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日経記事;『遺伝子解析し生活改善 ヤフーが助言サービス スマホ使いデータ蓄積』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月22日付の日経新聞に、『遺伝子解析し生活改善 ヤフーが助言サービス スマホ使いデータ蓄積』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ヤフーは4月から、個人の遺伝子情報を解析して生活習慣の改善を助言するサービスを始める。スマートフォン(スマホ)などで計測した日々の情報を組み合わせ、運動量や食生活についてアドバイスする。データは匿名化した上で医療機関などと共有し、新薬や新たな治療法の開発につなげるビジネスとしても育成する。

「ヘルスデータラボ」として、遺伝子解析のジーンクエスト(東京・文京)と連携する。まず試験的に始め、今夏にも広く利用可能にする。当面は1万人の利用者を目指す。料金は今後詰めるが、利用を促すため、負担を抑える可能性もある。

サイト上で申し込むと自宅に遺伝子解析のキットが送られ、唾液を採取して返送すると、遺伝子情報が登録される。スマホのアプリや機器などで睡眠時間や血圧、心拍数といったデータを毎日記録する。ヤフーはこうした情報を分析して生活習慣の改善を提案する。

遺伝子解析では薬の副作用が出やすい体質などもわかるため、病気にかかった場合も適切な治療を受けやすくなる。

ヤフーは集めたデータを自ら保有し、匿名化して再利用する方針だ。このため、NPO法人「個人遺伝情報取扱協議会」に加盟し、遺伝子情報について取り扱い基準を順守する。遺伝子解析では、病気のリスクをどの程度開示するかも課題。今後の制度整備などを見極めながら対応する。

以下、関連記事です。

★ヤフー 遺伝子解析、技術革新で低価格に 情報の扱い課題

ヤフーと組むジーンクエストは1月に個人向けに遺伝子を解析し、疾患リスクや体質を調べる独自サービスを開始。携帯コンテンツなどを手がけるジャスダック上場のエムティーアイも今春にもがん遺伝子の診断サービスを始める。個人が自分の遺伝子情報に基づき健康を管理したり病気を予防したりする動きが広がりそうだ。

分析機器「シーケンサー」の技術革新で、遺伝子解析の低価格化が進んだことがこうしたサービス普及の背景にある。今年1月、シーケンサー大手の米イルミナはヒトの全遺伝子解析が1000ドル以下で可能になったと発表した。2009年当時は4万ドルかかっていた。「SNPs」と呼ぶ断片的な遺伝子情報の読み取りはさらに安価だ。

ただ、特定遺伝子のリスクが高いといっても、必ず病気になるわけではない。遺伝子情報を誤った形で解釈すれば、遺伝子を解析したことで逆に健康を損ねる可能性があるとの批判もある。

米国で個人向け遺伝子解析サービスを展開し、50万人以上の顧客を抱えていた23andMeは昨年11月、米食品医薬品局(FDA)から検査の質や情報提供のあり方を疑問視され、検査キットの販売中止命令を受けた。

日本では1月、経済産業省が遺伝子検査ビジネスに関する研究会を立ち上げており、指針づくりが進んでいる。』

本日の記事は、遺伝子解析情報に関する新規事業機会について書いています。

遺伝子解析によく出てくる用語にゲノムがあります。
「ゲノム(genome)」とは"gene(遺伝子)"と集合をあらわす"-ome"を組み合わせた言葉で、生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体を表します。

「独立法人 製品評価技術基盤機構」によりますと、ゲノム解析は、生物のゲノムのもつ遺伝情報を解析することです。ゲノム解析は、ゲノムを構成するDNA分子の塩基配列を決めることからスタートします。次に、転写・翻訳によって作られるメッセンジャーRNAやタンパク質などの遺伝子産物の解析、生物種間で塩基配列がどれだけ似ているかなどの比較、大腸菌や出芽酵母などの実験生物で解析された個々の遺伝子に関するデータなどを基に解析します。

ゲノム解析では時に10億以上にもつながった塩基の配列をいろいろな観点から解析する必要があり、ITを活用して行います。

塩基配列の読み取りと決定は、シーケンサーと呼ばれる装置を用いて行います。本日の記事にありますヤフーなどの遺伝子解析情報をもとにしたサービスメニューは、シーケンサー使用のコストが大幅に下がったことから可能になりました。

