インド特許法の基礎(第12回)(1)~審査請求制度~ - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
弁理士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:特許・商標・著作権

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

インド特許法の基礎(第12回)(1)~審査請求制度~

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 特許・商標・著作権
  3. 特許・商標・著作権全般

インド特許法の基礎(第12回)

~審査請求制度~

 

2014年5月30日

執筆者 河野特許事務所

弁理士 安田 恵

 

1.はじめに

 2002年特許法改正[1]により,審査請求制度が出願公開制度と共に導入され,特許庁は出願審査の請求を待って特許出願の審査を行うことになった(特許法第11B条)。日本の審査請求制度と同様の制度であるが,審査請求の期限および起算日が日本と異なる。

 

2.審査請求の要件

(1)主体的要件

 出願人又は利害関係人は審査請求を行うことができる(第11B条(1))。利害関係人には,特許出願に係る発明と同一の分野における研究に従事し,又はこれを促進する業務に従事する者が含まれる(第2条(1)(t))。

 

(2)客体的要件

 インド特許庁に係属している全ての特許出願が審査請求の対象である(第11B条(1))。特許出願には,通常の特許出願(第7条(1)),条約出願(第2条(1)(c),第135条),PCT国内段階出願(第7条(1A)),分割出願(第16条),追加特許(第54条)の出願が含まれる。

 

(3)時期的要件

 審査請求の時期的要件は重要な要件であるため,図解しながら説明する。

 

(a)通常の特許出願

 通常の特許出願の審査請求は,図1に示すように出願日から48ヶ月以内に行わなければならない(規則24B(1)(i))。

 

 
図1:通常の特許出願の審査請求期限

 

 仮明細書による特許出願後,1年以内に完全明細書を提出した特許出願の審査請求は,図2に示すように仮明細書を添付した特許出願の日から48ヶ月以内に行わなければならない(第11条(2)(b),規則24B(1)(i))。ただし、仮明細書を取り消し、仮明細書に係る出願日を完全明細書の提出日へと後日付けにした場合(第9条(4),17条(1))、審査請求期限は完全明細書の提出日から48ヶ月になる。

 

 

図2:仮明細書特許出願の審査請求期限

 

(b)条約出願

 条約出願の審査請求は,図3に示すように優先日から48ヶ月以内に行わなければならない(規則24B(1)(i))。図3の場合,日本における特許出願日が優先日であり,審査請求の期限はインドにおける実際の出願日から48ヶ月では無く,優先日である日本の特許出願日から48ヶ月である。優先権主張の基礎が複数ある場合,最先の優先日が審査請求の起算日である。

 

 

図3:条約出願の審査請求期限

(c)PCT国内段階出願

 優先権の主張を伴わないPCT国内段階出願の審査請求は,国際出願日から48ヶ月以内,優先権の主張を伴うPCT国内段階出願の審査請求は,優先日から48ヶ月以内に行わなければならない(規則20条(4) (ii),規則24B(1)(i))。図4は,優先権の主張を伴うPCT国内段階出願の審査請求期限を示している。審査請求期限は,国際出願日から48ヶ月では無く,日本における特許出願日(優先日)から48ヶ月である。優先権主張の基礎が複数ある場合,最先の優先日が審査請求の起算日である。 

 

 

図4:PCT国内段階出願の審査請求期限

 

 

(d)分割出願

 分割出願の審査請求は,原出願の出願日又は優先日から48ヶ月以内,又は分割出願の出願日から6ヶ月以内のいずれか遅い方にしなければならない(規則24B条(1) (iv))。図5は,分割出願の日から6ヶ月の期間が,出願日(又は優先日)から48ヶ月の期間より先に満了する場合の審査請求期限を示している。

 

 

図5:分割出願の審査請求期限(ケース1)

 

 

 

 図6は,分割出願の日から6ヶ月の期間の途中で,出願日(又は優先日)から48ヶ月の期間が満了する場合の審査請求期限を示している。 

 

図6:分割出願の審査請求期限(ケース2)

 

 図7は,出願日(又は優先日)から48ヶ月の期間が満了後に分割出願を行った場合の審査請求期限を示している。 

 

図7:分割出願の審査請求期限(ケース3)

 

(e)追加特許

 追加特許の審査請求期限は条文及び規則に明示されておらず,「特許庁の特許実務及び手続の手引(インド)」にも特段の説明が無い。追加特許の基礎となる主発明の特許出願日を優先日と解釈すると,主発明の特許出願から48ヶ月経過後は追加特許の出願はできるが,審査請求を行えないことになってしまう。また分割出願のように審査請求期限日の例外規定も無い。このようなことから,追加特許の審査請求期限は追加特許の現実の出願日から48ヶ月と考えるのが妥当と考えられる。

 

(f)秘密保持の指示が発せられた出願

 特許出願に係る発明が国防目的に関する発明として秘密保持の指示(第35条)が発せられている場合,当該特許出願の審査請求は,優先日若しくは出願日から48ヶ月以内,又は秘密保持指示の取消の日から6ヶ月以内の何れか遅い方にしなければならない(規則24B条(1) (iii))。図8は,特許出願日から48ヶ月経過後に秘密保持指示が取り消された場合の審査請求期限を示している。 

 

図8:秘密保持の指示が発せられた特許出願の審査請求期限

 

(g)2005年1月1日以前に行われた物質特許の出願

 2005年1月1日以前に行われた医薬品等の発明に係る特許出願の審査請求期限は、出願日又は優先日から48ヶ月以内、又は2004年12月31日から12ヶ月以内に行わなければならない(第11B条(3),規則24B(1)(ii),規則24B(1)(v),2002年特許法第11B条(3))。

 

(4)手続的要件

 審査請求は,所定の手数料[2]を納付し(第142条,規則7条),所定の様式18により行わなければならない(規則24B(1) (i))。

 

 

⇒第2回に続く

 

特許に関するご相談は河野特許事務所まで

 



[1] “The Patents (Amendment) Act 2002, 25 June 2002”, Sec. 9 (http://ipindia.nic.in/ipr/patent/patents.htm

[2] 2014年特許規則(http://www.ipindia.nic.in/iponew/patent_Amendment_Rules_2014.pdf)により料金が改定された。

 |  コラム一覧 | 

このコラムに類似したコラム