今回、県教委から出された指針を学校によって「運動部」を対象にしている学校もあれば、すでに「運動部・文化部」として校内の全部活を対象にしている学校もあります。
今回の指針について音楽系の部活動への影響はゼロではないということでしょう。
今回の指針の柱はこの4点です。
(1)中学生の運動部離れ
(2)体力、運動能力、競技力の低下
(3)「運動部活動の延長として行われている社会体育活動」のあり方
(4)既存の地域の社会体育活動の充実と総合型地域スポーツクラブの育成・支援
では一つずつ見ていきましょう。
(1)中学生の運動部離れ
平成25年度の調査では長野県内の中学生の運動部加入率は60.1%となっています。
男子は72.1%、女子は47.2%となっており、男女とも年々減少傾向にあるといった結果も出ました。
また全国との比較では「運動部・文化部、どちらにも参加していない生徒」の割合は全国が12.9%、長野県は18.3%と多くなっています。
長野県は運動部離れとともに部活動の未加入生徒の増加がみられるという結果が出ています。
私の肌感覚では吹奏楽部に参加している生徒数は学校により年により変わってきますが横ばいではないかと感じます。
少子化や過疎化(僻地、または都市部のさらに中心部)の影響で学校自体の生徒数が減少している学校は全校生徒数減に比例して部員数が減っています。
(2)体力、運動能力、競技力の低下
運動部に参加しないため、運動能力の低下や生涯に渡ってスポーツに親しむ健康的な生活が送れなくなってしまうのではないか、と懸念されています。
運動部に入部しない理由の一つに「練習時間の長さ」が挙げられ、中学に入学したばかりの生徒が練習量(活動時間)の多さ故に運動部を敬遠しているのではないか、ということが挙げられました。
また今回の指針では、望ましい生活のリズム、栄養・運動・睡眠のバランスの取れた生活、といった健康面からのアプローチをしているのも特徴です。
睡眠時間、学習時間のデータも資料にまとめられており、両方とも全国平均に比べ長野県は時間が短く、また起床時間が早いという結果が出されました。
競技力の低下についてですが、全国大会や北信越大会での県勢の成績は下位が続いており指導のあり方が課題、と提言されています。
活動時間の長さと大会の成績が比例していない年が続いているということもデータで表していました。
スポーツ競技の向上については例えば長野県体育協会で行われている「スワン・プロジェクト」というものがあります。
これは冬季オリンピックのメダリストを育成するために立ち上げられた事業で、体力・運動能力が特に優れた小中学生をセレクションし、計画的・継続的にトレーニングをおこなおうというプロジェクトです。
長野オリンピックで使われた施設もあり、ナショナルトレーニングセンターとして指定されてるため練習環境が整っています。
Jリーグでのジュニアチームのシステムのほうが皆さんに分かりやすいでしょうか。
今回の指針には「部活動によって競技力を上げる」という文言はありません。
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
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