今回も前回に引き続き、芸術に付いてのお話しを少し。(^^♪
私は長年 "総合芸術" と言われるクラシックバレエという世界に生きて参りましたので、そこから開かれた眼で、バレエに限らず「芸術」というものに対しての理解と造詣は、深い方ではないかと思います。
そこで今回は「 "芸術" とは何ぞや?」というお話しをさせて頂きたいと思います。(^^♪
日本では特に「芸術って何? 良く解らない」という方も多いのではないでしょうか?
私は若い時から色々な国に行かせて頂いた経験がありますが、海外の方からは「日本人はビジネスには長けているけれど、芸術への理解がない」という印象を持たれているのも事実で、確かに日本の方の中には「芸術にはあまり興味が湧かない」という方も多くいらっしゃるかもしれません。
あと「芸術なんてお金にならないから価値がない」的な考えも、日本では良く聞く価値観の一つですね。
でも芸術に造詣の深い芸術先進国(フランスやロシアなど)に行くと言われる事は全く違います。
特に私がバレエの研修を受けにロシアに学びに行かせて頂いた時に印象深かったのは、普通の一般市民の方々が「芸術というものがこの世に無ければ、私達人間は生きて行く事ができません」と仰られるほど、それだけ芸術というものが人々の生活の中に、広く深く浸透しているという事でした。
では、その「心が健康というものに、無くてはならない芸術とは一体何か?」という事ですが、それは "心のゆとりと潤い" なのです。
生きて行く事は皆大変です。人生には色々な事が起きて参ります。
それは人間として生まれて来た以上は避けられない事実であり、この世に苦しみや、時にその空しさを全く感じない人は、この世にはいません。(時々それを、頭の中だけで打ち消して蓋をされてしまう方もおられますが、そうして無視されたものは、ご自分の心の奥の深い所に自覚無く、澱の様に蓄積されて行くのです)
そのあまりに重いものを乗り越えて行かせてくれるのが芸術であり、又生きる事に喜びを与えてくれるものも芸術なのです。
よく例えに使われる例ですが、もしこの世に "色" というものが全く無く、黒や灰色だけの世界だったら・・・と想像してみて下さい。
色がどの様に人間の心に影響を与えるかは、心理学でも有名なお話しですね。
そしてその "色" を "美しいもの" に置き換えてみて下さい。
もしこの世に美しいものが全く無く、ただ機能性や利便性だけを重視したものだけになったら、生活は贅沢になっても、人の心は必ず荒んで参ります。(今の物欲主義的な世の中は、こういう傾向がある事は否めません)
人間の心とはそういう風にできているのです。
人は何か美しいものを見た時に、心が潤い、癒され、そうして心にゆとりを持つ事で、色々な試練を乗り越えて行けるのです。
反対に心が荒んで余裕がないと、人間は段々ヒステリックになったり、鬱になったりしてしまうのですね。(ヒステリーというのは怒りが外に向いたもの、鬱は怒りが内に向かったもので根本は同じです)
きっとそういう事を、あのロシアの方達は深く理解されておられたのだと思います。
芸術というものは本当は何も格別に難しいものではないのです。
もし「難しくて訳が解らない」と思われる方は、思考(知識)でものを見ておられるから、そう思ってしまわれるのでしょう。(それは、何かを生み出す芸術家側にも、同じ事が言えるかもしれません)
芸術というのは感性で感じ取る事、感じて観る・聴く・触れるものなのです。
その感じるという機能は、本来人間には皆備わっているものなのですが、世の中の荒波に揉まれるうちに段々閉じて行ってしまい、多くの方が「見ても感じない」という感性になってしまうのです。
感性の眼が開いていましたら、きっとさりげない日常の中にも美しいものを感じ取れます。
感性が微細であるほど、誰も気付かない所に美しさを感じたりも致します。
では、私に取って最大の美しい芸術とは何か?
それはこの地球の大自然や宇宙の神秘です。☆彡
この壮大で調和の取れた完璧な芸術品の前では、私は人間の生み出す芸術などは、とても小さなものに感じてしまうのです。
どんな芸術でもその根底にお手本として在るのは、意識するしないに関わらず、この大自然と神秘の中にあると私は感じている一人です。(☆_☆)~ ♡
「ダイエットで見落とされがちなもの」のコラムでお伝えした夜明けの月の全体像です。
(大変空気の澄んだ透明感のある空でした♫)
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年