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日経記事;『がん最適治療、日立・エーザイなど企業連合 遺伝子情報共有 新薬開発に活用』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月21日付の日経新聞に、 『がん最適治療、日立・エーザイなど企業連合 遺伝子情報共有 新薬開発に活用』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『がん患者一人ひとりの症状や体質に合った治療法の確立に向け、今秋から製薬会社やIT(情報技術)企業など約10社が連携した新たな取り組みが始まる。

国立がん研究センターから患者の遺伝子や診療情報の提供を受け、がんの種類や薬の効き方と遺伝子との関係などを解析。結果も共有する。業種を超えた企業連合を通じ、がんの治療法の早期開発を目指す。

企業連合には当初、エーザイや日立製作所、日本IBM、ソフトウエア開発のSAPジャパン(東京・千代田)、臨床試験受託会社のシミックホールディングスなどが参加する。

各社はがんセンターで治療を受けている胃がんや大腸がんの患者計50人の遺伝子情報をデータベースに登録。定期的に遺伝子情報を増やすほか、電子カルテに記載した情報も匿名にして一元管理することで、遺伝子とがんの治療経過との関連を見つける。

10月から運用を始める。1人の患者のがん細胞が持つ90種類の遺伝子を分析して共通点を探す。薬の投与が患者の容体や遺伝子をどう変えているかも分析する。

これらの結果をもとにエーザイなどが既存の薬が効きにくい患者の遺伝子を探し出し、新たな遺伝子をターゲットにした医薬品の開発を目指す。

データベースは当初は数億円で構築する。費用は各社で分担する。企業連合の母体となる研究会には武田薬品工業や第一三共も加入しており、参加を呼びかける。

がん患者の遺伝子は国際的なプロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム」が解析し、公開している。一方、患者の治療経過を示す診療情報は米国や英国などで保険会社や政府機関が集めているが、遺伝子情報と一元的に扱って解析する試みは珍しい。

患者の遺伝子情報と診療情報を集める取り組みは製薬会社が大学と個別に進め、解析結果を自社のみで活用する例が増えている。

新たな取り組みでは複数の会社で結果を共有するため、がんにかかわる遺伝子が見つかると各社が同時並行で開発を進められ、企業と大学が一対一で組む従来のやり方に比べ成功確率を上げられる。

遺伝子の情報から薬が効きにくい患者が分かれば、放射線治療や手術をする判断を早めたり、別の薬に切り替えたりするなど最適な治療法が選びやすくなる。

日本では抗がん剤に年間7000億円程度の医療費が投じられているといわれ、20年には1兆円を超えるとの推計もある。患者ごとに効果的な薬を投与できれば、無駄な抗がん剤の使用を減らせ、医療費の膨張を抑えることにもつながる。』


医療費の高騰は、日欧米諸国共通の解決すべき課題になっています。例えば、日本と同じような課題をもっています欧州市場をみますと、以下のような状況になります。

欧州は、出生率の減少と長寿化で老齢従属年齢指数が上昇し、経済成長とともに年金・医療制度の持続可能性を脅かす状況になっています。

欧州(EU)と日本の老齢人口状況を比較すると以下の通りです。ここでは、老齢従属年齢人口指数=65歳以上人口/15歳~64歳人口(生産年齢人口)を使って比較します。
出所情報先は、下記の通りです。
・eurostat,"population change in Europe in 2010 : first result"及び"EUROPOP2008"
・国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」


●欧州【EU27カ国)    2010年   2050年    
             25.9%    50.4%

●日本                              36.2%         76.4%

老齢従属年齢人口指数が高いほど、その国や地域の高齢者比率が高くなります。EUは、日本ほどではありませんが、2010年から2050年にかけて、当該指数が倍増する予測になっています。

EUの基本認識は以下の通りです。

・出生率の減少と長寿化で老齢従属年齢指数が上昇し、経済成長とともに年金・医療制度の持続可能性を脅かす。
・平均退職年齢、高齢者扶養のための支出、年金・医療制度への影響の 将来予測などをモニターしつつ対策が必要。

EUは、この予測数字に基づいて、医療費および社会福祉費の抑制・削減策を積極的に取り始めています。

例えば、高齢者(55歳から64歳)の就業率を上げる、20歳から64歳までの就業率を69%から75%に上げる、高齢者の健康寿命の長期化、などを具体策として計画・実行しています。

さらに、医療費削減に向け医療ITビジネスの活性化に高い関心をもっており、独シーメンスや蘭フィリップスなどの欧州大手企業が積極的な投資を当該分野に行っています。

国内医療関連企業は、欧州市場への参入を試みていますが、欧州メーカー、販売会社、病院・診療所間の流通ルートは、すでに岩盤のように強固な状況になっており、新規参入は難しくなっています。

さらに、国内メーカーが医療機器をEUに売るには、CEマーク取得が必要になっており、クリアするための高い技術難易度や高額コストが高い壁になっています。

強固な流通ルートや高い難易度の安全規格適用の点では、米国市場も同じであり、国内医療機器関連企業、特に、ベンチャーや中小企業にとっては、欧米市場開拓は難しい状況になっています。


このような医療事業環境下で、国内企業にとって海外で新規事業機会が得られる可能性があるのが、アジアやインドを中心とする新興国市場です。

また、アジア市場の場合、国内企業の扱い商品が日本国内の薬事認可があれば、各国への申請時に有効となります。

アジアの中で、中国やタイは、近い将来、日本と同じように人口減少と高齢化社会に入ります。どこの国も日本やEUと同じ課題に直面します。

医療費抑制や削減が可能な機器や仕組みは、必ず必要になります。EUの場合、上記しましたように、インターネットやITを活用する試みが始まっています。

本日の記事は、国立がんセンターと協力して、がん患者一人ひとりの症状や体質に合った治療法の確立に向け、今秋から製薬会社やIT企業など約10社が連携した新たな取り組みが始まると書いています。

今回は、がんに特化した取り組みですが、これを機会に他の医療分野でも、インターネットやITをフル活用して、国内企業や病院機関などの連携により、共通データベースの構築や共有、医薬品・医療機器の共同開発・実用化、高効率な手術治療方法や病院運営システムの構築などが可能になることを期待します。

国内関連企業が国内医療市場で、これらの関連システムや医薬品、医療機器などを開発・実用化して、その成果をもとにアジアなどの新興国市場を開拓できれば、当該国ので医療技術向上、医療費抑制・削減に貢献しながら新規事業機会を得ることになります。

また、周辺事業をカバーするベンチャーや中小企業にとっても、新規事業機会獲得につながります。

日本は、高齢化先進国であり、国内市場で医療技術向上やの医療費抑制・削減を実現することで、
アジアなどの海外市場開拓が可能になります。

この視点から、今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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