日経記事;『電力、今夏も綱渡り 14年度供給計画 火力新増設、原発の4分の1代替へ』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『電力、今夏も綱渡り 14年度供給計画 火力新増設、原発の4分の1代替へ』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月29日付の日経新聞に、『電力、今夏も綱渡り 14年度供給計画 火力新増設、原発の4分の1代替へ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『電力各社の2014年度の電力供給計画が28日出そろった。原子力発電所の停止が長引くなか、原発を持たない沖縄電力を除く9社のうち東京電力、関西電力など5社が火力発電所の新増設に動く。

停止中の原発の発電能力の4分の1にあたる計1千万キロワット程度を調達する入札を14年度に実施する見通し。ただ稼働はいずれも20年以降で足元の供給力不足解消にはつながらない。東日本大震災から4度目となる今夏も綱渡りになりそうだ。

「(今夏までの原発再稼働は)大変厳しい」。関電の八木誠社長は原子力規制委員会に安全審査を申請している大飯原発(福井県)の2基について早期の通過は難しいとの見通しを示す。

新たな原発の規制基準が施行された昨年7月以降、審査を申請したのは8電力の10原発17基。当初は年明けにも通過第1号が出るとみられた。

各社とも夏の需要期までの再稼働をめざして規制委の指摘に対応してきたが、再稼働が見えてきたのは審査の優先対象に選ばれた九州電力の川内原発(鹿児島県)だけだ。

発電量に占める原発比率が高い関電は震災後、厳しい需給を強いられている。大飯原発3、4号機(合計出力236万キロワット)を9月まで動かせていた昨夏も、8月22日には供給能力に対して需要が約96%まで高まり、卸電力取引所や他電力からの応援融通でしのいだ。

関電は姫路第2火力発電所4号機(兵庫県、約48万キロワット)の設備更新を前倒しするが、大飯2基分には遠く及ばない。中部や西日本の電力各社から融通を受けるための調整にも取り組むが「原発が動かないと極めて厳しい」(関電幹部)。

柏崎刈羽原発(新潟県)の停止が続く東電も厳しい。14年夏のピーク電力量を13年実績を50万キロワット上回る4957万キロワットと予測。

千葉火力発電所(千葉県)と鹿島火力発電所(茨城県)で進める計6基の高効率化工事を前倒しして7月までに営業運転に入る。老朽火力もフル稼働させるが故障リスクを抱えての運営となる。

国内48基のうち16基が老朽原発の目安となる運転30年を超え、原発が動き出しても全基の再稼働は難しい。一方、各社は緩やかな経済回復などを理由に今後10年では年平均0.2~0.9%の需要拡大を見込んでおり、代替電源として火力発電所の新増設に乗り出す。

東電は14年度中に計600万キロワット程度の火力電源について、入札で発電所の建設・運営事業者を募る見通し。停止中の福島第2、柏崎刈羽原発の合計発電能力のほぼ半分に匹敵する。

募集条件などの詳細を詰めるため28日に発表した供給計画では入札の公表を見送ったが、4月以降に計画を変更して盛り込む方針だ。

関電は150万キロワット、中部電力や九電も100万キロワット規模の入札を実施する。中部電の水野明久社長は「稼働から40年を経過した発電所が約400万キロワット分ある。新たな火力発電所が必要だ」と強調する。』


今年の国内における総発電量は、本日の記事にありますように2013年度より確実に増えるとみています。

発電量が増える理由は、国内経済の活性化による製造業などの企業活動が活性化されることによります。この中には、データセンター・クラウド事業に対する需要の伸びによるサーバーと空調機器の設置台数拡大からくる消費電力量の増加が含まれます。

また、各世帯収入は今年は前年比で上昇する傾向にあり、消費活動が活発になることや夏季の暑さが昨年並みになりますと、家庭の消費電力量も増加することになります。

ちなみに、2009年に発行された「電力使用機器の消費電力量に関する現状と近未来の動向調査」をみますと、2005年時点での国内消費電力の内訳は以下のようになります。

