日経記事;『日本勢、連携・特化に活路 富士通、半導体の生産撤退 垂直統合モデル。。。』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日本勢、連携・特化に活路 富士通、半導体の生産撤退 垂直統合モデル。。。』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月19日付の日経新聞に、『日本勢、連携・特化に活路 富士通、半導体の生産撤退 垂直統合モデル、市場変化に対応できず』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『富士通が半導体の生産から撤退する方針を固めた。半導体工場を売却する計画で、実現すればメモリーから大規模集積回路(LSI)までを手掛ける総合半導体メーカーは日本では東芝1社になる。

日本の半導体メーカーはかつて世界の売上高上位10社の半分以上を占めた。開発から生産まで1社で担う垂直統合型のビジネスモデルが市場の変化に付いていけなくなった。

富士通は家電の画像処理に使うシステムLSIなどを手掛ける三重工場(三重県桑名市)を台湾の半導体受託生産大手の聯華電子(UMC)に、車載用マイコンなどの会津若松工場(福島県会津若松市)は米オン・セミコンダクターにそれぞれ段階的に売却する。

富士通は18日、「半導体事業の構造改革の一環として他社との提携を検討している」とのコメントを発表した。懸案の同事業の再建に向け大きく前進する。

富士通の半導体事業は、日本の半導体産業の再編を巡る最後の大型案件として注目されていた。赤字が続いていたが、スマートフォンや車載機器向けの需要が伸びて14年3月期に黒字に転換。買い手が現れた格好だ。

米ガートナーによる半導体売上高の世界ランキングで、1990年はNECが首位、上位10社のうち6社が日本メーカーだった。13年は東芝(6位)とルネサスエレクトロニクス(10位)の2社にとどまる。

日本メーカーが垂直統合モデルにこだわっている間、世界では設計・開発に特化した米クアルコムや、TSMC(台湾積体電路製造)などの受託生産企業が台頭した。得意分野に集中することで、電子回路の微細化などに伴う巨額投資リスクを分散する水平分業型が市場を席巻した。

規模で劣る日本メーカーは巨額投資を負担するパートナーを見つけるか、得意分野に注力するかして世界で戦おうとしている。

NAND型フラッシュメモリーで世界2位の東芝は最大で9千億円の設備投資を計画するが、米サンディスクと折半する。経営再建中のルネサスは車載用マイコンなど、ソニーも世界首位のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサーに絞る。

富士通の生産撤退で日本の半導体産業の構造改革は一段落する。今後の課題はそれぞれが技術を生かして得意分野で存在感を示せるかどうかに移る。』


何度か本ブログ・コラムで書きましたように、インターネットやITは既存事業基盤を急速に破壊、あるいは変革しています。

モノづくりの事業環境も大きく変わりました。アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンなどの米大手ITベンダーが、数多くのスマホやタブレット端末機器を開発・実用化しています。

これらのITベンダーが電子端末機器の製造に利用しているのが、台湾を中心とするEMS(Electronics Manufacturing Service ;電子機器の製造を受託する事業者)です。

ITベンダーは、電子端末機器の開発・商品企画を集中して行うことで商品競争力を高めるやり方です。開発や企画担当者は、優秀な人材を雇用・確保します。

このやり方の先鞭をつけたのがアップルです。アップルのこだわりが、スマホやタブレット端末機器の新規市場を開拓しました。

一般的にパソコンやスマホやタブレット端末機器などのデジタル商品は、部品の調達から製造まで水平分業の事業展開方式で、市場に供給できます。

水平分業は、それぞれの専門企業との連携・協業で可能になります。個人が秋葉原の電気街で、パソコンに必要な部品やキットを購入して、自分で組み立てるやり方と同じです。

現在、中国やインドで作られた数千円の低価格スマホがアジア市場を席巻しています。この低価格スマホも水平分業型で製造されており、使用されている電気・電子部品は汎用品で安く購入できます。

台湾メーカーを中心とするEMS事業者は、労働者賃金が安い国や地域で、部材や部品の大量仕入れと商品を大量生産することで製造コスト圧縮を図っています。EMSは、製造委託先から大量注文受けることで、上記ビジネスモデルの成立を可能にしています。

