日経記事;『パナソニック、東南アに家電本社機能 現地向け商品企画』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『パナソニック、東南アに家電本社機能 現地向け商品企画』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月19日付の日経新聞に、 『パナソニック、東南アに家電本社機能 現地向け商品企画』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは今夏にもアジア地域の家電事業を統括する本社機能を東南アジアに置く方針を固めた。現地向け商品の企画や開発などの権限を日本から移す。

欧州でも昨夏に資本提携したスロベニア家電最大手のゴレーネと白物家電を共同開発していく。パナソニックは現地の実情に合った製品づくりを進め、2019年3月期に家電売上高で2兆円をめざす。

パナソニックでは社内カンパニーのアプライアンス社が白物家電事業を担っている。14年3月期の売上高は約1兆1700億円で、このうち国内が5500億円程度、アジアは4千億円前後だったもようだ。4月からはテレビなども同カンパニーに組み入れられ、家電売上高は1兆8千億円規模になる。

アジア本社は現地向け商品の企画から販売、マーケティングまで一貫して現地で手掛け、生産委託先も決める。本社を置く国はマレーシア、ベトナムを軸に検討している。アジア市場で競合するサムスン電子やハイアールなど韓国・中国勢を追い上げる。

欧州では昨夏に13%の株式を取得したゴレーネとの提携関係を強化。現在はパナソニックブランドの冷蔵庫を生産委託しているが、今後はゴレーネと冷蔵庫、洗濯機や調理家電などを共同開発する。

パナソニックの省エネ技術や野菜の鮮度を保つ温度管理技術などを提供。ゴレーネの技術者と協力し、形状や使い勝手など現地で好まれる製品づくりを進める。生産はゴレーネのセルビア工場が担う。欧州の白物家電の売上高は年500億円規模だが、ゴレーネとの連携などで年1千億円規模に引き上げる方針だ。』

パナソニックは、合理化効果や住宅用途・自動車向け新規事業立上が効果を出し始めており、収益改善傾向が明確に出始めています。

パナソニックは、AV家電事業で台湾、韓国、中国メーカーとの厳しい競争に負けた結果、当該事業分野から撤退を決めて、着実に実行してきました。

一時期、パナソニックの集中と選択のやり方、特に新規事業立上分野の方向性が不明確であり、収益拡大を難しくするとの記事もありました。

パナソニックは、BtoBタイプの事業を主事業分野にする方針を明確化して、具体的には上記しましたように、住宅用途・自動車向け事業を新事業の柱とするやり方を取り入れつつあります。

家電の中でも、白物家電はまだ国内メーカーが海外勢との競合で競争力をもっています。これは、AV家電のように、個人の嗜好性が高く出て、需要の変化が早くなる事業分野と異なることによります。

白物家電は、個人や家庭の生活自体を支えていますので、いったん購入すると、長期間使います。
また、購入した商品の使い勝手などに対する満足度が高いと、同じメーカーから購入するリピート客が多いことが特徴の一つになります。

白物家電は、BtoBタイプの事業と似たような特徴をもっており、パナソニック、東芝、日立製作所などの国内重電メーカーにとっては、得意分野になります。

AV家電は、汎用化が急速に進みます。これは、デジタル化により、部品調達や製造事業が水平分業で行われるようになり、製造の容易さとコスト低減化が進んだことによります。

AV家電の製造事業分野では、少々誇張して言いますと、部品調達を含む製造事業からコスト競争力以外に、徹底的な差別化・差異化を可能にする要因はないことになります。

代わりに、AV家電事業分野では、開発力と商品企画力が差別化・差異化の重要な要素になります。自社で工場をもたない、アップル、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどの米ITベンダーが、競争力のあるハードウェア商品を出して、販売数量を伸ばしていることは、開発力と商品企画力の優秀さによります。

国内家電メーカーでは、以前のソニーにはこの開発力と商品企画力があったため、現在のアップルのように、AV家電業界をリードできました。

ソニーがAV家電メーカーとして、スマホやタブレット端末事業を経営の柱の一つとするためには、アップルなどの米ITベンダーなどより優れた開発力と商品企画力を持つことが必要です。

AV家電事業には、日本の製造事業者が得意とするモノ作りだけでは、勝ち残れません。企業の観点からみますと、迅速な意思決定力も求められます。

一方、白物家電やBtoBタイプの事業には、AV家電程のスピードで変化する事業は少なく、国内メーカーは、腰を据えて事業展開が可能になります。

もっとも、白物家電分野にも、ダイソンの掃除機や、iRobotが提供するロボット掃除機ルンバ、国内ベンチャー企業バルミューダの扇風機、国内一人家電メーカー・ビーサイズのLEDデスクライトなど開発力と商品企画力に優れた新商品が次々と導入されていますので、大手メーカーも当該能力を磨かないと時代に乗り遅れる可能性があります。


また、白物家電の国内需要は、人口減少で市場縮小が続きますので、必然的に海外市場開拓を行う必要があります。

海外市場開拓は、BtoCおよびBtoBのすべての事業分野で必要になりつつあります。市場縮小化では、事業拡大ができないことによります。

私が4月18日にブログ・コラムで書きましたように、中小企業に対する新規事業立上と海外市場開拓の両支援を並行して行う理由も同じです。

海外市場開拓のポイントは、現地顧客企業が要求する機能・性能・仕様・価格にあった、あるいはそれ以上の商品を提供できるかどうかになります。

本日の記事は、パナソニックがマレーシアかベトナムに東南アジア地域の白物家電事業について、商品の企画から販売、マーケティングまで一気通貫で行える地域本社を設立することについて書いています。

この地域本社設立は、大きな意義があります。各国で経済状態、社会インフラ、文化、宗教、人種などが異なりますので、個人や家庭の生活に密着した白物家電は、当該市場の顧客が要求する機能・性能・仕様・価格にあったものを商品化しないと売れません。

顧客の要求を知るには、当該市場に住んでいる人たちのVOCを謙虚に受け止めて、理解することが必要になります。

現地顧客のVOCを理解するには、当該地域に拠点を置いて、現地スタッフの協力や連携先などとの協業を通じて、必要な情報の収集と適切な分析が必要であり、重要です。

パナソニックの動きは、大いに意義があります。今後の動きに注目していきます。

さて、中小企業の場合、パナソニックのように、現地に地域本社を作れません。しかし、東南アジアなどで事業しないと、収益拡大も図れません。

このような場合、インターネット通販や代理店活用によって、日本からの直販事業を行っていると、最終顧客のVOC情報やデータを収集しやすくなることがあります。

これは、当該中小企業が対象国の顧客のVOCを、どれだけ真摯に受け止めて活用するかの経営姿勢をもつかどうかで決まります。

最終顧客のVOCを理解するやり方の一つとして、インターネット活用があります。自社Webサイト、ブログ、FacebookなどのSNSなどのインターネットツールを活用して、顧客と双方向のコミュニケーションを取るやり方で、VOCを理解している中小企業もあります。

スマホやタブレット端末が急速普及している東南アジアでは、インターネット活用も並行して伸びています。

中小企業の場合、現地に拠点をもつだけでなく、拠点をもてるまで、現地顧客のVOCを理解する仕組み作りを行う必要があります。インターネット活用はその一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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