日経記事;『三菱自が小型車供給 クライスラー、アジアで販売 9年ぶりに協力関係』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『三菱自が小型車供給 クライスラー、アジアで販売 9年ぶりに協力関係』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月27日付の日経新聞に、『三菱自が小型車供給 クライスラー、アジアで販売 9年ぶりに協力関係』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱自動車は欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズに小型乗用車を供給する。三菱自のタイ工場で生産した小型セダンを年内に提供、フィアット・クライスラーはアジア地域で販売する見通し。

三菱自は同社最大のタイ工場で生産を拡大、フィアット・クライスラーは出遅れていた同地域での巻き返しにつなげる。両社は9年ぶりに協力関係を築き、主戦場のアジアで競争力を高める。

週明けにも発表する。三菱自のタイ工場で2013年に生産を始めた「アトラージュ」を年内に数千台規模、OEM(相手先ブランドによる生産)供給する。

同車は小型車「ミラージュ」をベースとするセダンでエンジン排気量は1200cc。変速機の改良などで燃費性能をガソリン1リットル当たり22キロメートル(欧州基準)に高めた三菱自の世界戦略車だ。

三菱自のタイ工場の生産能力は年間50万台。同社の世界販売台数の約半分に相当する最大生産拠点だ。今回のフィアット・クライスラーへの供給で量産効果を引き上げコスト競争力を高める。

三菱自は相次ぐリコール(無償の回収・修理)などで経営不振に陥り、三菱重工業など三菱グループ向けに優先株を発行、資金支援をうけた。欧州の拠点閉鎖などリストラを断行、昨年度に優先株の処理を終えた。最大の懸案が解消したことで、アジアでの強化を軸に成長戦略にかじを切る。

フィアット・クライスラーは「クライスラー」ブランドで中国を含めたアジア地域で販売するもよう。同社の13年の世界販売台数は約440万台と7位だが、アジア地域は同16万台と、主力の北米の10分の1以下にとどまるなど出遅れていた。

「ジープ」ブランドは新興国でも堅調だが、セダンが中心の「クライスラー」ブランドは苦戦が続いている。三菱自から量販価格帯のエコカーを調達することで、同ブランドの品ぞろえを増やし、アジアでのシェア拡大を狙う。

三菱自は1985年に米クライスラー(当時)と米国に共同生産会社を設立。2000年には独ダイムラーと米クライスラーが経営統合したダイムラークライスラーが34%を出資し、乗用車事業で提携した。しかし、三菱自の品質管理問題を受け05年に提携を解消した。

三菱自の13年の世界販売台数は約100万台で世界16位。すでに日産自動車・仏ルノー連合や仏プジョーシトロエングループ(PSA)と提携関係にある。

新たに主力のアジア市場でフィアット・クライスラーとも組むなど、部分的な提携戦略を駆使し、自社の強みを引き出すことで、世界市場での存在感を高める。』


世界の自動車業界は、数多くの連携・協業状態が起きています。最大の理由は、低燃費化対応、無公害車開発・実用化などを、1社単独で行うには投資回収の観点から難しい状況に置かれていることによります。

例えば、世界最大の自動車メーカーであるトヨタは、BMWとの連携・協業により、欧州市場向けの小型MPV「Verso」に、排気量1.6l(リットル)のディーゼルエンジン「1.6 D-4D」を搭載するモデルを追加しました。

このディーゼルエンジンは、BMWから供給されています。欧州市場でのエコカーは、現時点ではハイブリッド車ではなく、ディーゼルエンジン車です。

トヨタは、自社で欧州市場向けディーゼルエンジンを開発・実用化する代わりに、BMWとの連携・協業で当該エンジンを調達しています。

トヨタとBMWは、長期的な連携・協業関係構築の一環として、
・燃料電池システムの共同開発
・スポーツカーの共同開発
・軽量化技術の共同研究開発
という3つのテーマに関する正式契約を締結したとしています。

トヨタとBMWは、高級車市場では激しく競合・競争しています。同時に、両社で「Win/Win」の関係が成立する領域では、連携・協業してお互いの開発コスト削減と、開発期間短縮を目的に密接に動きます。

日産自動車の場合、メルセデスベンツと連携・協業しています。連携・協業の内容は、以下の通りです。

・電気自動車バージョンを含む、次期スマートと次期トゥインゴの共同開発
・日産からメルセデス向けにコンパクトカー用のエンジン(ガソリン及びディーゼル)を供給
・メルセデスからルノー日産(インフィニティ)向けに4気筒ないし6気筒のエンジンを供給
・小型商用車での連携
・日産の米国内工場でメルセデス車を生産(2014年から)など。


自動車メーカーは、このように連携・協業を多用しており、この具体的な実行力の差が、会社の業績に反映されるようになっています。

トヨタは、かって唯我独尊的な経営手法を数多く採用していました。トヨタが変化し始めたのは、世界市場で勝ち組になるための、施策立案と実行を意識したあとからです。

上記しましたように、世界市場で勝ち組になるには、低燃費化、環境対応に加えて、顧客から支持される商品性を訴求する必要があります。

さらに、世界市場での販売体制を全て自前でもつことは、容易ではありません。すでに対象地域で販売網をもつ企業と連携・協業することが、迅速にかつ低コストで販売体制を構築できる方法になります。

本日の記事にあります三菱自動車の場合、クライスラーと組むメリットは、小型車の生産台数増加による固定費削減と収益拡大です。

クライスラーは、苦手な小型乗用車を自社販売網に流すことで、商品ラインナップを充実して、顧客満足度を高めて、シェアおよび収益拡大を実現できます。

両社の連携・協業の対象地域は、当面アジアのようですが、効果が確認できれば、他地域にも拡大するとみています。

三菱自動車の世界市場でのシェアは、記事にありますように、約100万台で世界16位と小さい状態です。

三菱自動車は、自前ですべての開発・実用化事業を実行できませんので、日産とエコカー分野で連携・協業しています。

自動車メーカーの世界市場での連携・協業の動きは、その経済効果をどうのように生み出していくのか、やり方や成果が明確にされる状況になっています。

これは、自動車業界が世界市場での激しい競争と並行して、連携・協業しないと勝ち残れない事業環境にあることによります。

ベンチャーや中小企業にとって、他社との連携・協業を計画あるいは行うときに、自動車業界の各企業の動きは、大変参考になります。

この視点から世界市場での自動車メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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