日経記事;『「ガラ軽」と呼ばせない スズキ/ダイハツ,アジアで攻勢 安さ/低燃費 強い競争力 』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『「ガラ軽」と呼ばせない スズキ/ダイハツ,アジアで攻勢 安さ/低燃費 強い競争力 』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月10日付の日経新聞に、『「ガラ軽」と呼ばせない スズキ・ダイハツ、アジアで攻勢 安さ・低燃費 強い競争力 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『スズキは9日、2014年3月期の四輪車販売が前年同期比1.9%増の271万台だったと発表した。世界販売の半分を軽自動車をベースにした車が占めた。

軽は日本独自の規格で「ガラパゴス」とも揶揄(やゆ)されるが、安価で低燃費を実現する技術は今、世界で競争力を発揮する。15年度からの増税など逆風が吹くなか、危機感を強めるスズキやダイハツ工業は「軽のグローバル化」にアクセルを踏む。

印パで660cc検討

「ガラ軽とはガラッパチ(言動が粗野な人)が言うことであって現実はそうではない」――。同日都内で開いた記者会見でスズキの鈴木修会長兼社長は、日本で独特の進化をした携帯電話「ガラケー」をもじった「ガラ軽」の呼び名に反論した。

「軽自動車は性能が良くなり、国際的に通用する車になった。(小回りのききやすさが求められる)島国の多いアジアには特に適している」

1983年、インドに進出したスズキは軽「アルト」「ワゴンR」に1000ccのエンジンを載せるなどしてシェア4割を握る牙城を築いた。軽技術をテコに次に狙うのは東南アジア。インドネシアでは最量販車種の「ワゴンR」を発売し、約930億円を投じて新工場も建設する。

軽の改良車にとどまらない。エンジン排気量が660ccの日本の軽そのものを海外で売る検討にも着手した。インド子会社では試験的に660ccを導入。パキスタンでは660cc車の販売を視野に入れる。「日本の660ccのエンジンの方が性能がいいという声がある」(鈴木会長)という。

低コスト生産と燃費技術にもさらに磨きをかける。

これまで車づくりで進めてきたのは「1部品1グラムの軽量化、1円のコスト削減」運動だったが、今年からは工場で「振り返る1歩の削減運動」を始めた。

製造ラインの配置が悪く工場内で従業員が無駄に歩くと、1カ月で1人が地球1周分を歩く距離になるという試算に基づく生産合理化だ。

生産技術も進化

スズキだけではない。「軽の低価格、省資源の手法を新興国でも展開したい」。ダイハツの三井正則社長も4月の決算発表でこう語った。4期連続で営業利益が最高となった業績を支えるのはインドネシアとマレーシアでの販売。軽の技術を使った小型車の海外販売は世界全体の4割に上る。

74万円と国内最安の軽「ミライース」でも利益を出すダイハツの強みは生産技術だ。軽に特化した中津第二工場(大分県中津市)は超高密度で多関節ロボットを配置。従来なら10万台しか造れないはずの工場面積で、2倍の量産を可能にする。

「同じ工場をつくりたい」。中国メーカーなど海外からはそんな要望がくる。技術畑の伊東孝紳ホンダ社長が同工場を訪問した際、写真撮影禁止の工場内を思わずスケッチしたとのエピソードは語り草だ。

ダイハツは大分の生産技術をインドネシアの新工場に移植。軽のものづくりを取り入れた「アイラ」を同国で販売し、トヨタにもOEM(相手先ブランドによる生産)供給した。マレーシアでも軽技術を取り入れた「ビバ」が好調だ。

さらに車体剛性の強いフレームをベースに、外板を樹脂で組み合わせて軽量化する新しい技術を開発し、海外展開することも視野に入れている。軽自動車は技術開発のフロンティアといえる。

ダイハツとスズキはガソリン1リットル当たり何キロメートル走るかという燃費競争で、すでにハイブリッド並みの30キロ超を実現。「コンマ1キロ」というレベルで腕を競い合う。東南アジアなど新興国では、20年をめどに欧州並みの燃費規制が一斉に始まるとみられており、燃費競争の成果はグローバルな商品力に直結する。

国土の狭い日本の小型車として発展してきた軽。15年度からの増税で軽への「優遇」は薄れる。性能向上の結果として、軽という規格自体の見直しにつながるとの見方も業界にはくすぶる。

スズキもダイハツも、さまざまな事態を想定し、世界で戦える体制を本格的に整え始めているようにもみえる。』


本日の記事で使われている「ガラ軽」の比喩の対象となるのは、「ガラケー」です。語源由来辞典によると、ガラケーは、ガラパゴス携帯電話(ケータイ)の略称です。ガラパゴスはエクアドルから西方約900㎞の太平洋上に浮かぶ諸島で、他の島との接触がなくかい離された状態であったため、独自の進化を遂げた動植物が多く存在することで有名です。

