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日経記事;『三菱重工、18年ぶり営業最高益 15年3月期26%増 構造改革が寄与』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月5日付の日経新聞に、『三菱重工、18年ぶり営業最高益 15年3月期26%増 構造改革が寄与』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱重工業の2015年3月期は本業のもうけを表す連結営業利益が前期推定比26%増え、2400億円前後になる見通しだ。航空機向け部品が好調なほか、シェールガス革命を背景にプラント機材が伸びる。エネルギー関連など成長分野に経営資源を集中する構造改革が寄与し、18年ぶりに過去最高を更新する。

構造改革を背景にトヨタ自動車や日立製作所は14年3月期に営業最高益を達成したとみられる。三菱重工の今期最高益で製造業の復活ぶりが一段と鮮明になる。

業績拡大のけん引役はエネルギー関連だ。シェールガスのプラントに使うコンプレッサーなどが伸び、液化天然ガス(LNG)船の受注も増える。火力発電に使うガスタービンの受注も積み上がり、受注額が初めて4兆円を超える見通し。米ボーイングなど民間航空機向けの部品も好調だ。

ここ数年は神戸造船所(神戸市)での商船建造から撤退したほか、日立との火力発電事業の統合など事業再編を加速。事業別採算制の導入や円安も追い風に、これまでの最高だった1997年3月期の営業利益(1980億円)を上回る。

純利益は前期に一過性の利益を計上した影響もあり、約1割減の1300億円程度の見通し。年配当は同2円増の10円程度とする公算が大きい。

14年3月期は売上高が前の期比17%増の3兆3千億円程度、営業利益は同16%増の1900億円程度だったようだ。』

三菱重工業は、日立製作所、東芝、IHIなどと共に、国内重工業の一角を占めています。集中と選択作業は、日立や東芝に先行されましたが、三菱重工業も積極的に取り組んだ結果、その成果が収益拡大に貢献してくるようになりました。

三菱重工業の場合、合理化の観点では、徹底的な選別が成功のポイントになりました。巨額の不採算部門であった、商船建造からの撤退は大きな決断でしたし、効果的でした。

世界市場で需要の増加が見込まれる火力発電事業でも、本ブログ・コラムで何度か書きましたように、日立との当該事業の統合を行って、集中と選択を進めました。

現在の三菱重工業は、航空機やエネルギーなどの成長事業分野に経営資源を集中しています。合理化でコスト圧縮を図りつつ、成長事業分野で売上拡大を実現しつつあることが、経営数字に表れた形になっています。

国内重工業は、これで主要大手企業の経営再建が終わり、拡大時期に入ったことになります。国内メーカーの中で、いち早く合理化作業に取り組んだことと、エネルギー、環境などの世界市場で需要が拡大する事業分野に経営資源を集中した経営判断の的確さによります。

重工業メーカーに比べて、国内家電メーカーの集中と選択は、遅れた感があります。例えば、テレビは、長年多くの家電メーカーが巨額赤字に直面していましたが、なかなか合理化が行われませんでした。

この中で、パナソニックは、他社に先行してプラズマディスプレイ事業からの撤退や個人向けスマホ事業の終了などのリストラを行いました。

パナソニックは、新規事業分野として、BtoBタイプを柱とするやり方を決めて、家や自動車向けの製品化を積極的に行うようにしています。

パナソニックの業績にもこの積極的な集中と選択を行った結果が、高収益として表れ始めました。
パナソニックは、この事業展開に手ごたえを感じており、経営陣は年間の販売連結売上で10兆円を目指すことを言っています。

ソニーの動きは、パナソニックと比べると周回遅れになっていると感じています。今まで何度か行われてきた大きな合理化効果が、経営数字に出ていません。

ここ1年以内で、テレビ事業の大幅縮小、パソコン事業からの撤退などを発表しています。テレビ事業の場合、高精細な画面の「4Kテレビ」に集中するやり方を取っています。

「4Kテレビ」事業に集中することで、テレビ事業の黒字化を狙っています。本日の日経記事によりますと、「4Kテレビ」の販売単価が下落しており、顧客が購入しやすい価格帯に入ってきたとされます。

現在、ソニーは国内市場で、約80%弱のシェアをもっていますので、価格下落に伴う販売数量の増加は、収益改善につながります。

しかし、家電製品は過去のケースからみますと、必ず汎用化(コモディティ化)が進み、大幅な価格下落が起こります。

中国や韓国製の安い「4Kテレビ」が市場に入ってくることが予想されます。大手家電量販店も低価格の「4Kテレビ」を積極的に扱うことになります。

テレビのような家電製品の場合、高画質だけでは差別化・差異化ができなくなることは歴史が示しています。

ソニーは、今後も家電製品分野を主要事業と位置付けるのであれば、サムスンや、台湾、中国メーカーを上回る商品力をもたなければ、世界市場で勝ち組になれません。

パナソニックは、白物家電を除いて家電製品事業を主要な柱としない事業展開を開始しています。米国のGEやオランダのフィリップスも、過去に家電製品事業を大幅にリストラして、BtoBタイプの事業分野を柱とする事業展開にかじを切りました。

ソニーは、パソコン事業の撤退と「4Kテレビ」への集中で、大幅赤字から脱却するのと並行してどの事業分野を柱とするか、短期間に結論を出すことを期待します。

中小企業にとっても、自社の経営資源をどの事業分野に集中していくのか決めることは、中堅や大手企業以上に重要な意味をもちます。この経営施策のやり方に失敗すると、中小企業は、倒産のリスクに直面することによります。

上記国内重電メーカーやパナソニック、あるいはGE、フィリップスなどの動きは、有効な参考事例になります。

この視点からいつも、国内重電、あるいは家電メーカーの動きに注目しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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