日本経済7&8月号 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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対象:家計・ライフプラン

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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日本経済7&8月号

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  1. マネー
  2. 家計・ライフプラン
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やさしい経済の話し 日本経済の話し

減速度合いが強まる日本経済


4月の景気動向指数は、「局面変化」と判断。
景気動向指数では、「7ヶ月移動平均の符号が変化し、1ヶ月ないし3ヶ月の累積で、1標準偏差分以上方向が触れた場合」に「局面変化」−事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数ヶ月にあった可能性が高いことを暫定的に示す−と定義されている。

これは、4月の景気動向指数は、一致CI(現状を示す数値)の3ヶ月移動平均は前月比▲0.66%、7ヶ月移動平均では▲0.44%となったことから、このような判断がされたものである。
つまり、これまで戦後最長の「いざなぎ景気」をすでに超えてきた景気拡大期がひょっとするとすでに山を越えて景気後退期に入った可能性があるのである。(この判断は事後的−約1年後−にされる)
さらに、7月に発表された5月の景気動向指数では、3ヶ月、7ヶ月共にマイナスとなり、3ヶ月連続の低下となった。3ヶ月連続して、3ヶ月移動平均がマイナスとなった場合には、「悪化」(景気後退の可能性が高いことを暫定的に示すもの)という判断となるが、当月の一致CIがかろうじてプラスだったために、現状の「局面変化」という基調判断は変更されなかった。

いずれにしても、景気全体について言えば、「踊り場」の状況から「景気後退」懸念が大きくなってきているようである。

資源高騰が続く


この大きな要因となっているのが原材料・燃料コストの高騰であり、足元の企業の収益に大きな打撃を与えている。3月期の法人企業統計によると、全産業の経常利益は前年同期比▲17.5%と、3四半期連続のマイナスとなった。売上高も同▲1.5%となり、2002年4-6月期以来、約6年ぶりに減収減益となってしまった。

6月の日銀短観における収益計画では、2008年度は+2.4%の増収、▲4.4%の経常減益と、2年連続の増収減益計画となっているが、4月以降もさらに原材料が高騰しており、企業にとっては大変厳しい年度ス
タートとなっている。

中小企業は価格転嫁できず苦しみ続く


中小企業庁がまとめた4-6月期の中小企業景況調査によると、全産業の業況判断DIは、▲32.5と前期▲29.8からさらにマイナス幅が拡大している。産業別にみても、製造業(6期連続のマイナス)、非製造業(7期連続のマイナス)ともにマイナス幅が拡大した。また、地域別の業況判断DIは、全8地域中、北海道を除く7地域でマイナス幅が拡大。全産業について都道府県別にみると、高知、宮崎、埼玉など15道県でマイナス幅が縮小し、長野、岡山など32都府県でマイナス幅が拡大した。
興味深い数字としては、原材料・商品仕入単価DI(「上昇」−「低下」前年同期比)は5期連続で上昇幅が拡大⇒原材料が高騰を続けている。売上単価・客単価DIとの差は、調査開始以来の最大幅を5期連続で更新している。つまり、原材料価格の高騰を販売価格に転嫁できない状況が継続しているということである。ここに、特に中小企業の最大の問題点がある。そして、その分野は産業界に限らず、漁業などにも大打撃を与えており、政府は緊急での援助措置を検討している。

このように、全体として閉塞感が出ているが、根源である原油価格の高騰が止まり、現状よりも低下しない限り景気拡大の見通しは立たないものと考える。それは、日本だけのことではなく、コラムでも取り上げたG8はじめ全世界的に大きな転換点を向かえているのであろう。