不動産売買の仲介手数料が保証料化してきている現状 - 不動産売買全般 - 専門家プロファイル

中石 輝
株式会社リード 代表取締役
神奈川県
不動産業
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不動産売買の仲介手数料が保証料化してきている現状

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不動産業界の進む方向性

不動産仲介業界では昨今、仲介会社による保証が一般化しつつあります。

 

そのキッカケとなったのは東急リバブルが2012年10月から開始した

リバブルあんしん保証 でした。

 

「検査&保証付(無料)の住宅仲介」

言葉だけを聞くと、お客様が求めるものを提供していく、

より良いサービスを提供する…と企業努力を怠らない会社のようにも感じられますが…

 

東急リバブルが保証サービスをスタートして以降、

大手仲介業者はどこも後を追って同様のサービスを導入しました。

 

サービスの内容は、建物引き渡し後最長1年間、最大250万円まで建物補修費用を仲介業者が保証する、というものがメインで、各業者により多少独自性を出したものもあります。

 

何も保証が無いより有ったほうがお客様は安心するでしょうし、

料金が同じであれば、保証があるサービスを選びたくなるでしょう。

 


しかし、本当にこのサービスは

「お客様が求めるサービス」なのでしょうか?

 

あまり知られていない現実がいくつかあります。

 


まず、この保証サービスを利用するには、そのサービスを提供している仲介業者を不動産売却の窓口として専属専任媒介契約 もしくは専任媒介契約 を締結し、物件を売却する必要があります。

 

では、それだけで保証が受けられるのか…というと、実はこれでは要件の半分しか満たしていません。

 

実際に保証サービスを受けるためには、例えばA社を販売窓口として販売してるのであれば、買い手の仲介もA社媒介で購入しない限り、この保証サービスは受けられないのです。

(A社媒介で販売している物件をB社仲介で購入した際には、A社は保証を付けないということです。)

 

これは、ハッキリ言って新種の物件の囲い込み ではないでしょうか。

その物件が欲しいと思いうお客様で、手数料がどこでも同じであれば、保証が付く窓口を優先したくなるのも当然です。

 


では、この保証サービスは本当に必要な保証なのか?

 

確かに個人間取引となる中古不動産売買において、不動産の引き渡し後の瑕疵担保 の問題は大きな不安要素の中の一つです。

 

とはいえ、実際に引き渡し後に瑕疵担保責任が問題になるケースがどの程度あるのか。

これは物件によりリスク度もケースbyケースですが、不動産によっては ”極めてリスクが低い” という物件も多くあるのが現実です。

 

瑕疵担保の問題になるのは

・雨漏り

・シロアリの害

・給排水管の故障

の3点ですが、これが例えば売却物件が築浅の中古マンションであった場合、現実的に売主の補修責任が問題となるのは「給排水管の故障」くらいです。

仮に給排水管の故障が有ったとしても、それを補修するのに発生する補修費用は掛かって数万円程度でしょう。

 

高い手数料を支払って、購入者の仲介窓口を限定してしまうリスクを追ってまで、果たして必要な保証なのか?と大いに疑問を持ちます。

 

尚且つ、本当に保証の必要なリスクの大きな物件に関しては、いろいろな規定を設け、保証を付けないシステムを各社とも非常に上手く作り上げています。

 


なぜ大手仲介業者がどこも同様に保証サービスを導入できるのか、

それは、実際に保証を行う必要のある案件の発生率が100件に1件以下というかなり低い確率であることをよく理解しており、サービスを行うための経費増加分よりも、サービスを付加することによるお客様囲い込み効果による利益増を見込んでいる、という戦略があるからです。

 

なんだか、通信業界で大手3社が乗り換え客獲得のために、現金キャッシュバックを行い、結局利用者は割高になった通信料を支払わされている…という構造によく似ているような気がします。

 

最近ではスマホ版LCC などと呼ばれるサービスを提供する会社も通信業界では増えてきました。

 

どちらがいい、ということではなく、お客様に正しい情報を提供し、お客様が本当に必要とするサービスを提供する努力を業者側が行うべきだと思います。

 

不動産仲介業界は、今後どのような方向へ進んでいくのか、

あと2年程度は混沌の状況が続くように感じています。

 

 

株式会社リード

中石 輝

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