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山中 伸枝
山中 伸枝
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閲覧数順 2016年12月05日更新

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日本国債の破綻の可能性について考える

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前回は日本の政府及び自治体の債務残高が、平成26年度末に1,000兆円を超えることを財務省資料で説明しました。

この債務残高は対GDPで世界最悪のもので、2011,年にGDPの2倍を超え2014年では231.9%になります。
下記のグラフを紹介している財務省のコメントでも
債務残高の対GDP比を見ると、90年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準となっています。と書かれています。

140430債務残高対GDP財務省日本の財政関係資料より

国が持つ金融資産を引いたのちの純債務残高も対GDPで150%を超え、世界最悪のレベルとなっています。
純債務残高とは、政府の総債務残高から政府が保有する金融資産(国民の保険料からなる年金積立金等)を差し引いたものです。我が国は、純債務残高で見ても、主要先進国で最悪の水準となっています。(財務省:純債務残高の国際比較コメントより引用)

これらの状態から、多くの経済学者や金融に関係している方たちの中で「いずれ破たんする」と述べられる方が大勢いらっしゃいます。
その考え方の前提にあるのは、財政の改善が進まず、現行のトレンドで国債の発行が増加すると考えていらっしゃいます。
日曜日に放送された劇場版「相棒」の財務省・大手都市銀行の方達も、トレンドをベースとしてX-Dayを求めていました。

その一方で、今後の政策が適切であれば、「破綻はしない」とする、経済学者、金融関係、行政の人たちもいます。
その根拠は、今後税収の伸びと歳出の改善が可能と考えておられるからです。
今回このコラムを書くに当たってベースとしている、資料もその立場から論が進んでいます。

私も、かなりこの立場に近い考え方です。

日本の財政関係資料の中から、赤字国債の発行原因が記載されています。
下図2表はその要因を特定し、「問題のあり場所」が挙げられています。

公債残高の増加要因は財務省のコメントによると
特例公債の発行から脱却することのできた平成2年度以降の公債残高の累増について見てみると、歳出面では、90年代は公共事業関係費の増加が主要因でしたが、近年では高齢化の進行等に伴う社会保障関係費の増加や地方財政の悪化に伴う財源不足の補てん(地方交付税交付金等)の増加が主要因となっています。また、歳入面では、景気の悪化や減税による税収の落ち込みが主要因となっています(財務省公債残高の増加要因コメントより引用)。

特例国債の発行が無かった平成2年から26年度までの公債残高の増加額は約603兆円でした。それらを分解すると
歳出の増加要因は、
1.社会保障関係費+210兆円(現在も毎年3兆円弱増加しています)。
2.地方交付税交付金等+78兆円

140430歳出の増加要因財務省日本の財政関係資料より

税収等の減少要因は
3.税収減(景気低迷や類似の減税等による)+198兆円

140430税収の減収要因財務省日本の財政関係資料より

これらの要因を加算すると486兆円で、増加額の約80.6%になります。

これらを改善することで、国債のX-dayは先に延びるまたは回避できることになります。
1.社会保障費は、現在高齢者医療費の自己負担率を上げることが決定されていますし、物価スライドを発令しなかった年金の過剰支払いも、返金が開始されています。また、有識者による支給年齢の繰り上げが検討されています。私見ですが、平均寿命が大幅に伸びているのですから、支給開始年齢は70歳程度まで上げるのが、自然ですし、年金を長寿リスクへの保険と考えれば、受給者の要件収入と資産応じたものに変化すると思われます。
このことにより、年金給付金の増加にも歯止めが掛り、医療費の税からの補助も歯止めが掛ります。

2.地方交付税交付金も減額は必至です。社会構造の変化により、従前と同じものを求めることは不自然です。夫々の地方で特区方式による経済活性化や、都会への集中策が取られつつあります。筆者は地方の改善については疑問視していますが、一定の段階で交付金の増加は見直しされると考えています。現在国民の大きな負担になっている農家への支援策も見直しが始まり、農協の改革も漸く検討されだしています。

3.税収減への対応
これについては、本年4月1日から消費税の増税が導入され、漸くにして負担の増加が始まりました。本年中には2%の消費税追加増税も導入時期の可否が決まります。
増税に反対されるのも良いのですが、それに対応して歳出・給付も削減しなければ、国債のリスクが高まり、金利上昇で苦しむのは、生活者(住宅ローン等で)です。
また金融破綻が議論されるようになれば、結局しわ寄せは生活者に回ります。

法人税の税率を下げる議論がなされています。税収は企業が成長し、利益が拡大すれば税率が下がっても法人税が上がる場合もあります。
日本人の過半はサラリーマンです。企業の活性と景気回復により、税収増を図るのが、政治家としての一つの務めと筆者は考えます。

下図は、利払い費と交際段が、そして金利のグラフです。金利は平成24年度まで下がり続けました。これにより、利払い費は抑制されてきています。しかしながら、インフレ率が2%の時代になれば金利も上昇します。
このことから国債のデフォルトがあると言及されている方もありますが、インフレ率が1%台で終わることもあり得ますし、現在超長期国債の発行量を多くして、利払いの変化を和らげる動きも継続されています。

140430利払い費金利と公債残高財務省日本の財政関係資料より

明日、国債金利が上昇しても、1,000兆円全体に高い金利が適用されるのではありません。新規発行分と借り換え分のみです。現在発行されている国債のトータルの償還年限は8年です。従って理論的には、利払いが元々の国債が残る為、全体にかかる金利は徐々に上がってまいります。
その間に、前述の施策が効いてくることを期待したいと思います。

ところで インフレになれば税収も増えることになります。
消費税や所得税も、インフレによって売り上げや利益も嵩上げされるため、それに掛ける税率が一定であれば、税収も増加するのです。このことは、新聞等の報道に載りませんが、税率で決まっている税が殆どですので、税収にはきわめて大きな影響が出ます。

ところで、もう一方の観点として、我々の税負担はどの程度の余裕があるのかを示すのが、各国の「税+社会保障費の国民負担率」です。
これも、財務省の資料に掲載されています。

140430国民負担率の主要各国比較財務省日本の財政関係資料より

日本よりも負担が低い国としてアメリカがありますが、ヨーロッパ各国は総じて日本よりも負担率が高くなっています。
国民が耐えられる負担率は、各国の政府への信頼度や、社会保障の公正さなどにより異なると思いますが、日本もヨーロッパレベルの負担は可能ではないでしょうか。

「国債の破綻」を回避する施策は多いものと考えています。

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