日経記事;『「家族の一員」にロボット ソフトバンク発表、20万円切る 感情理解、話し相手に』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『「家族の一員」にロボット ソフトバンク発表、20万円切る 感情理解、話し相手に』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月6日付の日経新聞に、『「家族の一員」にロボット ソフトバンク発表、20万円切る 感情理解、話し相手に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ソフトバンクは5日、ロボット事業に参入すると正式発表した。人の微妙な表情や会話のトーンで感情を理解するといった高いコミュニケーション能力が特徴だ。

19万8000円とパソコン並みの価格で来年2月に家庭用として売り出す。アプリ(応用ソフト)を充実して機能を追加。子供の話し相手や見守りなど家族の一員のように働くロボットをめざす。

ロボットの名前は「Pepper(ペッパー)」。高さは1.2メートルで真っ白なヒト型だ。二足歩行ではなく車輪で滑るように動く。

人とコミュニケーションを取ることに重点を置いており、クラウド型の人工知能(AI)で制御。リチウムイオンバッテリーを使い12時間以上連続で動く。

子供の読み聞かせやパーティーの盛り上げ役といった家族やペットのような需要を見込む。胸には10.1インチのタブレットを装備。例えば「明日は晴れる?」と声をかけると天気予報を表示する。自分でスマートフォンなどを操作しなくても知りたい情報を教えてくれる機能を増やす。

ダンスやお笑いなど様々なアプリを用意して機能を高めていく。現在はWi―Fi(公衆無線LAN)で通信しているが、将来は高速通信「LTE」も内蔵するなどして通信機能も向上する。

5日記者会見した孫正義社長は「(ペッパーは)思いやりが最大の機能。人の感情を理解し、自らの意志で動く初めてのロボットだ」と説明した。

会見中のデモンストレーションでは、孫社長が笑顔を見せるとペッパーが「微妙な笑顔ですね。大事な取引先との交渉だと決裂してしまいますよ」と返答。会場の笑いを誘った。

6日から東京・表参道と銀座の携帯電話販売店で接客する「店員」として設置。来年2月には一般向けの販売を始める。携帯販売店のほかネットでも扱う。将来は米子会社のスプリントの店舗など海外販売も視野に入れる。

ロボットはソフトバンクと同社が2年前に出資した仏ベンチャーのアルデバラン・ロボティクス社が開発。

電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手である台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループが生産する。

孫社長は「当面はほとんど利益が出ないだろうが、量産でコストダウンする。将来はアプリなどでも稼ぐ」と述べた。』


最近のソフトバンクの動きは、通信事業者としてだけでなく、アップル、グーグル、アマゾンなどの米国ITベンダーを意識したものになりつつあるとみています。

何度か本ブログ・コラムで書きましたように、ITは既存事業基盤を大きく破壊、あるいは再創造しながら、新規事業機会を作っています。

典型的な例がパソコン事業にあります。パソコンは、以前、IBM、HP、NEC、東芝などのメーカーが、開発・設計・製造のプロセスを全て自前で用意して、事業展開していました。

その既成概念を打ち破ったのがDELLです。DELLは、商品企画と開発は自前で行い、部品開発や調達生産は第三者に委託するやり方となる「水平分業型」の仕組みを作りあげました。

また、DELLは当時非常に斬新なものであった「インターネット通販」を活用した直販の事業モデルも作りました。

その後、水平分業型事業モデルは、パソコンだけでなく、多くのデジタル家電商品に採用されており、スマホやタブレット端末などで大きな進化と発展を遂げてきており、さらに成長しています。

アップルが先駆けとなって、iPhone、iPadなどで巨大な新規事業モデルを構築しました。自社では、工場をもたずに、商品企画力、開発力、デザイン力に磨きをかけて、ファブレス企業として、ハードウエアを商品として提供していくやり方です。

アップルの製造工場の担い手としての代表格が、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループです。
鴻海は、製造委託事業者として世界最大企業になりました。

アップルの成功例が引き金になって、アマゾン、グーグルなどの大手ITベンダーも「メーカー」となって、タブレット端末などを提供するようになりました。

さらに、アップル、グーグル、アマゾンは、主にネット通販を通じで商品提供しています。

IBMは、パソコン事業から撤退しています。撤退を決めた時期は、IBMはパソコン事業から収益をあげていましたが、将来的には汎用化して、DELLなどの専業メーカーとの価格競争に陥ってしまうと判断しました。

