- 中舎 重之
- 建築家
対象:老後・セカンドライフ
大磯丘陵の話
JR東海道線を藤沢から平塚へ走る車窓では、左に海を、右には広々とした相模平野を見ることができます。
平塚を過ぎ、花水川を渡ると右側の窓に大きな丘陵が唐突に迫ります。そこが大磯駅です。
この海岸線に迫った丘陵こそが大磯丘陵です。 この風景は二宮・国府津と続きます。
電車が国府津駅を出ますと、急に開放された広々とした低地が目に入ります。
これが足柄平野です。
山間から抜け出て、開けた平野を見下ろす光景は私の好むところです。
この平野は、小田原の栢山に生まれた二宮尊徳さんを悩ました酒匂川が造り出しました。
西丹沢を源とする河内川と、富士山の裾野を源流とする鮎沢川とが山北町の谷峨で合流した
酒匂川となる暴れ川により形成されました。
酒匂川は河床の傾きが急な上に、丹沢山地から多量の土砂が流れ込み、
洪水の度ごとに流路を変えて幾筋もの河道を持っています。
洪水の被害は、一村全体が壊滅したり、村ごとが近くの高台に移転したとの記録もあるようです。
酒匂川に沿って、かの有名な国府津ー松田断層が海から内陸に向かって走っております。
足柄平野と大磯丘陵の高低差は20mもありますが、この高低差を造り出した原因は国府津ー松田断層が
起こしたであろう巨大地震なのです。
大磯丘陵は1923年の関東大地震の時に縦方向1m、横方向数メートルも移動したと記録されています。
この丘陵の段丘面は、ほんの6000年前迄は、海面下にありました。
6000年前(縄文海進時)には、海面が今より5mも高かったとの事です。
すると土地が15mも隆起した計算になります。
大地震(M8クラス)が1回起きると0.5m隆起するとすれば、過去30回の地震があった事になります。
これは国府津ー松田断層が200年に1回の割合で大きく動いたと見なせます。
大磯丘陵は西の方が高く、JR国府津駅付近で海抜30m、東の高麗山の麓で10mと低くなっており、さらに南の海側が高く、北の内陸側が低いのです。
すなわち、南西方向から強い圧力が此の地点に掛かっているものと思われます。
大磯丘陵は日本でも第一級の地殻変動が激しい所です。
ですが、断層による次なる地震は2120年頃であり、誤差±20年としても、最短でも100年先になります。
従って、私達は断層がずれて南関東全体を揺らすであろう大地震を経験する事は出来ません。
誠に残念ですね。
中 舎 重 之
綜合企画設計工務一級建築士事務所
TEL:046-263-5029
FAX:046-263-9324
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