記事によると、今年1月、シーケンサー大手の米イルミナはヒトの全遺伝子解析が1000ドル以下で可能になったと発表しています。2009年度には、4万ドルの費用がかかっていたとのこと。

このような遺伝子解析の費用低減化の動きを受けて、国内各社の動きが活発になっています。ヤフーは、個人の解析した遺伝子情報をもとに、スマホで集めた個人の生活情報からメタボなどの生活習慣病予防に関するアドバイス提供のサービス事業を開始します。

また、集めた個人情報から匿名化したデータベースを作り、医療機関に販売して治療法や新薬開発に役立ててもらう仕組み利用を行います。

このような医療とITを組み合わせた新規事業立上の動きは、最近活発化しています。例えば、今回ヤフーと提携するジーンクエスは、200種類以上の疾病リスクや体質などに関係する遺伝子(SNPs)約5,000個を一斉に解析するツールをもっており、当該「遺伝子解析キット」を単価@49,800円で販売しています。

遺伝子(SNPs)は、「kotobank」によると、下記のように説明されています。

「一塩基多型のこと。スニップと読む。複数形はスニップス(SNPs)。ヒトのゲノムDNAの約30億個の塩基の並びは、全ての人間で同じではない。標準的な塩基配列と比べると、一塩基だけが違って多様性(多型)が生じていることがあり、これをSNPという。ヒトDNAではSNPは約1000塩基に1個あると推定されている。
。。。
SNPは、基本的な体質、医薬品の効力や副作用などの個人差や、高血圧、糖尿病などの多因子性遺伝子疾患の発症の個人差などの指標になる可能性があり、SNPの解析により、個人別のテーラーメイド医療や予測医療への可能性が広がると期待されている。」

その他の動きとしては、以下のようになります。

・ソニーは、子会社のエムスリー株式会社、米Illumina, Inc.と、ゲノム研究を支援するための「ゲノム情報プラットフォーム」を日本において立ち上げるための協業を1月に発表。2014年2月末までに新会社;P5(ピーファイブ)株式会社を設立する予定。

・富士通はビッグデータを活用して患者個人に合わせた病気の治療法や予防法を見つけるシステムを構築する。ヒトゲノム(全遺伝情報)など個人ごとに異なる分子情報と、診療情報を蓄積する電子カルテとを統合したデータベースが中核で、年内に医療機関などに売り出す。顧客が蓄積した情報を連携させ、2020年をめどに個人に合わせた医療に活用可能にする。

・ベネフィット・ワンは遺伝子検査を組み合わせた特定健診(メタボ健診)サービスを2014年4月から始める。個人の遺伝子を調べ「糖質で太りやすいタイプ」など体質ごとに、栄養士が効果的な食事の取り方などを指導する。など

このように大手企業が、遺伝子解析情報に基づく各種新規サービスをITの活用により低コストかつ広範囲に行おうとしている中、ベンチャーや中小のITベンダー企業も各種ソフトウエア開発とインターネットを通じた提供により、新規参入する動きがあります。

個人の遺伝子解析情報が正しく使用されて、個人の生活や命にプラスになるサービス提供の事業は、基本的に問題ありません。また、当該情報のデータが効果的な治療法や新薬の開発に大きく貢献する可能性もあります。

しかし、現時点では、遺伝子解析情報の精度にも問題があり、問題が発生した場合の責任は、「賠償責任を問われた場合の責任はすべて利用者にある、補償責任は負わない、利用者に何らかの損害が生じても法的な賠償責任を負わない」など使用者がすべての責任を負う形になっています。

今まで数社のITベンダーからから、遺伝子解析情報関連の新規事業機会について相談やアドバイス提供を要請されました。

現時点では、遺伝子解析情報の扱いについてはリスクがあるとみていますので、積極的な参入を勧めていません。

NPO法人「個人遺伝情報取扱協議会」などの動きを含めて、より適切な使用方法や責任体制などについて明確化されることが重要と考えます。

解析技術やITの進化が速いので、的確なガイドラインの早期設定と運営を期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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