日経記事;『パナソニック、テレビ事業発祥の茨木工場を売却 大和ハウスに』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック、テレビ事業発祥の茨木工場を売却 大和ハウスに』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月21日付の日経新聞に、『パナソニック、テレビ事業発祥の茨木工場を売却 大和ハウスに』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックはテレビ事業発祥の地である茨木事業所(大阪府茨木市)を売却する。来春までに約12万平方メートルの敷地の大半を大和ハウス工業に売る方針。売却額は100億円前後とみられる。

1958年にテレビの生産を始めた同事業所は、旧松下電器産業が世界的な家電メーカーに飛躍する原動力になった。パナソニックは資産売却で財務体質の改善を進め、大型投資に備える。

茨木事業所は、創業者の松下幸之助氏がテレビの量産基地にするために建設を指示。東京ドームの約2.6倍の敷地を購入し、日本で60年にテレビのカラー放送が始まる前にブラウン管テレビの量産を始めた。

2000年代に入って、プラズマパネルの生産からテレビの組み立てまで手掛ける一貫工場に転換。その後、兵庫県尼崎市に大型のプラズマパネル工場が稼働したため、パネル生産から撤退した。12年までに組み立て生産も終了。テレビの保守管理などを続けながら、売却先を探していた。

パナソニックは今夏にも大和ハウスに、全体の約6割に当たる約7万平方メートルの敷地の優先取得交渉権を与える。大和ハウスは地上5階前後の物流施設を建て、ヤマトホールディングスに賃借する方向で交渉している。

大和ハウスは物流施設の建設事業を成長の柱に位置付けている。ヤマトは当日配送サービスの拠点網を整えており、茨木は同社で関西最大級の配送拠点になる。

残る約5万平方メートルの敷地は茨木市や子会社のパナホームなどへの売却を検討。市やパナホームの間では公共施設や住宅地などを整備する案が浮上している。敷地内の電波実験施設はパナソニックが引き続き使う。

パナソニックは14年3月期に3期ぶりの最終黒字に転換した。』


パナソニックは、過去2年間に行った集中と選択が上手く機能し始めています。日立製作所や東芝の集中と選択作業には、後れを取りましたが、パナソニックの収益性は確実に回復しつつあります。

パナソニックは、液晶テレビなどの汎用化して価格競争に陥っている事業分野からの撤退を行いながら、新規事業基盤を環境分野に主軸を置いた業務用市場開拓を進めています。

家電分野については、テレビだけでなく個人用途の携帯電話のような競争が激しい分野からも撤退しており、赤字事業を大幅に下げています。

同時に、家電では、一定の競争力をもっている白物家電を強化して、収益拡大を実現しています。
強みを発揮できる商品や事業領域に経営資源を集中して、世界市場で勝ち組になる施策を考え、実行しつつあるとの印象をもっています。

本日の記事は、パナソニックのテレビ事業の大きな生産拠点の一つであった茨木工場敷地を大和ハウスに売却することについて書いています。この売却は、パナソニックのテレビ事業の大幅縮小を象徴するイベントとして理解します。

また、この敷地を購入する大和ハウスは、ここを大規模な物流センター設置に活用するとのこと。
茨木工場跡地の売却と新用途は、日本の産業構造の変化を象徴するものになります。

現在、日本の小売市場規模は、人口減少などを反映して縮小傾向にあります。この市場環境下で、インターネット通販は、その市場規模を確実に伸ばしています。

ネット通販を支える重要なインフラの一つが、物流機能です。大和ハウスは、建設する物流センターを宅配サービスを行うヤマトホールディングスに賃借する計画をもっています。

広大な敷地の利用目的が、最近の事業カテゴリーの担い手の変化を象徴しています。汎用化して価格競争に陥っている単体の商品から、ITをプラットフォームにした事業モデルやサービスが主事業の柱の一つになりつつあります。


家電のような競争が激しく変化が速い完成商品を、垂直統合による一気通貫事業モデルで事業展開するやり方を見直す時期にきています。

最近、米ネット通販事業最大手のアマゾンが、「Fire Phone」というスマートフォンを発売開始しました。アマゾンのネット通販サイトの専用出口を自ら拡大するやり方を取ろうとしています。

アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンなどの米大手ITベンダーは、自社内に生産拠点をもたずに、商品企画力と開発力をもって、ハードウエア商品を事業化しています。

商品生産は、すべて台湾などの大手製造専業事業者(EMS;electronics manufacturing service)に委託するやり方です。ファブレスのビジネスモデルと言われています。

今まで国内家電メーカーは、差別化・差異化を可能にする技術やノウハウの強みを最大化しつつ、貴重な経営資源の流出を避けるため、自社内の一気通貫生産とするビジネスモデルを採用してきました。

家電、特に変化が激しい情報家電では、国内家電メーカーが得意とする一気通貫モデルは通用しないことが明確です。

汎用化しつつある商品は、テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などです。これらの商品分野では、国内家電メーカーが得意なモノづくりにこだわっても、海外企業との競争に勝てなければ意味がありません。

パナソニック、ソニー、シャープなどが経験した、あるいは未だに続いている苦境が証明しています。

コンピュータやインターネットによるデジタル革命は、民生用途の電子商品のモノづくりを根底から変えてしまいました。

パナソニックは、上記しましたようにソニーより早く汎用化して価格競争に陥ってしまった家電商品に見切りをつけて、赤字状態からの脱却に成功しつつあります。新しい事業基盤の強化・拡大も実現しつつあると理解しています。

一方、ソニーはパソコン事業からの撤退を実行しましたが、テレビ事業の赤字状態が続いています。ソニーは、今期中に赤字状態からの脱却を宣言しています。

ソニーが家電業界で事業継続するには、アップルのような商品企画力と開発力を最大限発揮する画期的な商品導入を成功させる必要があります。

ソニーは、PS4や最新のスマートフォンXperiaなどに先進性を感じますが、まだ力不足です。米大手ITベンダーと同じ事業領域で勝負して勝ち組になるためには、より斬新的な商品を出せる実力をつける必要があります。

英ダイソンは、変化がなかった掃除機市場に大きな変革をもたらしました。ソニーのような家電メーカーには、既存商品にとらわれない視点からの商品づくりが求められます。


中小企業が新規事業立上げを行うときも、同じです。競争力の源泉は、メーカーの場合、どれだけ差別化・差異化を可能にする技術やノウハウをもっているかということと、商品化・事業化の能力によります。

中小企業の中には、多くの製造専業事業者がいますので、当該企業との連携・協業によりモノづくりは可能になります。

中小企業は、差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウに基づいた商品を、競合他社が参入しないニッチ市場で事業することが重要です。

この視点から、大手企業の動き方は参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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