- 曽根 省吾
- 株式会社塗装職人 代表
- 神奈川県
- 一級塗装技能士
対象:リフォーム・増改築
- 木下 泰徳
- (アップライフデザイナー)
- 溝部 公寛
- (建築家)
屋上からの雨漏りの不安を一掃してもらうために、ウレタンをたっぷり肉厚に仕上げています。
このウレタンを塗布するために、これまで全体作業の8割の時間を割いてきました。
ウレタン塗布か2割、下地などが8割といったところです。
前回は一生懸命に作業をする職人のようすをお伝えしましたが、今回は屋上防水のうちのリーダーのインタビューを通じて、今回の仕事に対する思いを話してもらってます。
見ている人にとってわかりやすい説明にしてもらおうと配慮したつもりが、職人の話をさえぎるような少しわかりずらい動画となってしまいましたね。ごめんなさい。
ただ屋上防水の工程はよく理解していただけると思います。
屋上防水で気を付けることはまず天気です。
塗装と違って屋上は工程的にむずかしい工事なのです。
まず乾燥しているときでなければ作業できません。
外壁塗装ももちろん乾燥してなければだめですが、軒などがある分ビショ濡れになることは風が強い時以外それほどありません。
そもそも外壁は縦ですが、屋上は床面です。
しかもマンションやビルの屋上は押えコンクリートや保護モルタルといったものが多いですから、雨が下地にしみこみやすく水分が蒸発しにくいのです。
外壁は塗装がまずしてあるので染み込むことはないですよね(リシン等の塗装は染み込みますね)。
作業はもちろん工程のことを塗装以上に十分考慮にいれる必要があるのです。
塗装と防水は一緒にされることもただありますが、まったく別の作業です。
塗装と似たような点といえば、言葉は悪いですがごまかしが効きやすい工事だということです。
ウレタンと言っても、乾いてゴムになるまでは、ドロドロとした液体です。
塗りやすく薄めれば材料も少なくできるし、それ以上に手間を割くことができます。
そしてウレタンをする前の、一番手間が掛かり重要な下地の補修作業にもを抜くことだってできます。
防水の種類としてはウレタンのほかには塩ビシートやゴムシート防水というものもありますが、これはどちらかといえば塗料のように薄く延ばしたりすることができないためそこが利点です。
その一方で施工があまいと継ぎ目や端末部分からの雨の侵入ということも考えられます。
ウレタン防水はその反面継ぎ目というものがなく一面施工ですので、一長一短というところでしようか。
ただ改修工事の場合、屋上の状況や施工上の都合ウレタンが多いですね。
ちなみにこれもあまり大きな声で言えないのですが、大手さんなどのマンション改修工事では、手抜きが少なくありません。
そもそも大手さんの場合は、元請け→下請け→孫請けという3次下請けは当たり前なので、実際に作業に費やされる修繕費用は、末端施工業者に届くころには、たぶん3割~4割前後になっているんではないでしょうか。
4次下請けもあるため、その場合はやればやるだけ赤字になるのは間違いなしです。
職人さんも生活があるので致し方ありません、というか聞けば聞くほどかわいそうになることはしばしばです。
住宅の場合ですが、私が下請け業者として下請けとして働いていたころはちょうど3割ちょっとぐらいでした。
足場も材料も何もかもでしたからめちゃくちゃでしたね。
施工をお願いするマンション側は、一番被害者だといえるかもしれません。
まして大手さんは、「末端施工業者の施工を指示する部門」と、「予算を組む部門」が違ったりします。
建前上当然ながらしっかりとしたマニュアル施工を求める一方で、違う部門が余裕とは言えない予算を組みます。
施工前にすでに、決定的な矛盾が発生しているのです。
さらにそこから3次、4次下請けということになると、ほぼ末端施工業者との信頼関係はありません。
行きつくところが、監督と職人との攻防戦です。
作業写真はマニュアル施工をした部分だけ、職人にすれば完工検査もヒヤヒヤです。
完工検査で手抜きがばれて騒ぎになったという実録話はちょくちょく聞きます。
これが現実です。
大手さんのテレビCMを見ていると、世の中真実はなんだろうか?と、しみじみ思い起こされる瞬間でもあります。
これはマンションだけでなく、住宅業界にも通じるものがありますけどね。
マンション大規模修繕業界に、中間ブローカーがこれでもかと存在する以上、これからも避けては通れないと思います。
何百、何千といる社員の賃金や莫大な広告のためには仕方ないと思いますが、工事の質を上げるためにも末端施工業者のためにも何とか莫大ともいえる中抜きは解決してほしい問題ですね。
以上は私がよく聞く話なので、実際には末端施工業者に十分な予算が行きわたってきちんとした施工をしている大手さんもいるかもしれません。
それでも大手さんに依頼する利点といえば、住民説明や生活への影響を最小限に抑える手順と工程を組むことでしょうか。
ネームバリューがありますので、工事後のメンテナンスも責任を持った行動をしてくれると思います。
関わるスタッフも多いですので、これは大手さんの得意とするところかもしれませんね。
だいぶ話がそれてしまいましたが、とにかく屋上防水というのは、下地の段階で手間を要してしまう工事です。
ふたを開けてみなければわからない要素も防水の特徴かもしれません。
この動画の現場でも、下地の乾燥が悪く、見積もり時に立てた工程をかなりオーバーしてしまいました。
そして本日トップコートをして完了となりました。
月曜からは雨模様らしいので、よかったです。
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