- 中舎 重之
- 建築家
対象:老後・セカンドライフ
鎌倉の大仏様
大仏様と言えば、皆様は奈良・東大寺の大仏様を最初の思い浮かべる事でしょう。
私は鎌倉の大仏様のお顔を思い出します。
鎌倉の大仏様にお会いするには、藤沢から江ノ電に乗り、長谷駅にて降ります。
降りましたら、山側に歩いてください。 しばらく歩きますと左手に長谷寺の入口が見え、
そこを通り過ぎますと右手に赤い仁王門がみえます。 そこが目的の浄土宗・高徳院です。
門を潜りますと、身の丈11m余の大きな体の大仏様が見えます。
一歩一歩ゆっくりと近づいて、お顔を拝して下さい。
美しい眉と半眼にした優しいお顔が私達を出迎えてくれます。
この大仏様は少し俯き加減にされていますので、
あたかも私達に話し掛けているように感じられます。
奈良の大仏様は廬舎那仏という名で、多くの阿弥陀如来や釈迦如来に囲まれた太陽のような仏様です。
身の丈も15m余の威圧するような体に、威厳に満ちたお顔で堂々と正面を見つめています。
本堂から拝するとお顔の全体が見えにくいのですが、その天尊の光輝には圧倒されます。
鎌倉の大仏様には、その身を入れるべき堂宇は無く、露座で後光山を自然の光背とされています。
まさに大自然の中に鎮座されている姿は、スケールの大きい演出とも言えます。
私の好きな風景です。
大仏様は1262(弘長2)年に誕生し、大仏殿は東西44m、南北42mの規模で屋根は檜皮葺との事です。
それが、「金沢文庫」の書状によると1305(嘉元3)年の地震で大仏殿が倒壊したとあり、
また「太平記」には1335(建武2)年の台風で崩壊したと記されています。
他には1495(明応2)年の津波により堂舎が壊されたとの記録もあります。
以来、堂宇は再建されませんでした。
鎌倉の大仏様は、地震・台風・津波の三度の災害と500年ものあいだ風雨にも耐えてこられました。
それでも、今も変わることなく優しいお顔で私達を迎えてくれます。
日本で一番美しい仏様と言われる鎌倉の大仏様を、
与謝野晶子は 「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな」 と詠まれました。
学術的には、この仏様は阿弥陀如来との事です。
しかし、私も釈迦如来と思いたいのです。
日本一美しいと言われ、「美男におわす」と言われたハンサムな大仏様を、
間近に仰ぎみる一刻は清福そのものです。
中 舎 重 之
綜合企画設計工務一級建築士事務所
TEL:046-263-5029
FAX:046-263-9324
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