ベトナムはIT技術者の数が比較的多いため、フィリピンと並んで、開発オフショアの中心になりつつあり、多くの国内ITベンダーが、開発オフショア事業を積極的に開始している。

ただし、ベトナムの行政機関の能率はそれほど良いとは言えず、以前より少なくなったが賄賂を要求されることがあり、注意点の一つとなる。

9.タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンに共通して言えることは、数千円の中国やインド製の格安スマホが急速普及しており、これらの国で事業展開する場合、BtoBおよびBtoCの両事業とも、スマホを出口端末とするビジネスモデルの構築と実行が必要になる。

もちろん、パソコンやタブレット端末機器の普及も進んでおり、インターネット活用が非常に重要になる。

10.大学卒業生の資質は、基本的に問題ないが、大学のカリキュラム内容が、最先端の技術や知識を反映していないため、雇用した場合、総じて日系企業が期待する能力をもっていないケースが多い。

このため、多くの日系企業は、従業員の教育訓練をする必要性を感じている。現地従業員や大学卒業生なども、勉強の必要性を感じており、勉強して知識やスキルアップなどを行って、日系企業を含む外資系企業に入社したいとの希望が強い。

一般的にこれらの教育に対する需要が高くなっている。パソコン・タブレット端末機器の普及やスマホの急速普及は、eラーニングを可能にしており、多くのITベンダーなどが高い関心をもっている。

11.今後の成長分野として、教育以外に、医療、食料、環境、ゲームなどのIT事業などが期待される。

ASEANは、今後、製造拠点としても、また大消費者市場としても、大きな魅力をもっている。しかし、国内企業が現地に進出・投資を行う場合、事前に綿密な情報収集と分析を行って、販路開拓を含めた事業計画を作成してから、着実にリスク回避を行いながら実行することが重要になる。

このやり方が海外進出・投資の基本形であり、ASEANも例外ではありません。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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