日経記事;『日本企業、海外生産20%突破 内閣府調べ 12年度、過去最高に』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日本企業、海外生産20%突破 内閣府調べ 12年度、過去最高に』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月2日付の日経新聞に、『日本企業、海外生産20%突破 内閣府調べ 12年度、過去最高に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『内閣府がまとめた2013年度の企業行動に関するアンケート調査によると、日本のメーカーの生産額に占める海外比率は12年度実績で20.6%と、前の年度から3.4ポイント上がった。

1987年の調査開始以降で最高だった。企業がアジアなど新興国の需要を取り込むために、海外に生産拠点を移す動きは続いている。

東京証券取引所と名古屋証券取引所の上場企業を対象に1月に調査した。製造業のうち海外生産をしている会社の割合は12年度に69.8%と、前の年度から2.1ポイント上がって最高となった。13年度は70.7%と初めて7割を超える見通しだ。

生産拠点を海外に置く理由は「現地やその周辺の需要が旺盛」が50.8%とトップ。2位は「労働コストが安い」(19.1%)、3位が「現地の顧客ニーズに対応しやすい」(14.4%)だった。

円安で日本から輸出しやすくなっても、「国内市場の成長を底上げしなければ、海外への生産移転に歯止めがかからない」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)ことを示している。

非製造業も含めた企業の14年度の名目国内総生産(GDP)成長率見通しは1.7%と、物価変動の影響を除いた実質成長率の1.3%を上回った。

比較できる04年度以来、デフレの象徴とされる名目値と実質値の逆転が初めて解消した。内閣府は「企業の間にも脱デフレへの期待感が広がっているようだ」としている。』


本日の記事にある内閣府がまとめた2013年度の企業行動に関するアンケート調査は、2月28日に内閣府が公表しました「平成25年度(2013年度)企業行動に関するアンケート調査」のことを言います。

私も国内企業の動きや今後の対応などを理解するための、参考情報の一つとして活用しています。
この中で、海外現地生産に関してアンケート結果の概要は以下のようになります。

・海外現地生産を行う企業の割合の平成24年度実績は69.8%、と23年度実績(67.7%)から上昇。25年度(70.7%)、30年度(73.4%)も上昇の見通し。

・海外現地生産比率の平成24年度実績は20.6%と23年度実績(17.2%)から上昇。25年度(21.6%)、30年度(25.6%)も上昇の見通し。

海外に生産拠点を置く理由は以下の通りです。

◆第1位;現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる(50.8%)。前年度調査(45.8%)と比べて5.0%ポイント上昇。
◆第2位;労働力コストが安い(19.1%)。前年度調査(23.1%)から4.0%ポイント低下。
◆第3位;現地の顧客ニーズに応じた対応が可能(14.4%)。前年度調査(11.4%)から3.1%ポイント上昇。

他の調査結果からも似たような状況が確認されています。

例えば、国際協力銀行が行った「2013年度わが国製造業企業の海外事業展開の動向」に関するアンケート調査からは、以下の結果が報告されています。

・2012年度の海外生産比率は32.9%と2011年度実績値(31.3%)より1.6ポイント増加した。
・海外売上高比率(実績)も35.4%と前年度実績(34.2%)と比べ1.2ポイント増加した。
・中期的な海外事業に係る見通しでは、回答企業の82.5%が強化・拡大を選択し、引き続き高い水準を保っている。わが国製造業企業の海外展開は引き続き拡大の方向にある。

・海外事業と国内事業見通しの相互関係をみると、海外事業を強化・拡大する企業の約9割は国内事業を維持または強化・拡大する姿勢にある。
・海外事業の国内事業への具体的な効果は、以下の通り。
◆回答結果は海外事業展開が国内事業に何らかの効果があるとした企業は回答企業(591社)の約85%に達した。
◆具体的な効果は、多い順に
「海外事業により得られた情報等による国内開発への寄与」(38.2%)、
「海外事業で経験を積んだ社員増加による国内組織力向上」(36.0%)、
「国内事業の効率化」(33.5%)となった。

一般機械では取引先の輸出増等が「自社製品の国内生産増」につながったとの回答が4割弱に達するなど海外事業の拡大が国内事業の量的拡大も含めさまざまなかたちで貢献していることが示された。など


中小・中堅・大手の中で多くの企業は、国内市場で勝ち組、あるいは勝ち組でなくても、海外市場開拓の必要性に迫られています。

その理由は、少子化に伴う15歳から64歳までの生産年齢人口減少による国内市場縮小によります。

国内市場で勝ち組であっても、市場縮小により事業拡大が見込めません。負け組の場合は、より深刻であり、差別化・差異化可能な商品・サービスで海外市場開拓を進める必要に迫られます。

もっとも、私の海外市場・販路開拓の支援経験では、国内市場で勝ち組になれない企業の海外展開は困難を伴なうケースが多いのが実情です。基本的には、「国内市場で売れないものは、海外でも売れない」ことによります。

製造業の場合、海外生産が毎年増えています。数年間までは、海外生産展開の理由は、生産コスト圧縮が主目的でした。

しかし、最近は海外市場の需要獲得にあります。国内企業(特に自動車や電気・電子の製造業)、1960年代からアジアではタイを中心に積極的に投資してきました。

その結果、タイでは労働者の就労機会が増えると共に、労働者賃金も上昇しました。タイでは、最近まで15歳から64歳までの生産年齢人口が増えてきましたので、中間所得層が増大したことにより、大きな消費者市場が生まれました。

タイの歴史は、生産コストの圧縮目的にした海外生産が、生産年齢人口層の所得向上により消費者市場が確立されることを示しています。

タイだけでなく、他のアジア諸国(インドネシア、ベトナム、フィリピンなど)も同じような状況になりつつあります。

タイの場合、ラオス、ミャンマー、カンボジアなどの周辺国と連携して、生産コストを下げたり、生産分業する動きも出ています。

タイを含むアジア、あるいはASEAN域内で消費者市場で勝ち組になるためには、現地顧客が要求する仕様・機能・性能・価格などにマッチした商品を提供する必要があります。

基本的には、国内市場向け商品をそのままアジアやASEANに持ち込んでも売れません。現地顧客のVOCにマッチした商品を開発・生産しないと売れません。

現地顧客のVOCにマッチした商品を開発・生産するための方法の一つが、現地に生産拠点をもつことになります。上記二つのアンケート調査は、海外市場での販売拡大を狙った企業の考えを反映しています。

中小企業でBtoBタイプの事業もこの影響を大きく受けます。取引先企業が海外に生産拠点を移しますと、国内では事業機会の縮小になります。

必然的に中小企業も海外に生産拠点をもつ必要性に迫られることになります。しかし、多くの中小企業の場合、安易な海外に生産拠点作りは高いリスクを伴いますので、慎重に考えて実行することが重要になります。

中小企業は、事前の情報収集や分析、しっかりとした事業計画作成を行って、海外に生産拠点を作る姿勢が必要です。販路開拓も並行して行い、既存取引先に加えて新規顧客を獲得することも重要であり必要です。

中小企業は、決して安易に海外に生産拠点作りをしない慎重姿勢をもって、しっかりとした対応を行うことが失敗リスクの低減につながります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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