ガラパゴス化とは、ガラパゴス諸島の生物のように、独自の進化をすることであり、通信やIT技術などで国際規格とは異なる方向で進化することをいいます。

国内の携帯電話がガラケーになった理由は、幾つかあります。まず、技術的視点でみますと、日本の携帯電話は、導入当初から世界最先端の独自技術を多く採用し、その性能や機能は世界最高水準でした。

しかし、政府がイニシアチブを取って、携帯電話の普及と発展を奨励するためさまざまな産業政策がとられました。例えば、政府は、携帯電話の通話に使う周波数を国が無償で携帯電話事業者に貸与する政策をとりました。

また、業界優遇政策の一環として携帯事業者による消費者の囲い込みが長らく許容されていました。これらの政策により、通信事業者がキャリアメール、SIMロック端末、独自コンテンツサービス、携帯契約などの様々な障壁を積み重ねることによって消費者を強固に囲い込むことが可能であり、結果として既存顧客の流動性が極端に低い状態になりました。

その結果、通信事業者が消費者を強力に囲い込んでいることから、携帯電話メーカーが通信事業者に従属するという状態の中で、メーカーは携帯電話事業者の要望に沿い、多機能であり、かつ商品寿命の短い一社専用高機能・高性能携帯電話に重点をおいて開発することとなりました。

国内の携帯電話の仕様は、世界的な標準とは大幅に異なるものになっていきます。現在の国内携帯電話メーカーの中で、かろうじて世界シェアをもっているのは、ソニーのみです。

ソニーは、スエーデンのエリクソンと携帯電話事業で合弁会社を作って世界市場で事業展開したことで、かろうじて数パーセントのシェアをもっています。

すでに、国内メーカーの中では、デンソー、三菱電機、パナソニック、東芝、NECが携帯電話事業から撤退しています。

携帯電話事業がガラケー化したもう一つの背景に、通信事業者が多額の販売奨励金による端末実売価格の引き下げによって消費者の購買意欲を刺激して、日本メーカーは国内だけで利益があげられる仕組みであったことがあります。

当時、国内メーカーはぬるま湯の国内市場で収益をあげられたので、世界市場で事業展開するモチベーションがありませんでした。

その結果、現在の国内携帯電話市場は、スマホの有力提供企業である、アップルとサムスンに大きなシェアを取られています。最近の国内メーカーで気を吐いているのは、ソニーくらいです。

通信やIT事業は、国際規格やデファクトスタンダード環境下で事業しないと、日本および世界市場で勝ち組になれません。

ガラケーは、国内携帯電話メーカーの惨敗状態を的確に表しています。


一方、本日の記事にあります軽自動車も、日本独自の規格で、日本の自動車の分類の中で最も小さい規格に当てはまる、排気量660cc以下の三輪、四輪自動車のこと。125cc超250cc以下の二輪車も入ります。

軽自動車は、国際規格にありませんので、ある意味でのガラパゴス製品の一つになります。しかし、軽自動車は、決して上記携帯電話とは同じ道を歩みません。

その大きな理由の一つは、すべての軽自動車メーカーが海外市場開拓を行っていることによります。

軽自動車メーカーの代表格の一つであるスズキ自動車の場合、他メーカーより先行してインド市場開拓を行い、現在でも大きなシェアをもっています。

国内軽自動車メーカーは、軽自動車で培った小型軽量化、安全性・耐久性の担保、高い燃費性能をもった小型乗用車を東南アジアで生産・販売しています。

この海外市場開拓と軽自動車技術の積極的活用が、国内軽自動車メーカーがガラパゴス化しない大きな要因になります。

米国や欧州は、日本との自由貿易協定交渉の中で、日本独自の軽自動車規格の撤廃を要求しています。

将来、ある時期に国内市場から軽自動車の規格がなくなる可能性があります。しかし、本日の記事で、スズキ自動車の鈴木修会長兼社長が、「ガラ軽」と呼ばせないと発言していることが、今後の国内軽自動車メーカーの世界市場での事業展開を明確に反映しています。

軽自動車で培った小型軽量化、安全性・耐久性の担保、高い燃費性能をもった小型乗用車は、ASEANを中心とする東南アジア、インドバングラデシュなどで大きない需要が見込まれます。

例え、軽自動車市場が国内で無くなったとしても、車作りのベースとなる技術の維持・強化により、強力な小型乗用車を開発・実用化できる能力をもっていることによります。


私は、経営コンサルタントとして、中小製造事業者やITベンダーの新規事業立上や海外市場開拓を支援しています。最近、多くの企業に新規事業立上と海外市場開拓を同時に行うようにアドバイスしています。

これは、インターネットやITの普及で、国内市場と世界市場が非常に近くなり、国内市場開拓にのみ力を注いでいると、海外の動きから遅れたり、国内市場で海外企業との競争に負ける可能性があることによります。

日本には、軽自動車メーカーという優れた参考事例があります。スズキやダイハツの動きは、大いに参考になりますので、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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