★総消費電力量;9996億kWh( )は構成比を示す。
★家庭;2822億kWh(28.2%)
★業務;2901億kWh(29.0%) 
★製造業;4273億kWh(42.8%)
★非製造業;80億kWh(0.8%)
★運輸;216億kWh(2.2%)

一方、同調査報告書によると、「サーバー・データセンター」の2005年度消費電力量は、216億kWhとなっており、2.2%を占めています。

この「サーバー・データセンター」の消費電力量に関しては、2005年時点での節電対策のままだと、経済産業省/グリーンIT推進協議会が試算2008年に試算した結果によると、日本国内の企業内および専業事業者のデータセンターで使われるサーバーなどのIT機器・システムの消費電力量が、2025年に2006年度比で5.2倍になり、国内発電量の20%に相当すると試算されています。

いずれにせよ、スマホやタブレット端末の稼働台数増加も、データセンター・クラウド事業の需要拡大につながります。データセンターは、製造業と並んで今後業務用途では、電力の大手需要家になります。

製造業やデータセンター・クラウド事業を含むIT事業の活性化は、消費電力量の増加につながりますので、電力会社は活性化しつつある経済に水を差さないためにも安定した電力供給が求められます。

電力需要家にとっては、安定した電力供給に加えて、可能な限り安い電力料金も必要になります。現在、多くの原子力発電はストップしています。今後、以前のような原子力発電稼働が見込まれないとすると、必然的に火力発電への依存度が高くなります。

現在の火力発電の主体は、天然ガスですが、最大の課題は高騰する調達コストにあります。天然ガスの調達コストを下げるには、米国やロシアなどの調達先を増やして、競争原理を働かせる方法がありますが、効果が出るまでには時間を要します。

現時点での有効な方法は、石炭火力発電になります。それは石炭の調達コストが天然ガスや石油に比べて安いことによります。

3月29日付の日経新聞に、「東北電力とスイス資源大手のグレンコア・エクストラータは28日までに、2014年度の発電用石炭(一般炭)の輸入価格を前年度比14%引き下げることで合意した。」と書かれています。

2社の合意価格が指標となるため、他の電力各社も同水準の価格で交渉がまとまる見通しとのこと。中国の石炭調達量が減少して、供給過剰となり、約5年ぶりの安値をつけています。

国内電力会社は、このような状況下、石炭火力発電所の新規設置に積極的に動いています。石炭火力発電は、安定かつ低発電コストの実現から現実的な選択肢になります。

IHIや三菱重工業、あるいは日立製作所などの重電メーカーは、各種の高効率石炭火力発電(超々臨界圧発電)装置の開発・実用化に成功しています。

電力会社が新規に設置する石炭火力発電設備は、高効率石炭火力発電(超々臨界圧発電)装置を有するものになります。

高効率石炭火力発電(超々臨界圧発電)装置は、天然ガスによる火力発電と同程度のCO2排出量に抑えることができるとされます。

さらに、三菱重工業は、1月4日に「米国大手電力会社 サザンカンパニー(Southern Company)と共同で進めてきた石炭火力発電所排ガスからのCO2回収・貯留実証試験に成功した。これにより、排ガス中に不純物が多い石炭火力を対象とした大規模なCO2回収・貯留の実用化にメドがついた。」と発表しました。

この技術が実用化されますと、石炭火力発電で発生したCO2を回収し、滞留させることで地中に埋めたり、尿素、メタノールなどの化学利用などに使うことが可能になります。

CO2排出量の増加は、地球温暖化につながりますので、石炭や天然ガスなどによる火力発電量の抑制も重要であり、日本のお家芸の一つである節電や省電力の動きもさらに加速させる必要があります。

節電や省電力分野では、ベンチャーや中小企業から大手まで多くの国内企業が活発に動いています。

環境対応した火力発電と節電・省電力対応は、国内市場で実用化して実証試験を行いながら、技術やノウハウ蓄積して、ASEANなどの新興国市場で積極的に事業展開することが重要です。

増加する電力供給量とCO2排出量抑制への対応は、世界市場で共通なニーズになっていることによります。この市場で国内企業が勝ち組になると、大きな新規事業機会を得ることになります。

電力供給を含めた国内企業のエネルギー・環境事業への国内関連企業の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 |  コラム一覧 | 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。