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日経記事;『マイクロソフト、捨て身の反撃 ウィンドウズ一部無償に スマホ対応急ぐ』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月4日付の日経新聞に、『マイクロソフト、捨て身の反撃 ウィンドウズ一部無償に スマホ対応急ぐ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米マイクロソフト(MS)が基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の一部無償化を決めた。スマートフォン(スマホ)などモバイル機器事業で出遅れたMSは、代名詞のOSを「0円」で提供する捨て身の作戦で巻き返しを狙う。

「ソフトはお金を出して買うもの」という考え方を貫いてきた共同創業者で技術アドバイザーのビル・ゲイツ氏にとっても転機となる。

ナデラCEOはサービスで稼ぐ戦略への転換を進める。

MSは画面サイズ9インチ以下のスマホとタブレットを対象にウィンドウズを無償で提供する。端末メーカーは低価格機種などをつくりやすくなる。オープンにOSを提供する背景には、ウィンドウズの地位低下がある。

米調査会社ガートナーがインターネットにつながる情報機器(パソコン、タブレット、携帯電話の合計)の世界出荷台数をOS別にまとめたデータ。2013年はウィンドウズが3億2500万台だったのに対し、端末メーカーに無償で提供しているグーグルのOS「アンドロイド」は8億8000万台に達した。

15年にはアンドロイド端末は13億台を突破し、3億8000万台のウィンドウズとの差はさらに広がると予測する。

MSはスマホやタブレットのメーカーから、1台あたり5~15ドルのライセンス料を受け取っていたとされる。ウィンドウズが業界標準だったパソコンの時代には「当たり前」だったが、アンドロイドがモバイルOSの8割近くを占めるいま、「お金を払ってでもウィンドウズを使いたいというメーカーは少なくなった」(MS関係者)。

別の理由もある。MSは月内にもノキア(フィンランド)の携帯端末事業の買収手続きを完了する。ウィンドウズを搭載したスマホの8割はノキア製。そのノキアがMSの傘下に入れば、ライセンス料収入はどちらにしても大きく減る。

もちろん「0円」にするだけではOSは普及しない。MSは2日、スマホ向けOSの最新版「ウィンドウズフォン8.1」を発表。人工知能などを活用したパーソナルアシスタント(秘書)機能「Cortana(コルタナ)」を公開した。

より重要なのは、スマホの競争力を左右するアプリ(応用ソフト)の開発者を味方につけられるかだ。ウィンドウズ担当のテリー・マイヤーソン上級副社長は2日、サンフランシスコ市内での会議に集まった5000人の開発者に、アンドロイドやアップルの半分以下にとどまるアプリの拡充へ協力を呼びかけた。

MSは目減りするOSのライセンス収入の代わりに、検索エンジン「Bing」や通話ソフト「スカイプ」などのサービス収入の拡大をめざす。無償提供するウィンドウズOSを搭載した端末の利用者に1年間、業務ソフト「オフィス」が無料で使える権利を与えたり、アップルのタブレット「iPad(アイパッド)」向けにオフィスの提供を始めたりしたのも「サービスで稼ぐ」という戦略の延長線上にある。

成長戦略のもう1つの柱であるデバイス(端末)事業もノキアの買収で加速する。独自ブランドのタブレット「サーフェス」に加え、スマホでも革新的な製品を出す能力に磨きをかける。

「挑戦者の心境で革新を起こす」。2月に就任したサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は2日、集まった開発者に約束した。OSの無償化は競争条件をグーグルとそろえたにすぎない。パソコン時代の覇者がプライドを捨てて挑む戦いの本番はこれからだ。』


本日の記事は、マイクロソフト(MS)のビジネス方針変更について書いています。MSは、最近CEOがサティア・ナデラ氏に変わりました。

MSは、言うまでもなくパソコン界の巨人です。現在、世界中で使われているパソコンの普及に、インテルと共に大きな貢献を果たしました。

現在、多くのビジネス活動は、MSが開発・実用化してきたOSであるWindowsとオフィスソフトであるOfficeに支えられています。

Officeに入っているWordやExcelは、ビジネス世界では共通プラットフォームとして使われており、世界中のデファクトスタンダードになっています。

WindowsやOfficeは、多くのハッカーからウイルス攻撃を受けてきましたが、MSはそのたびにプログラム更新を行って対抗しています。

パソコンユーザーは、WindowsやOfficeの利便性、普及性、安定性を高く評価して、比較的高いライセンス料金にもかかわらず、使い続けています。

ビジネス領域では、データ・情報の加工、編集、送信などの行為が日常的に行われています。現時点では、パソコンがこれらのビジネス行為で使われる主役になっています。パソコンがビジネス領域で使用される限り、WindowsやOfficeに対する需要は存在し続けます。