マイクロソフトは、長年WindowsOSと、Officeアプリソフトをパソコンメーカーに供給して、当該メーカーと「Win/Win]関係を作って収益拡大をしてきました。

マイクロソフトは、ソニーと激しく競争しているゲーム専用端末を除いてほとんどハードウエア商品を提供していませんでした。

しかし、マイクロソフトは、タブレット端末を自前で商品化しており、最近、業務用途にも使え、同盟関係にあるパソコンメーカーの事業基盤を弱める競合商品も発売しました。

マイクロソフトは、ソフトウエア専業事業者の看板を外して、アップル、グーグル、アマゾンなどと同じ方向に進み始めています。

ソフトバンクの動きは、これら米大手ITベンダーの動きをみながら、総合通信・ITベンダー企業を目指す動きとみています。

同時に、ソフトバンクは米国を基盤として世界市場で勝ち組になるやり方を取ろうとしています。そのために、米国通信事業者を買収して規模の拡大を図っています。

ソフトバンクの動きが成功するかどうかは、まだ未知数ですが、孫社長は過去多くの課題に直面しながら、克服してきた実績があります。

ソフトバンクは、「メーカー」となる第一歩として、ロボットを選びました。ロボットは、今後、家庭だけでなく、介護や医療などの新規用途で大きな需要が見込まれます。

BtoC用途のロボットは、一種の家電商品となります。家庭用ロボットは、人工知能と音声認識機能をもつことで、人間との会話が可能になります。

今回、ソフトバンクが商品化するヒト型ロボットは、人と会話して楽しませる機能をもっています。

特に、日本では「鉄腕アトム」以降、ヒト型ロボットに対する親近感が高く、当該ロボットに対する潜在需要は大きいものがあります。

国内家電メーカーでは、ソニーがAIBOなどの人工知能と音声認識機能をもったロボットを商品化しましたが、合理化の動きの中で事業撤退しました。

ソニーがロボットを商品化した時期が、しょうしょう早すぎた可能性があります。当時インターネット活用は現在ほど進んでいませんでした。

家庭用ロボットの商品化時期からしますと、今が最適だと考えます。それは、インターネットの普及・活用の多様化、クラウド普及、通信環境の進展(ブロードバンド化)、多様なアプリソフトの提供促進が可能になっていることによります。

ソフトバンクがロボットメーカーになる意義は、アップルと同じように、ロボット単体だけからから収益をあげるのではなく、通信料金、アプリソフトへの課金など多様な収益確保が図れるようになると考えます。

また、クラウド活用により、ロボットと人との会話やかかわり方などのデータ・情報が蓄積されて、人工知能との融合により、多様な応用や事業展開を可能にします。

ソニーがロボット事業撤退から撤退したのは、上記のような多様な収益確保のやり方を見つけられなかったことが一因になったと理解しています。

ソフトバンクは、ロボットをスマホやタブレット端末などと同じように、インターネットの出口として活用して、多様なサービスメニューを用意して、収益確保を図ります。

また、スマホやタブレット端末との組み合わせで、各種情報提供、娯楽などの付加価値をロボットにもたせることも可能です。

今後の家電業界では、新規参入企業と撤退企業が数多く存在することになり、娯楽用途では家電商品という定義があいまいになっていくと予想しています。

この変化の激しい業界で勝ち組になるために必要不可欠なものは、徹底的な差別化・差異化を可能にする商品企画力・開発力・デザイン力になります。

既存の大手国内家電メーカーは、徹底的な差別化・差異化を可能にする商品企画力・開発力・デザイン力を苦手とすることが不振の要因の一つになります。

特に、ソニーのように多くの斬新な商品を提供してきたメーカーが苦境に立たされています。ソニーが家電業界で復活するには、商品企画力・開発力・デザイン力をもてるかどうかによります。

当然のごとく、提供する商品は、スマホやタブレット端末と同じようにIoT(Internet of Things)となります。

また、大手既存家電メーカーだけでなく、多くのベンチャーや中小企業にとっても、商品企画力・開発力・デザイン力をもっていれば、サイクロン式掃除機を世界で初めて商品化した英国ダイソンのようになれる機会が生まれます。

これらの視点から、ITが既存事業基盤を破壊し、再創造する動きに注目しています。ソフトバンクの動きもその一つになります。

ITをフル活用した多くのベンチャーや中小企業が出現し、群雄割拠する状況を期待しています。ソフトバンクの動きは、この視点からも注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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