水平分業化が進むデジタル電子機器では、規模に関係なく自社の強みを最大限活かせる事業分野に特化した形でビジネスしている企業が増えています。開発・試作製作、商品企画、製造、マーケティング・営業、物流・配送などが対象となる事業分野です。

国内電気・電子機器メーカーは、アナログ機器でのビジネスが全盛の時、開発から製造、販売まで一気通貫の縦型ビジネスモデルで世界市場で勝ち組になりました。いわゆるモノづくりの徹底的な差別化・差異化を実現しました。

パソコンが登場し、インターネットやITがビジネス領域で使用されるようになると、アナログ機器で実現していた仕組みが大きく変わりました。

デジタル化により、アナログ機器で実現していた差別化・差異化の源泉がなくなり、必要な部品やキット、ソフトウエアが手に入れば、誰でも簡単に商品化できる時代に変化していきました。

国内メーカーが得意としていた伝統的な、モノづくりのみでは差別化・差異化を実現することは、困難になりました。

多くの国内電気・電子メーカーは、この変化についていけず、収益拡大を実現するビジネスモデルの再構築と実現に苦労しました。

国内メーカーが苦労した理由の一つが、アナログ機器で主力事業であったものへの固執でした。例えば、アップルは、ダウンロード方式の音楽提供を事業化して新規事業立上げを行いましたが、ソニーなどの国内企業は、主収入源であったCDの販売事業を続けようとして、アップルに顧客を取られました。

顧客が利便性の点からアップルのやり方を支持したことによります。


7月17日に、日経記事;『ディーゼル車 最安170万円 マツダ、「デミオ」今秋発売 燃料割安、HVに対抗』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]のタイトルでブログ・コラムを書きました。

このときのポイントの一つに、中小を含む企業が世界市場で勝ち組になるためには、必要に応じて、自社の強みを基盤に他社との連携・協業でナンバーワンのポジションを取るやり方が必要であるとしました。

特に経営資源の脆弱な中小企業は、自社の強みを最大限発揮できる事業分野に特化しして、他社との連携・協業で「Win/Win」の関係を作っていくことが重要になります。

特に、中小企業同士の連携・協業は活発化しており、そのやり方の巧みさが収益に影響が出ています。


半導体事業も同じです。日の丸半導体が世界市場で勝ち組になったときは、やはりアナログ機器が全盛の時代です。

世の中の電気・電子機器がアナログからデジタルに変化したときに、半導体の顧客企業からのVOCに変化が起こりました。

また、デジタル化した電気・電子機器の開発・実用化のスピードが速くなり、かつ、陳腐化する速度も加速しました。半導体に対する顧客企業のニーズや需要も大きく変わって行くと共に、速くなりました。

このような事業環境下で、国内半導体メーカーが顧客ニーズに合わせて多くのラインナップをもつビジネスモデルを維持できなくなりました。

しかし、しばらくの間、多くの国内半導体メーカーは、多くの半導体ラインナップの維持に努力しました。

その結果、国内半導体メーカーは競争力を弱めて世界市場から撤退することになりました。本日の記事は、富士通が総合半導体メーカーの座から降りて、半導体工場の売却方針を決めたと書いています。

富士通が経営資源をソフトウエアやクラウドサービス事業などに特化するやり方は、合理的です。

米インテルは、パソコンやサーバーに使用されるCPUに経営資源を特化して、事業拡大に成功しました。そのインテルも現在は、CPUの主需要がパソコンからスマホやタブレット端末機器に移動する状況下で、勝ち組になるための模索が続いています。

今後、国内半導体メーカーも総花的な事業展開ではなく、徹底的な差別化・差異化を可能にする半導体事業に特化して世界市場で勝ち組になることが、間違いなく必要です。例えば、東芝がNAND型フラッシュメモリー、ソニーがCMOSイメージセンサーになります。

半導体の製造ラインも全て自前で揃えるのではなく、各工程に必要な装置を専業メーカーから導入して、高効率な製造ラインを構築するやり方も必要になります。

海外では、設計・開発に特化した米クアルコムや、受託生産に特化したTSMC(台湾積体電路製造)などの専業メーカーも出現しています。

半導体事業もそれが使われる電気・電子機器と同じように水平分業の仕組みを利用して、巧みな連携・協業で収益拡大を実現するやり方が必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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