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日経記事;『東南アに日本の先端火力 三井物産など受注へ 石炭でも高効率』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月6日付の日経新聞に、『東南アに日本の先端火力 三井物産など受注へ 石炭でも高効率』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三井物産がマレーシアで最先端技術を取り入れた世界最大級の石炭火力発電所を建設・運営する見通しとなった。総事業費は約3600億円。出力100万キロワットの設備2基を建設し、主要機器は東芝とIHIが納める。

ミャンマーの石炭火力計画では三井住友銀行の融資が内定。日本の重電大手が建設に関わる。日本企業の高い技術力を背景に、東南アジアでの受注活動に弾みがつく。

いずれの発電所も「超々臨界圧」と呼ぶ技術を使う。石炭火力は本来、ガス火力より燃料費が安いが二酸化炭素(CO2)排出量は多い。超々臨界圧型は東南アジアで主流の旧方式と比べて、CO2排出量が約2割減るとされる。

低コストで環境負荷を抑えられる電源として、新興国でも導入機運が高まりつつある。日本企業は国内で実績を積んでおり、信頼性が高い。日本政府はインフラ輸出の要として、官民一体での取り組みを強化する方針。

三井物産はマレーシア政府系の投資開発会社である1MDBと組み、政府による火力発電事業の入札に応じ、優先交渉権を得た。独立系発電事業者(IPP)となる合弁会社への出資比率は5割未満だが、運営の主導権は握る。今夏までに最終契約する見込み。

クアラルンプールの南にあるヌグリ・スンビラン州ジマに建設。東芝が蒸気タービン、IHIがボイラーを納める。1号機は2018年10月、2号機は19年4月に運転を開始。超々臨界圧で計200万キロワットの発電能力は世界最大級。電気は現地の電力会社に供給する。

東南アジアで日本企業が建設・運営を主導する最先端石炭火力としては、11年にJパワーと伊藤忠商事がインドネシアで受注して以来、3年ぶり。インドネシアの事業は住民の反対で滞っており、三井物産の事業が先行する可能性がある。

三井住友銀はタイのプラント大手トーヨー・タイと協力して、ミャンマーの最大都市ヤンゴン近郊に128万キロワットの発電所を建設することで合意した。総事業費は約2600億円。

トーヨー・タイが設備の施工や運営、三井住友銀が資金調達計画の立案や融資を担う。年内にも着工し、18年の稼働を目指す。タービンやボイラーは日本の重電大手に発注する予定。

ミャンマー電力省や傘下の電力公社に売電する方針だ。トーヨー・タイは東洋エンジニアリングや千代田化工建設が大株主。』


何度か本ブログ・コラムで、ASEANを中心とした海外市場での石炭火力発電事業の重要性について書いています。本ブログ・コラムでも、石炭火力発電の重要性について述べます。

日本国内では、原子力発電再開の目処が立っていません。現時点では、多くの発電を火力発電に頼る必要があります。

再生可能エネルギー発電は、太陽光パネルによるもの、風力によるもの、地熱エネルギーを利用するものといろいろあります。

しかし、現時点では、どの再生可能エネルギー発電は、国内の電力需要をカバーするまでには達していません。

発電量だけでなく、発電コストも重要になります。再生可能エネルギー発電の中では、太陽光発電装置の設置台数が群の抜いて多くなっています。これは、太陽光発電の買取価格が一番高いことと、設置が比較的容易にできることによります。

問題は、高い買取価格を維持するために、当該コスト分を電力会社の売電価格にそのまま上乗せされることです。

電力料金が高くなると、家計および企業活動に影響が出ます。例えば、製造事業者にとって、高い電力料金はそのまま製造コストの上昇につながります。

私は、再生可能エネルギー発電の切り札は洋上風力発電と地熱発電だと考えています。洋上風力発電は、日本各地で実証試験が開始されていますので、その成果が出ることを期待しています。

地熱に関しては、日本国内には多くの温泉がありますので、潜在的可能性があります。しかし、現実的には、温泉地域の地権者などとの調整や、各種規制などから実現するまでには長い時間を要します。

現在の火力発電は、主に天然ガスに頼っています。これは、天然ガスが輸送面で扱いやすいことと、CO2排出量が通常の石炭火力に比べて低いことによります。

日本は、多くの天然ガス供給を中東に頼っており、購入価格は石油の値段と連動する仕組みで決まっていますので、非常に高くなっています。

原子力発電は、天然ガスによる発電への依存度を減らすためにも必要なものでした。天然ガスの輸入価格を下げるためには、日本は米国からシェールガスを輸入したり、ロシアからも天然ガスを輸入するなどして、調達先を多様化することが必要であり、重要になります。

現在、政府は天然ガスの調達先を増やして、価格交渉力を高める努力をしています。

しかし、天然ガスは調達先を増やしても、将来購入価格が高くなる可能性があります。また、その時の政治情勢で調達自体に問題が発生するリスクがあります。

化石燃料の中で、最も埋蔵量が多く石油や天然ガスに比べて安く安定して調達できるのが石炭です。

日本では、今までCO2排出量などの有害物質が石油や天然ガスに比べると多く、かつ、輸送コストも高い石炭は火力発電の燃料とはみなされていませんでした。

そのような事業環境下で、三菱重工業、東芝、日立製作所、IHIなどの重電メーカーは、高性能な「超々臨界圧石炭火力発電」装置の開発・実用化に成功して、国内外に新石炭火力発電設備として、売り込み初めています。

「超々臨界圧石炭火力発電」とは、日経記事には以下のように書かれています。

「超々臨界圧石炭火力発電 石炭火力発電は石炭をボイラー内で燃やして蒸気を発生させ、圧力でタービンを回して発電する。蒸気が高温・高圧であるほどエネルギー効率が高まる。セ氏600度近くの「超々臨界圧型」が最も効率が高い。

電力需要が急増する新興国では旧来型の石炭火力の比率が高く、超々臨界圧型の導入効果は大きい。米国、中国、インドの石炭火力をすべて超々臨界圧技術に置き換えるとCO2削減効果は年間約15億トンで、日本の総排出量を上回るとされる。」


国内では、すでに東電が「超々臨界圧石炭火力発電」を用いた新規火力発電所建設を決めています。

国内では、もっと「超々臨界圧石炭火力発電」を用いた火力発電所建設を進めるべきです。国内での更なる「超々臨界圧石炭火力発電」の実証試験を通じてノウハウ蓄積・向上を行うことが重要です。

ASEANのような新興国市場では、電力需要が急増しており、発電能力が追いついていません。火力発電設備の増設が急務になっています。同時に、発電コストも圧縮する必要があります。これらの課題は、日本と同じです。

本日の記事にありますように、三井物産がマレーシアで「超々臨界圧石炭火力発電」の受注に成功しました。

これをトリガーに国内大手商社や重電メーカーが、「超々臨界圧石炭火力発電」による受注拡大により積極的に動くことを期待します。

ベトナム、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュ、インドなどでの需要を取り込むには、より低価格の「超々臨界圧石炭火力発電」を開発・実用化する必要があります。

国内企業が世界市場の石炭火力発電事業で勝ち組になるには、米GEや独シーメンスなどとの競合に打ち勝つ必要があります。

国内企業は、更なるCO2排出量削減効果を目指しつつ、低コスト化を進めることで、ASEANを中心としたアジア市場で大きな新規事業機会を得ることができます。

今後とも、重電メーカーや商社などの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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