片一方で、今までパソコンを主にWebサイトの閲覧やEメールの受送信に使っていた人たちは、パソコンより、比較的価格が安く、より簡便に使うことができるスマホやタブレット端末を購入しています。

このため、ここ数年間でスマホやタブレット端末は急速普及が進みました。相対的に、パソコンの個人用途需要が大きく落ち込みました。

その象徴的な事例の一つが、ソニーの個人用途向けを主とするパソコン「VAIO」事業からの撤退・売却方針です。

私の周りには、「VAIO」をビジネス用途に使っている人たちも多く、これらの人たちからは、驚きと失望が出されました。

しかし、ソニーのVAIO事業は巨額赤字を出しており、事業継続が難しくなるまで販売数量が激減し、今後もこの傾向が加速すると判断した上での結論だったと推測します。

パソコンの個人用途向け需要の減少は、MSのWindowsやOfficeのライセンス収入の落ち込みにつながります。

今まで、MSはこの事態を改善すべく多くの施策を出してきましたが、成功していません。パソコンは、ビジネス用途では主役でいられますが、個人用途向けでは、スマホやタブレット端末に主役の座を明け渡しつつあります。

MSは、今回、この事態を変えようと、グーグルと同じようにOSであるWindowsの無償提供を開始することになります。

私の場合、スマホはiPhoneを使っています。iPhoneを利用する理由は、グーグルのアンドロイドOSを搭載したスマホより、操作性がスムーズなことによります。私は、特別なアップルユーザーではありません。

また、アンドロイドはセキュリティがiPhoneで使用されているOSであるiOSより脆弱であると判断していることによります。

もし、MSからスマホのソフトがサクサク動くOSであるWindowsが提供されたら、当該OSを搭載したスマホを使うようになる人が増える可能性があります。ちなみに、私は以前Windowsを搭載したスマホを試しましたが、使い勝手が悪く購入しませんでした。


MSは、Windowsの無償提供を始めることで、ライセンス収入が減ります。MSは、ライセンス収入減少より、グーグルと同じ施策を行うことで、事業基盤をスマホやタブレット端末まで拡大して、検索やサービス面での売上拡大を図るやり方にかじを切りました。

新事業基盤での収益源の一つは、検索プラットフォーム(BingのWebサイト)や無料通話プラットフォームであるSkypeでの広告収入となります。

もう一つは、サービスとなるクラウド事業です。スマホやタブレット端末の急速普及や、事業継承のための利便性、自社のITコスト圧縮などの目的で、クラウド・データセンター需要が急増しています。

世界市場でクラウド・データセンター需要は伸びていますので、サービス事業を行う国際的なITベンダーにとって、当該需要を取り込むことは、勝ち組になる条件の一つになります。

検索エンジンでは、グーグルが中国を除く市場で大きなシェアをもっています。MSが、グーグルと競争して一定のシェアを取るには、Bingをさらに進化させていく必要があります。

クラウド・データセンター事業についても、MSは大きな課題をもっています。

米国のシナジーリサーチグループが発表した、2013年10月から12月までのクラウドサービスの世界シェアは、以下の通りです。

1.アマゾン;28%
2.IBM;7%
3.MS;7%
4.セールスフォース;6%
5.グーグル;5%、など

現時点では、クラウド・データセンター事業では、アマゾンの一人勝ちになっています。MSが当該事業分野で勝ち組になるには、アマゾンだけでなく、IBM、セールスフォース、グーグルとの激しい競争に打ち勝つ必要があります。

MSは、一例として、2013年6月に、クラウド・データセンター事業分野で米オラクルとの提携を発表しました。

日経記事では、以下の様に書かれています。

「米マイクロソフト(MS)と米オラクルは24日、インターネット経由でソフトや機能を提供するクラウドコンピューティング分野で協力すると発表した。MSのクラウドを利用する顧客企業がオラクルのソフトも使えるようにする。両社はIT(情報技術)業界で老舗のソフト会社。これまで業務用分野で激しく競合してきたが、クラウド分野は新興勢力の伸長が著しく、新市場開拓で手を組むことになった。

 両社によると、MSが提供するクラウドサービス「ウィンドウズ・アジュール」や仮想化ソフト「ウィンドウズサーバーハイパーV」を利用している顧客企業が、オラクルが得意とするデータベースソフトやクラウドサービスを簡単に利用できるようになるという。。。」


MSが、強固な事業基盤であるWindowsのライセンス収入を無償提供化で失う代わりに、今後の新たな事業基盤となりえる検索エンジンによる広告サービスや、クラウド・データセンターをどう伸ばせるのか注目しています。

MSの再生は、中小企業にとっても新規事業機会獲得の視点から参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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