日経記事;『有機EL,中小型で連合 革新機構主導 ジャパンディスプレイ・ソニー・パナソニック』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『有機EL,中小型で連合 革新機構主導 ジャパンディスプレイ・ソニー・パナソニック』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月26日付の日経新聞に、『有機EL、中小型で連合 革新機構主導 ジャパンディスプレイ・ソニー・パナソニック タブレット向け開発新会社』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中小型液晶パネル世界最大手のジャパンディスプレイ(JD)、ソニー、パナソニックが有機ELパネル事業で提携する。

タブレット(多機能携帯端末)向けの中小型パネルを共同開発する新会社を設立、将来の生産も含めた事業統合も検討する。

テレビ用大型パネルの実用化が難航するなか、スマートフォン(スマホ)や身に着けて使うウエアラブル端末向け需要も見込める中小型への転換を迫られた形だ。

提携は官民ファンドの産業革新機構が主導。新会社の枠組みは6月の合意をめざす。革新機構が過半を出資する見通しで、革新機構が筆頭株主で約35%出資するJDも2~3割、ソニーとパナソニックがそれぞれ1割程度を出資する方向で最終調整に入った。

JDは石川工場(石川県)、ソニーは厚木テクノロジーセンター(神奈川県)、パナソニックは姫路工場(兵庫県)でそれぞれ有機ELパネルの開発や試作をしている。3社の技術者が新会社に出向し、2年以内にタブレットやスマホ向けパネルの開発をめざす。

納入先のめどがつき次第、生産体制についても協議する。各社の試作ラインや量産ラインなど生産部門を含めた事業統合を視野に入れる。

中小型の有機ELパネルは既に韓国のサムスン電子がスマホ向けに生産しており、世界で約9割のシェアを持っている。

ソニーは2007年に世界で初めて有機ELテレビを開発するなどノウハウが豊富で、現在も放送局の画像チェックや医療現場で使われる有機ELモニター向けのパネルを東浦サテライト(愛知県)で量産している。有機ELパネルの生産は事業統合時に新会社に移管する方向だが、業務モニターの事業は継続する。

有機ELパネルではテレビ用でソニーとパナソニックが12年に共同開発を始めたが、13年末に提携関係を解消した。ソニーはテレビ向けの開発を凍結。パナソニックは業務用の開発を先行させてきたが量産を16年度以降に延期した。』


有機ELパネルは、本日の記事にありますようにソニーが、2007年に世界で初めて開発に成功したもので、映像のもとになる画素に電圧をかけると自ら発光する有機材料を使う新しい薄型のディスプレーです。

開発当時、有機ELパネルを使うと、当時の液晶ディスプレーに比較して、薄型にできることと、パネルの後に光源を置く液晶パネルと比べて画像が鮮明で、消費電力も抑制できることなどが注目されました。

また、最も大きな特徴は、曲げることができることであり、次世代パソコンのディスプレー用途としても可能性が論じられました。

有機ELパネルは、さまざまな可能性をもっていますが、有機材料の加工技術が難しく、生産コスト低減が大きな課題になっています。

さらに、液晶ディスプレーに代わるには、画面の大型化に対する歩留まり率があまりに低く、家庭用テレビの本命となるにはかなりの時間を要します。

仮に、大型家庭用テレビ画面サイズの有機ELパネルが量産化されるようになりますと、韓国、台湾、中国などのメーカーが価格競争をしかけてきますので、今の液晶ディスプレーテレビと同じように汎用化して、国内家電メーカーは収益拡大が図れないことが予想されます。


液晶ディスプレーテレビ事業の場合、汎用化して収益拡大が不可能になるとの見込みから、ソニーやパナソニックは、当該事業を大幅に縮小する、あるいは撤退する施策を取っています。

ソニーの場合、差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウが生きる中小型液晶ディスプレー事業に集中する形で、ジャパンディスプレイ(JD)に参画しています。

液晶ディスプレーテレビ事業については、ソニーは4Kなどの大型・高精細度液晶ディスプレーテレビ事業に特化しつつあります。

ソニーは、もともと放送業務用途や医療用途の大手ディスプレー提供事業者であり、現在は有機ELパネルを使ったディスプレイをこれらの業務用途に供給しています。

有機ELパネル事業は、本日の記事にありますように、中小型ディスプレイ用途に特化して、スマホ、タブレット端末などに提供するやり方が、国内ディスプレーメーカーの強みを出せると考えます。

中小型サイズであれば、技術的に生産コストを合理的な水準まで下げられますし、有機ELパネルの特徴である、高画質、低消費電力などは、今後のスマホやタブレット端末のニーズにも合致します。

サムスンなどの海外メーカーとの競争に勝てる分野であると考えます。

JD、ソニー、パナソニックなどの企業連合の課題は、各社がもつ叡智を結集して、海外メーカーに対して徹底的な差別化・差異化を可能にする技術・ノウハウを構築し、世界市場で勝ち組になるための事業展開ができるかどうかにあります。

国内自動車メーカーの場合、先日ブログ・コラムで書きましたように、次世代ガソリン・ディーゼルエンジンの開発・実用化に対して共同歩調で動ける素地があります。

これに対して、電子機器のメーカー間では、連携・協業が上手く実行されたことが少ない印象をもっています。

JDの事業は、現時点で軌道に乗りつつありますので、JDをコアにしてソニーとパナソニックが密接に連携・協業して、競争力のある有機ELパネルを使った中小型ディスプレー事業で、日本連合が勝ち組になることを大いに期待します。

この視点から、JD、ソニー、パナソニックの3社共同の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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