日経電子版記事;『オムロン、「京都系」で海外投資家に一番人気』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経電子版記事;『オムロン、「京都系」で海外投資家に一番人気』に関する考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月30日付の日経電子版に、『オムロン、「京都系」で海外投資家に一番人気』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日本電産、京セラ、村田製作所――。京都府に本社を置く「京都系企業」には収益力と技術力を兼ね備えた優良企業が多い。その中で最近、海外投資家の人気が高いのがオムロンだ。

事実、3月末の外国人株主比率は48.2%と先の3社よりも高い。1年前に比べても4ポイント余り上昇した。オムロンといえば血圧計や体温計などヘルスケア機器の知名度が高いが、実は収益源は工場の自動化ラインに使われるファクトリーオートメーション(FA)機器。海外投資家が注目するのもFA機器の成長性だ。

「『エクセレントカンパニーゾーン』に到達したい」。5月末、山田義仁社長は2021年3月期までの中期経営計画の発表で強調した。エクセレントカンパニーゾーンとは独自に決めた基準で、売上高1兆円、売上高営業利益率15%以上の企業を意味する。

今期の売上高は8000億円、売上高営業利益率は9.3%の見込み。2期連続で過去最高益を更新するとはいえ、エクセレントカンパニーゾーンへの道はまだ遠い。主力のFA機器事業が全体の売上高の4割を占めるだけに、同事業を伸ばすのが目標達成の条件となる。

成長に向け打ち出すのが「大アジア」戦略だ。オランダ人のリーダーを筆頭に、ベトナム人やタイ人など現地の人材をフル活用した統括拠点を14年4月にシンガポールに設置。FA部門で事業ごとの垣根をなくし、より現地のニーズに合わせて調達や販売を管理し、海外での意思決定を迅速にするというものだ。

国土交通省によると世界のセンサーや制御機器関連の市場は15年に4兆1000億円で、年率で10%ずつ市場が拡大する見通しだ。

労働問題の多い中国やタイでは派遣労働者や非正規雇用者に対する規制を強めている。「人件費高騰の懸念で自動化ラインのニーズはアジアで広がる」と山田社長は指摘する。

今期のFA機器事業の売上高は3000億円、営業利益率は13%の見通し。「BtoB(企業向け)ビジネスのFA機器は利益が確実に取れるとして外国人投資家から期待は高い」とSMBC日興証券の渡辺洋治シニアアナリストは語る。FA産業に対する先行期待でオムロンの株が海外投資家から買われているわけだ。

オムロンは市場が拡大する地域にいち早く攻める構えで、アジア地域に販売網をもつ企業などを対象としてM&A(合併・買収)や提携を考えている。3カ年で約600億円のM&A投資枠を設定した。日本電産のような派手な買収をしてきてはいないが、今後はM&Aを切り札に事業を急拡大させる戦略だ。

オムロンの山田社長は11年、49歳の若さで社長に就任した。もともと血圧計などヘルスケア部門出身で、欧米市場の開拓で名を上げた辣腕営業マンだった。

今後の収益拡大を左右するアジアを攻めるすべは海外の現場に強いだけに知り尽くしているはず。就任4年目を迎え、確かな実績が求められそうだ。』


今後、日本およびASEANを中心とする新興国市場で、生産現場のオートメーション化(ファクトリーオートメーション;FA)は急速に普及するとみています。

一つの理由は、日本国内やASEANを中心とする新興国での人件費上昇と、中長期的に起こる生産年齢人口の縮小です。

労働者不足や賃金上昇の影響を最小限にするには、工場内で働く労働者数を必要最小限にするのが最善の方法です。

国内メーカーの中では、オムロンと同じFAやロボットの製造企業ファナックやキャノンが、国内にほぼ完全な自動化工場を稼働させています。

上記両社が国内でFAを稼働していますのは、技術・ノウハウの防止、海外企業との競争に打ち勝つための無人店舗によるコスト圧縮などによります。

今後、日本内外でFAやロボットに対する需要増加が見込めます。

例えば、中国では、一人っ子政策の影響で昨年生産年齢人口が200万強減りました。さらに、労働者賃金の上昇や繊維などの労働集約型作業の不人気などにより、多くの労働者を使う製造方式から、工場の自動化・機械化に移行する動きが加速していきます。

このため、中国では、2012年以降FAの導入が加速しています。2015年~16年ころにはFAを支える、ロボットの年間稼働台数が、韓国を抜いて20万台を超える見込みになっています。

現在、日本国内のロボット年間稼働台数は、30万台強で世界ナンバーワンですが、将来、中国の年間稼働台数が日本を超える可能性があります。

FAを支えるロボットは、ファナックに加えて、富士機械製造、不二越、安川電機などの国内メーカーが世界中で活躍しています。

しかし、中国、台湾、韓国などのアジアロボットメーカーも台頭してきており、低・中位機種クラスでは競合が激しくなるのは確実です。

FAやロボットは、材料、部品、装置、加工技術、センサーデバイスやITを駆使した制御技術、高信頼性・高耐久性の担保、優れた保守サービス体制の担保などすべての面で、優れたものをもつメーカーが勝ち組になります。

何社かの国内ロボットメーカーは、旺盛な中国市場を取り込むために、当該市場で現地生産を始めています。

現地生産は、当該市場の需要獲得には有利に働きますが、開発・実用化ノウハウが中国メーカーに流出するリスクが高くなります。

いずれにせよ、国内FA関連メーカーは、アジア勢との競合に向き合うことになります。国内メーカーは、徹底的な差別化・差異化をより強化して、世界市場で勝ち組になる知恵と実行力が必要になります。

アジア勢は、必ず低価格装置やシステムで対抗してきます。国内メーカーは、顧客企業の要求する機能・性能・仕様・価格などに応じてきめの細かいサービスメニューを用意して、アジア勢との競争に打ち勝つ必要があります。

国内メーカーの強みは、顧客要求にマッチしたFAを開発・実用化することにあります。オムロンは、アジア顧客のVOCをよりきめ細かく聞き出し、提案力を含めたソリューション事業の強化を差別化・差異化の一つにするやり方をとります。

もちろん、アジア勢との競争に打ち勝つには、低コストの努力も重要です。例えば、ロボットに使用されるセンサーデバイスの需要は、自動車用途を含めて拡大していきますので、販売価格は低下していきます。

より高性能で合理的な販売価格のセンサーデバイスが供給されていきますので、部材調達コスト圧縮につながります。

制御技術にしても、システムインテグレーションやITをフル活用して、不断なコスト競争力と使い勝手を訴求する経営姿勢が勝ち組になるための必要十分条件です。

制御技術を支えるモーターやサーボ機構も、ロボット需要の増加によりさらに、進化を遂げていきます。

本日の記事にありますオムロンを含めた国内メーカーは、アジア市場で急増するFA需要を獲得しながら、アジア勢との競争に打ち勝つ積極姿勢が将来を左右します。

FAやロボット産業のすそ野は広いので、当該市場の拡大や部品、装置などのハードウエアだけでなく、システムインテグレーションなどのIT分野にも大きな新規事業機会が生まれます。

この視点から、今後も産業用途ロボットやFAの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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