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日経記事(日経電子版);『トヨタ、燃料電池車を年内にも市販 官民の連携拡大』に関する考察

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皆様、

おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月29日付の日経新聞(日経電子版)に、『トヨタ、燃料電池車を年内にも市販 官民の連携拡大』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『水素で走る燃料電池車の普及に向けた官民の連携が拡大してきた。経済産業省は5月中に車に積む燃料タンクの規制をゆるめ、1回の充填で走れる距離を今より2割長くする。

2016年には安全審査を国際基準にそろえ、日本製の燃料電池車を海外に輸出しやすくする。規制緩和を受け、トヨタ自動車は世界に先駆け早ければ年内にも車両の市販に乗り出す方針だ。

燃料電池車は水素と酸素を化学反応させて生み出した電気でモーターを動かして走る。いま国内では数十~100台が試験用に走るのみ。政府は15年からの市販開始を成長戦略の一つに掲げ、普及策検討を進めてきた。

ひとつが燃料タンクの容量拡大。経産省は高圧ガス保安法の省令を改め、1回で車に補給できる水素の圧力上限を約700気圧から875気圧まで高める。これにより車両の走行距離は2割長くなる。

トヨタ車の場合、平均的な乗用車を上回る600キロメートルの航続が可能になる。東京・大阪間を水素補給なしで走り続けられる計算だ。

海外では高圧の補給が認められており、日本だけが規制のハードルが高かった。

輸出のハードルも下げる。国連は日本や欧州連合(EU)などが燃料電池車の輸出入を簡素化するための交渉を進めている。

政府は1国の安全審査を通った車両部品を他国の審査なしで輸出できる協定を16年に国内法に反映させる考え。日本の工場でつくった燃料電池車の輸出がしやすくなる。

トヨタは規制緩和を追い風に燃料電池車の量産に向けた開発を急ぐ。これまで「15年中」と公表していた市販開始の時期を14年度中に前倒しする方向。ホンダも15年中に一般向け販売を始める。

ほかに15年中の市販を予定するのは韓国の現代自動車のみで、日本メーカーが市場開拓でライバルを一歩リードする。

一般向け販売のハードルは500万~1000万円とされる車両の価格だ。政府は燃料を補給できる「水素ステーション」を15年に100カ所設ける目標だが、まだ3分の1しかメドが立たない。「消費者が購入価格に見合ったメリットを得られないと普及が進まない」(経産省幹部)

燃料電池車の普及を目指す自民党の研究会は6月中に、購入費用や燃料費の補助を政府に求める提言をまとめる。購入費用の自己負担を「200万円台まで」とし、水素の補給費用も当面は無料にする。政府は提言を受け、15年度予算に補助金をどれだけ盛り込むかの検討に入る。』


本日の記事通りだとしますと、トヨタ自動車は、当初計画で2015年から市場導入するとしていた水素自動車(燃料電池車)の発売を2014年に前倒して実施することになります。

燃料電池車は、水素と酸素を化学反応させて電気をつくる燃料電池を動力源する自動車です。CO2や他の有害ガス排出がないという点から究極のエコカーと言われています。

日本は、エコカー先進国です。石油や天然ガスなどの天然資源への輸入依存がほとんど100%であることと、環境対応への高い関心・理解をもっている国民性が反映して、低燃費な環境対応車が好まれる社会的背景があります。

これと対照的なのが現在の米国市場です。シェールオイル・シェールガスの産出・利用で、輸入石油への依存度が急速に低下したこともあって、燃費性能が良くなくても大排気量のガソリンエンジンを搭載した自動車が好まれるようになっています。

もちろん、すべての米国人がこのような傾向をもっていません。例えば、米国内で環境意識の高いカリフォルニア州の人たちは、上記とは別な視点をもっており、エコカーの積極導入に前向きです。

エコカーへのニーズという点では、現在および自動車普及が急速に進む、中国、インド、ASEANを中心とする新興国市場という巨大マーケットが存在しています。

すでに、中国、インド、ASEAN各国の首都などで、深刻な大気汚染問題が起こっており、ガソリン・ディーゼルエンジン車の更なる普及は、この汚染問題の深刻さを加速します。

