日経記事;『電力10社、送配電システム統一へ 小売り、参入しやすく』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『電力10社、送配電システム統一へ 小売り、参入しやすく』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月22日付の日経新聞に、『電力10社、送配電システム統一へ 小売り、参入しやすく』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東京電力など電力10社は2016年にも電力の使用状況や停電など送配電の情報を管理するシステムを統一する。改正電気事業法の施行で16年春から電力小売りが全面自由化されることを踏まえた措置。

電力会社のシステムがそろえば新規参入する企業は売電に必要な情報を得る際に地域ごとに別々のシステムを用意せずに済み、全国展開がしやすくなる。参入コストを下げ、競争や電気料金の引き下げも促す。

経済産業省が23日に開く総合資源エネルギー調査会の作業部会で、発電や売電にかかわる企業による「広域的運営推進機関」の準備組織が発表する。

同機関は全国規模で電力融通する司令塔として来年4月に発足する。今秋までに電力会社がシステムの規格や、企業と接続する条件をどこまでそろえるかを詰める。

電力10社が地域ごとに独占してきた家庭向けの電力小売りは、16年に参入規制がなくなる。異業種の企業による販売が増える見通しだが、企業のシステム開発費用が参入障壁になりそうだった。

たとえば企業が電気を売るには、顧客の電力使用量を知る必要がある。一方、使用量の情報は家庭にメーターを設置している電力会社の送配電部門が握っている。

企業は使用量の情報を電力会社と日々やりとりするため、システムを開発する。停電の発生や送電線使用料など、電力会社とやりとりする情報は膨大な量になる。

電力会社の送配電部門はこれまで10社がバラバラのシステムで情報を管理してきた。このままだと、東電と関西電力の管内で小売りに参入しようとする企業は2種類のシステムを用意しなければならない。ただでさえ規模の大きい電力会社の小売部門との競争が不利になる。

経産省と電力業界は競争条件をそろえるため、10社が送配電部門のシステムの規格を統一していくことで合意した。新規参入する企業は、全国規模で電力使用量を分析して新たな料金プランを作りやすくなる。消費者にも、契約を切り替える手間が少なくなるなどメリットがありそうだ。

電力会社も地域を越えた越境販売に乗り出すとき、二重投資をしなくてすむ。共同開発により、システム費用も抑えられる見通しだ。』


電力事業の自由化については、何度か本ブログ・コラムで書きました。本日の記事は、電力事業の自由化を促進させる仕組みの構築について書いています。

政府は、2016年に電力事業の自由化を行います。計画通りに実施されますと、現在の地域別に電力供給を独占していた、東電のような地域電力会社の事業モデルが全廃されます。

さらに、発電・送電・売電の事業モデルも地域別の1社独占体制から、分離されます。政府案では、2016年に家庭向け小売事業への参入を全面自由化して、2018~2020年に電力会社から送配電事業を分社化する「発送電分離」を実施する方針になっています。

今までの電力事業は、地域ごとに1社独占になっていますので、お互いに他地域の電力会社のやり方を無視して、自社領域内で独自のプラットフォームを作ってきました。

例えば、昨年、東京電力がスマートメーター導入検討時に、独自な仕様に基づいたインターネットプラットフォームを公表して、批判されました。結局、東電だけでなく、他の地域電力会社も、日本の中で一般的に使用されているインターネットの仕組みを採用することになりました。

一般の企業では、インターネットを使ったプラットフォームは他社や顧客とストレスなくつながることが当然の大前提になっています。

そうしないと、インターネットを使う意味や価値がなく、顧客から支持を得られません。しかし、1社独占の事業を行っている企業には、世の中全体に共通なプラットフォームを採用する必要性や意味が理解できません。今までの事業の仕組みでは、共通にする必要性がないことによります。

本日の記事は、1社独占時の産物である障害を取り除くことについて書いています。現在、各電力会社は、独自な電力の使用状況や停電など送配電の情報を管理するシステムを構築・運営しています。このやり方を2016年に、共通化することになります。これは、大きな意味があります。

それは、電力の使用状況や停電など送配電の情報を管理するシステムが共通化されますと、発電・送電・売電を行う事業会社が、各地域会社の独自システムに対応しないで、日本国中共通のプラットフォームで事業展開することができることによります。

共通のプラットフォームを使えますので、各事業会社が開発するシステムは、開発コスト負担を圧縮して、実用化されます。

日本は、天然資源がとれない国ですので、原子力発電ができない現状では、高コストとなる火力発電に頼らざるを得ない状況になっています。

しかし、経済発展のためには、可能な限り低コストで発電して、高効率な送電と電力消費・使用方法を確立する必要があります。

このためには、インターネットやITをフル活用して、スマートメーターなどの仕組みを開発・実用化することが極めて重要になります。

この観点から、電力の使用状況や停電など送配電の情報を管理するシステムの共通化・標準化は、各事業会社が低コストで自社のサービス事業の仕組みを開発・実用化できるため、大変大きな新規事業機会となります。

各電力会社も当然のごとく、自由化された電力市場で自由に事業展開できますので、電力の使用状況や停電など送配電の情報を管理するシステム共通化・標準化から大きなメリットが得られます。

例えば、東京電力と中部電力は、茨城県に石炭火力発電所を共同建設する方針を発表しました。2019年稼働を目指し、60万キロワット級の発電所を建設。中部電が800億円前後の投資の大半を負担し、一部の電気を東電管内で販売する、越境販売を行うとのこと。

電力関連企業の競争は、共通化・標準化されたプラットフォームで自由、かつ闊達に行うことにより、最適な商品やサービスが生まれて、より高付加価値なものを提供できる企業が勝ち組になります。

多くのベンチャーや中小企業が共通化・標準化されたプラットフォーム上で、売電や節電サービス事業の仕組みを開発・実用化して、巨大市場での勝ち組を目指すことになります。

ソフトバンクは、電力事業の自由化後に、通信と売電を組み合わせた事業の仕組みを開発・実用化する可能性が指摘されています。

国内企業が自由な発想で電力市場で競争することは、新規事業機会獲得だけでなく、国内に蓄積された技術・ノウハウが大きな武器になって海外市場開拓が可能になります。

ASEANやインドなどを中心とする新興国は、高コストの発電と安定した電力供給確立の問題を抱えています。国内企業が発電・送電・売電の各事業分野に、徹底的な差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウをもって参入すれば、大きな新規事業機会を産むことになります。

日本国内で開発・実用化した技術・ノウハウを実証化して海外市場開拓をすれば、世界市場で勝ち組になる可能性があります。

国内企業は、さまざまな方法や仕組みで、高効率な発電・送電・電力消費のやり方を開発・実用化することが得意です。

電力事業の自由化前に、さまざまな規制や共通化・標準化を阻害する仕組みの撤廃や改革は、将来の国内市場活性化と企業の実力向上に貢献します。

この視点から電力事業の自由化の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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