日経記事;『東芝、戦略投資で社長枠1000億円 ヘルスケアなど強化 変化に対応、より早く』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東芝、戦略投資で社長枠1000億円 ヘルスケアなど強化 変化に対応、より早く』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月27日付の日経新聞に、『東芝、戦略投資で社長枠1000億円 ヘルスケアなど強化 変化に対応、より早く』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は田中久雄社長が自らの判断でヘルスケア事業など重点分野の投資を即座に増やせる仕組みをつくる。全社横断の8項目の改善活動プロジェクトを4月から開始。業務の効率化やコスト削減で3年間で最低2千億円の資金を捻出する。

そのうち1千億円は「社長決裁枠」として設備投資などにあてる。事業環境が激しく変化するなか、トップの即断で重点事業を強化し、グローバル競争を勝ち抜く。

田中社長の即断で迅速に投資を実行する。

東芝は西田厚聡会長や佐々木則夫副会長の社長時代に構造改革を進め、半導体やエネルギー事業を強化する一方、携帯電話や液晶パネル事業からの撤退に踏み切った。

昨年、田中氏が社長に就任して以降、業績は安定しているものの最近は、半導体は韓国サムスン電子、原子力発電設備は仏アレバ、医療装置は米ゼネラル・エレクトリック(GE)といった海外大手が大規模な投資やM&A(企業の合併・買収)に踏み切るなど競争が激化している。

このため、田中社長が責任者となり「プロジェクト GAIN」と呼ばれるプロジェクトを立ちあげた。2014年度からの3カ年計画で「生産」「調達」「品質」「営業」「開発」など8つのテーマに取り組む。

「生産」の分野では工場の生産ラインの見直しや工程数の削減などに着手するなどして、8テーマそれぞれの分野で資金を捻出する。

そのうち、1千億円を社長の即断で強化する半導体や原子力発電などの分野へ追加投資できるようにする。M&Aにも回し、育成中のヘルスケア事業や先端技術の実用化にもあてる。毎年度予算の枠外の予備費的な扱いとする。

設備投資や研究開発については、現在も予算の一部が用途を決めない機動枠として確保されている。ただ機動枠の用途は事業部が決める色彩が強く、社長枠として設定するのは初めてだ。

新プロジェクトは14年度以降に計画する大型M&Aに向けた準備でもある。2千億円のプロジェクト成果のうち、「社長決裁枠」以外の資金は有利子負債の削減にあてる。

田中社長は、ヘルスケア分野の最大5千億円規模のM&Aに意欲を示すが、東芝は自己資本比率が約19%と低い。大型M&Aに取り組む前に財務体質の強化が課題になっている。

産業界では、NECの遠藤信博社長が12年度に200億円の戦略投資枠を設け、主にクラウド分野の開発投資にあてた。ブラザー工業も11年度に社長直轄の戦略投資枠として1500億円を設定した。経営のスピードを上げるため、社長直轄の戦略投資枠をつくる動きが広がっている。』


最近、東芝、日立製作所、NEC、三菱電機などの国内大手総合電機メーカーは、一連の集中と選択を行ったことと、円安などの外部事業環境の好転などで、収益拡大基調になっています。

ようやく、厳しい冬の時代から春の時期に入りつつあります。これらの大手メーカーは、今後さらに厳しさを増す欧米企業との競争に勝ち抜くため、積極策を打ち出しています。

本日の記事は、東芝が社長の単独決裁で、必要な投資やM&Aを決められる枠として1千億円を設定したことについて書いています。

一般的に、国内中堅・大手企業の場合、1億円以上の投資について、経営陣が意思決定をする場として、経営会議や取締役会にて審議しさまざまな方面から検討し、結論を出す仕組みであるため、長期の時間を要すると共に、準備のためのコスト増になっています。

日本独自の根回しと合議制が、根底にあることによります。経済や社会などの環境が安定している場合、このやり方は有効に機能します。

しかし、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、インターネットやITが社会、経済、経営、商品やサービスに入り込みつつありますので、既存事業の仕組みや競争力などの根底が突然変わることが頻繁に起こり易くなります。

変化・変動の激しい競争状況下で、国内企業が勝ち残っていくためには、他社より、より迅速かつ適切な意思決定を行うことが必要であり、重要になります。

企業トップの決裁で、短期間に経営施策を決めて実行することが求められます。企業トップは、合議制ではなく、自分自身で考えて決められる知見と胆力を持つ必要があります。

自分自身が決めて実行した施策が失敗すれば、当然責任を取ることになります。企業トップは、サラリーマン型社長ではなく、創業者のような知見と決定力・胆力が求められます。

その視点からみますと、東芝、NEC、ブラザー工業などの大手企業は、少々誇張していえば、トップが自己責任で、単独決裁する経営のやり方を行う決定をしたことになります。

中小企業の経営支援をしていますと、オーナー経営者である社長や代表取締役が、ほとんど毎日、厳しい競争環境下で、如何にしてリスクを最小化しながら、収益拡大を図れるか悪戦苦闘しつつ、意思決定を行っている場面に遭遇します。

中小企業は、社長の意思決定が失敗すれば、倒産するリスクがあります。中小企業の社長は、知見と胆力がなければ務まりません。

大手企業の場合、社長の意思決定が失敗するだけでは、倒産することはありません。欧米企業との競争下では、意思決定の迅速化が重要になりますので、社長の単独決裁事項を増やすことは必要になります。

東芝の場合、社長の単独決裁枠を1千億円と大きくしたことは、重要な意味をもちます。社長が即断即決して、必要な投資を決定・実行できれば、欧米企業との競争に勝ち抜く要因の一つになります。

大手企業の社長が迅速な意思決定をできるようにするための、情報収集と分析能力の向上などの社内環境整備も必要になります。

しかし、もっとも必要なことは、社長自身が中小企業の社長と同じように、知見と胆力をもつことです。

知見と胆力をもてない社長は、周りを頼って自ら意思決定できません。その意味から、東芝、NECなどの大手電機メーカーの社長が、自らリーダーシップを取って如何に積極的な経営行っていくか、今後の動きに注目していきます。

多くの国内大手企業にこのやり方が定着していきますと、真に知見と胆力をもつ人のみが社長になれる時代が来ます。

インターネットやITが活用される事業活動では、トップダウン型の社長が数多く必要になることによります。

中小企業の場合、二代目社長で経営行き詰まる理由の一つが、社長の能力不足にあります。私が事業承継を依頼されるときに、最も重要視する課題の一つが、二代目社長の知見と胆力開発・強化です。

中小企業の社長は、逃げることが許されないので、会社を維持拡大するには、知見と胆力が必要になるからです。

東芝、NECなどの大手企業の社長の動きが、中小企業の社長の良い参考事例になることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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