自動車から出るCO2排出量抑制には、ガソリン・ディーゼルエンジン車の使用台数を削減していくことが本質的な解決につながります。

国内自動車メーカーのエコカーへの取り組みは、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、ガソリン・ディーゼルエンジン車のさらなる低燃費化対応で示されています。

特に、国内市場では、HVに対する人気が高く、需要増加が生産コストを引き下げて、HVの普及を促進するポジティブスパイラルになっています。

EVは、充電容量の制約から、充電後の走行距離が短いことと、夏や冬場でエアコン使用ができないなどの、日本国内で使うには実用的でないことから普及していません。

現時点での国内エコカーの本命は、HVと軽自動車です。但し、HVと軽自動車は、石油を使用していますので、究極のエコカーとはなりません。

実用的でかつ石油を使わない究極のエコカーは、現時点では燃料電池車になります。燃料電池車を使用するには、幾つかの課題があります。

・水素を供給する水素ステーションの設置と普及
・燃料電池車の販売価格の低下
・水素を安価に供給する事業環境を含めたインフラ整備、など

水素ステーション設置数は、燃料電池車の普及に大きな影響を与えます。最低でも当初計画通り、大都市を中心に、2015年で100施設数は必要です。政府の規制緩和や助成金の拡充などの支援策がポイントになります。

また、本日の記事によると、国内では、経産省が高圧ガス保安法の省令を改め、1回で車に補給できる水素の圧力上限を約700気圧から875気圧まで高める規制緩和を実施すると書かれています。

この規制緩和は、燃料電池車の水素タンク容量を大きくして、1回の補給での走行距離が伸びることを意味します。トヨタの燃料電池車の場合、1回の水素補給で、600キロメートルの走行が可能になりますので、ガソリン車と同等かそれ以上であり、極めて実用化になります。

次の課題は、燃料電池車の販売価格です。トヨタやホンダによると、販売価格は500万円から1000万円の間であるとのこと。

この価格帯では、現在のHVのような高い普及は当面期待できません。政府が購入者に対して、補助金を出す計画があります。仮に、1台当たり200万円くらいの補助金が出ますと、普及を促進することになると考えます。


水素は、自然界には存在しないものですから、人工的に作り出す必要があります。また、人工的に作った水素を供給する物流・保管インフラを新規に作り出す必要があります。

この水素生産から物流・保管・供給までの一連のインフラ構築・維持には、巨額投資が必要になります。水素を生産方法の一つとして、電力コストの安い国で水素を生産して、天然ガスのように液化して船で輸入するなどの方法が計画されています。

水素ステーションは、水素供給の出口の一つです。しかも、燃料電池車の販売台数や設置する水素ステーションの数から、自動車用途の水素消費量は極めて低いことになります。

水素を安く安定して供給するには、水素の消費先を新規に作り出すことがポイントになります。一つの潜在需要が天然ガスと同じような発電用途です。

水素を燃料にした発電所が実用化されると、その技術を応用して、高炉燃料としての使用方法も可能性があります。

水素を天然ガスと同じような用途に使用する考えです。水素を安価に生産・供給・使用するインフラ整備ができればかなりの需要が見込まれます。

水素発電所に関しては、2月16日付の日経新聞に、『水素発電設備、川重が世界初の量産 17年メド』のタイトルで記事が掲載されました。

この記事によると、「川崎重工業は2017年をメドに、水素を燃料とする火力発電設備を、世界に先駆けて量産する。水素は燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しないほか、長期的に発電コストが天然ガス火力並みに下がる見通し。」とされています。

水素発電所については、三菱重工業やGEなども開発・実用化を進めていますので、発電コストが記事にありますように、天然ガス火力発電コストと同じになれば、普及を促進することになります。

水素使用や燃料電池車は、日本にとって非常に大きな新規成長事業になります。政府の積極支援策、トヨタやホンダなどの自動車メーカーの積極開発・実用化、発電事業などの新規用途開発・実用化などが有機的に動けば、日本だけでなく世界市場で大きな需要創出になり、国内企業が勝ち組になれます。

水素関連事業は、すそ野が広く、多くのベンチャーや中小企業に大きな新規事業が生まれます。これらの点から、水素事業や燃料電池車の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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