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村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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Blog201405、会社法

・『実務に効く M&A・組織再編判例精選』有斐閣
・『アメリカ法判例百選』有斐閣
・ビジネス法務2010年9月号「特集 自社・子会社・事業部門の売却型M&A―戦略と手法―」
・ビジネス法務2013年11月号「特集 親会社に知ってほしい子会社が抱える悩み」


『実務に効く M&A・組織再編判例精選』有斐閣
256頁、 2013年
 M&Aに関して、下級審から最高裁までの主な裁判例と簡単なコメントが付されている。
 ただし、点検してみると、採録されていない漏れ落ちている裁判例もある。
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第1章 M&A契約の解釈
1 買収監査と表明保証条項
2 M&A契約の重要事項の解釈
第2章 M&Aの実施判断
3 M&A等に関する判断と取締役の善管注意義務
4 M&Aの実施に対する債権者・契約関係者等からの提訴
5 対象会社からの資金援助等
第3章 M&Aの事前差止め
9 ライツプラン型買収防衛策
10 議決権行使禁止の仮処分
第4章 M&Aの事後的効力否定等
14 債務引受広告
15 労働契約の承継
第5章 M&A契約外での損害賠償請求等
17 有価証券報告書の虚偽記載と損害賠償請求
第6章 株式買取請求権・価格決定申立て
18 株式対価組織再編における株式買取請求権
19 スクィーズ・アウト型組織再編における対価の適正性
第7章 その他
20 株主の情報取得権
21 種類株式と公開買付規制
22 公開買付規制
23 インサイダー取引規制
24 独占禁止法の企業結合審査
25 税務上の処理


『アメリカ法判例百選』有斐閣、2012年
118 取締役の注意義務と経営判断原則、スミス対ファンゴルコム判決(デラウェア州最高裁判決)
119 ユノカル判決(デラウェア州最高裁判決)
120 レブロン判決(デラウェア州最高裁判決)


ビジネス法務2010年9月号、自社・子会社・事業部門の売却型M&A―戦略と手法―
「売り手主導のM&A戦略」
スケジュール遅延は、売り手にとってのみ損失となるという論述があるが、疑問がある。例外的に、例えば、UFJ銀行事件のように、1番目の買い手より、2番目の買い手(当時の東京三菱銀行、現、三菱東京UFJ銀行)のほうが条件が良い場合もあるからである。
「会社の上手な売却法」
上場会社の場合、金融商品取引法により、公開買付け規制(金融商品取引法27条の2第1項2号)、有価証券通知書(金融商品取引法4条6項)と目論見書(金融商品取引法13条1項、15条2項)を発行会社から交付してもらうことが必要である。インサイダー取引(金融商品取引法166条、167条)に注意が必要である。
「セルサイド取引の類型と効果的なオークション手法」
スタンド・アローン・イシューとして、M&Aにより、譲渡対象会社が売り手企業グループから切り離された場合、経営・取引・財務内容に悪影響をあたえないかが問題となる。例えば、譲渡対象会社が親会社と譲渡後の取引を継続できるか、親会社の保険に入っているような場合などが考えられる、
 また、M&Aに際して締結されるコベナンツとして、売主は従業員・役員の引き抜き・勧誘の禁止、ライセンス契約や取引の譲渡制限条項・チェンジオブコントロール条項付きの重要契約についての第三者の同意を取得すべき条項、買主は従業員の一定期間の雇用継続・雇用条件の維持などの条項が考えられる。
「売り手企業の取締役責任論」
 アメリカの判例で取締役に要求されるレブロン義務(より高値で企業を売却すべき義務)は、日本法では直ちに妥当するものではないと解されている。ライブドア事件、UFJ銀行事件では、この論点の結論は明示されていない。
「価格交渉に求められる売り手の姿勢」攻めとしてのバリュエーション、守りとしてのデューデリジェンス


ビジネス法務2013年11月号「親会社に知ってほしい子会社が抱える悩み」と題する特集
「子会社はどんなことで悩んでいる?」
1、子会社の定義で問題となるのは、以下の法律等である。
・会社法
・財務諸表規則、連結財務諸表規則
・金融商品取引法
・法人税法の完全支配子会社(本稿では指摘されていない。なお、連結税務申告の対象は任意であるが、100%グループ法人の場合の税務申告は義務である。)
2、親子会社の関係について、
・持株会社
・製造会社と販売会社
・事業会社同士
・親会社の1部門や附帯業務を行う子会社(本稿では指摘されていない)
3、子会社の悩み
・契約書
・親子会社間の取引
・複数ある親会社の出資比率
・役員の派遣
・親会社への報告または承認
・販売先の制限
・上場会社である親会社の内部統制システムや会計監査

「トラブルに巻き込まれないための子会社の契約書管理」
親会社と契約の条件、契約書のフォーマットなどを統一する必要がある。
また、本稿では指摘されていないが、利害が相反しやすい親会社との間の契約をどのように取り扱うかも、大きな問題である。

「Q&Aで解決!親子会社間の人事労務」
1、 親会社から派遣された子会社取締役が、親会社に有利となる利益相反取引をしようとした場合
2、 従業員に子会社への出向、転籍
3、 子会社に雇用されている従業員が雇止めされた場合、親会社に雇用関係を主張できるか。
本稿では指摘されていないが、最高裁の朝日放送事件やパナソニック事件により、親会社に直接、団体交渉したり雇用関係を主張できる場合は例外的である。
4、 他社にM&Aされて子会社となった場合
(1) 役員
本稿では指摘されていないが、期中に選任・解任される役員の任期の問題がある。
(2) 従業員
① 人員整理
② 労働条件の不利益変更
就業規則による不利益変更がある。本稿では指摘されていないが、労働契約法9条、10条が問題となる。
または、本稿では指摘されていないが、労働協約や個別労働契約による不利益変更が考えられる。

「出資比率の違いによるガバナンスの悩み」
1、 完全子会社の場合
親会社派遣の非常勤取締役がいる場合に、取締役会の開催、迅速な意思決定等が問題となる。
2、 親会社が複数の場合
親会社同士の方針の違いが問題となる。
3、 持株会社傘下の子会社

「東芝に聞く法務部の体制とグループ会社管理」
 東芝では、コーポレート・ガバナンスを扱うコーポレート法務部とカンパニー法務部に分けられている。
 コーポレート法務部では、コーポレート・ガバナンスに関する株主総会、取締役会、グループ経営、カンパニー間の調整を扱う。
カンパニー法務部では、個別の取引に関する契約の条件、契約書などを扱う。
 


ビジネス法務2013年11月号「東証『MBO等に関する適時開示内容の充実等について』の解説」
 支配株主、MBOによる公開買付けについてのディスクロージャーに関する東京証券取引所規則の改正(平成25年)である。これらについては、買収側の利益相反性、情報の非対称性が問題となっている。
 MBOについては、レックス・ホールデングス事件の裁判では、買収者側が、正確な情報を提供したうえで、公平な価格を誠実に協議すべき義務が認められている。
 このたびの改正では、買付け価格の算定方法の開示すべき情報の充実、複数の中長期計画に関しては複数の予測とその資料などが決められた。

ビジネス法務2013年11月号「クロスボーダーM&A時に気をつけたい保険に関するデューデリジェンス」
 日本ではあまり例がないが、外国では、保険の専門家により、保険を取り扱う専門部署がある。
 M&Aした場合、従前のオーナー企業が加入していた保険(E&O業務過誤賠償責任保険、D&O役員賠償責任保険など)が使えなくなるので、保険事故の対象となる期間、保険が請求できる期間の始期・終期に関して、新たに加入する保険については、注意を要する。