会社・経営の引継ぎ方の選択肢【前半】 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

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会社・経営の引継ぎ方の選択肢【前半】

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こんにちは、事業承継アドバイザーの濱田です。

 

前回のコラム(3月18日号)で、私が2月、3月に参加した事業承継の

イベントでは、一部の事業承継の手法についてだけ焦点が当てられて

いたとの報告をさせて頂きましたが、今回は改めて事業承継の手法の

全体像について書かせて頂きます。

 

日頃多くの経営者の方とお話しをさせて頂き感じていることですが、

経営者自身も事業承継に多くの方法があることをご存知ない場合が

見受けられます。

 

典型的な例を挙げると、子供が会社を継がないので引退して会社を

たたむというお考えや、M&Aは大きな会社だけに限ったものだとの

理解があります。

 

もちろんケースにもよりますが、中小企業の従業員は転職が難しい

場合が多いことや、廃業が地域社会に与える影響が大きいことを

拝見しておりますと、なんとかできないものだろうかとの思いが

湧いてきます。

 

これまでもコラムで取り上げてきましたように、中小企業の事業承継

は一筋縄では行きませんが、一方で次世代に会社を引継いで行くこと

は、引継ぐ経営者はもとより、会社の顧客、取引先、地域、従業員等

にとって非常に意義があることですので、経営者の方に少しでも承継

手法についての視野を拡げて頂きたいとの思いを込めて、以下で主要な

手法について解説をさせて頂きます。

 

事業承継は、誰に会社・経営を引継ぐかという観点からは、知っている

人間への引き継ぎか、知らない人間への引継ぎかという分類ができます。

 

知っている人間への引継ぎは、親族への引継ぎか他人への引継ぎかに

分けることができ、親族への引継ぎは①親族内承継と呼ばれます。

また、知っている人間で親族以外への引継ぎは、通常、現在の会社の

役員や従業員(②従業員等への引継ぎ)といった内部者に対して行われます。

(取引先等は知っている人間ではありますが、外部者ですのでここでは

知らない人間として話しを進めます)

 

次に知らない人間への引継ぎについては、経営だけを引継ぐ※(株式は

引継がない、③経営者の招聘)場合と、会社の株式を含めて全て丸ごと

引き継ぐ場合があり、後者は狭い意味での④M&Aと呼ばれています。

(※会社の役員や従業員に引継ぐ場合でも、株式を引継がないことも

できます)

 

ちなみに、これらの承継方法については、①親族内承継②従業員等への

引継ぎ③経営者の招聘④M&Aの順で検討を進めることがよいとされて

いますが、これは現経営者との繋がりが深い人間への引継ぎの方が、

顧客、取引先、従業員、金融機関等からの信頼や理解を得易いと考え

られているからです。

 

①親族内承継

昔に比べ家業という言葉を聞くことも希になってきましたが、現在も一番

多く用いられている会社の引き継ぎ方法で、事業承継の50%程度は

親族内承継と言われています。

 

メリットとしては、なんと言っても後継者が前経営者の親族ということで、

顧客、取引先、従業員、金融機関等からの理解が得やすい点にあります。

また、中小企業では所有と経営が一致するという点もメリットと考えられます。

 

一方、デメリットとしては、後継者が経営者としての適正を欠いている場合

があることや、古参従業員との関係悪化などが挙げられます。また、相続

の紛争による会社株式の分散や相続税の支払いといった問題も経営に

大きな影響を与える場合もありますので、慎重な検討が必要です。

 

なお、他人への会社引継ぎを難しくする要因のうちの一つに、会社の

借入金の経営者による個人保証の問題がありますが、親族への引継ぎは、

他人への引継ぎにくらべ金融機関からの理解が得られやすいと言えます。

逆を言うと、親族以外への引継ぎは、金融機関との個人保証解除の調整

がネックになる場合が多いので、親族以外への引継ぎを考えている経営者

は、時間を掛けて借入の整理等を進める必要があります。

 

また、外部者へ借入も含めた引継ぎを行うM&Aであっても、一般的には

借入が少ない会社の方が売れやすいと言えますので、親族内に後継者が

いない経営者にとって借入金の問題は、最重要課題のひとつと言えます。

 

②従業員等への引継ぎ

 親族内に後継者がいない場合の有力な引継ぎ方法と言えます。

 

メリットとしては、経営者が従業員等の力量を見た上で後継者を指名する

ことができるという点があります。また、従業員等は会社の業務に通じて

いますので、他の従業員、顧客、取引先等からの理解も得られやすいと言え

ます。

 

一方、中小企業では従業員等である後継者に資力がない場合が多く、

経営者の株式を買取ることができない(この結果、経営者は引退後も株主

としてのリスクを背負うことになります)場合や、借入についての経営者の

個人保証が解除できない場合が多く、結果として経営者は安心して引退

することができないという事例が多く見受けられます。

 

なお、役員退職金等の手法で会社の株式の価値を下げて株式の譲渡を

し易くすることについては比較的短期で行うことが可能ですが、借入について

の経営者の個人保証については①に書きましたように、短期間で調整する

ことができない場合がほとんどです。

 

繰り返しになりますが、従業員等の親族以外への引継ぎについては、株式

や借入金について事前の準備が重要で、早期に着手し時間を掛けて進める

必要があります。

 

少し長くなりましたので、今回は、知っている人間への引継ぎまでとさせて

頂きます。

次回は、後半ということで、知らない人間への引継ぎを取り上げさせて頂き

ます。

 

最後まで、お読み頂き、ありがとうございました。

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