- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
『弁護士専門研修講座 金融商品取引法の知識と実務』
ぎょうせい、平成26年、本文約340頁。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
Ⅰ 金融商品取引法の構造と会社法との交錯
おおむね参考にはなったものの、以下のとおり、数か所、多大なる疑問を覚えた箇所があった。
・「新発」との記載は「新規発行」とすべきである。
・「既発」との記載は「既発行」とすべきである。
・金融商品取引所の市場の内外を問わずに、大量取得・保有報告制度(5%ルール)は適用される。
・MBO(マネジメント・バイアウト)とLBO(レバレッジド・バイアウト)は同義ではない。
・原則として損失補てんは禁止されているが、例外的に、証券会社が債務不履行した場合など「証券事故」の場合、監督官庁の承認を得た上で、証券会社が損失補てんを行う制度が認められている。
Ⅲ 不公正取引と課徴金
インサイダー取引、相場操縦等の金融商品取引法上の不公正な取引と課徴金についての解説である。
平成4年から平成15年までの不公正取引の一覧表は参考になるが、なぜか平成16年以降の部分がない。
インサイダー取引の対象である「重要事実」に関して、当該会社が借入金の債務不履行して遅延損害金が発生し特別損失に計上することが該当する点については、論者は、「損害」ではないと指摘している。しかし、当該会社が債務不履行して遅延損害金まで発生させ、かつ、通常、約定利率より遅延損害金の利率のほうが高率であるから、当該会社の経済的信用にかかわる重要な事実であることは当然である。論者はなにか勘違いされているのではないか。
また、論者は、インサイダー情報を知った場合、情報受領者が2カ月も3カ月も当該会社の売買ができない不都合と指摘されている。売買できないことは条文解釈上も当然のことで、実務でも、そのように運用されている。
情報受領者は、第1次情報受領者だけでなく、第2次情報受領者を付記産む。この点、論者は間違えている。
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