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日経記事;『老朽火力を最新鋭に変身 IHI、石炭向け 改修費用、新設の5分の1』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月18日付の日経新聞に、『老朽火力を最新鋭に変身 IHI、石炭向け 改修費用、新設の5分の1』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『IHIは老朽化した石炭火力発電所の発電効率を世界最高水準に引き上げる改修技術を開発した。配管設計などの改善により、稼働して15年以上経過した設備でも最新鋭火力並みの発電量を確保できる。

改修費も約100億円と最新設備の導入費の5分の1。原子力発電所の再稼働が進まないなかで、低コストで老朽火力を再生できれば発電コストの抑制にもつながりそうだ。

IHIは火力発電用ボイラーの世界大手。石炭火力発電は微粉化した石炭をボイラーで燃焼させ、配管内の水を高温・高圧の蒸気にしてタービンを回し発電する。蒸気の温度が高いほど圧力が高まり、タービンが勢いよく回り発電量が増す。

現在稼働する多くの石炭火力では蒸気の温度がセ氏500度程度。最新鋭の火力では同620度だが、IHIの技術を使えば既存の火力でも同650度まで高めることができる。

発電効率も42%と世界最高水準となる。同じ発電量ならば既存設備よりも二酸化炭素(CO2)の排出量も約5%抑えることができるという。

IHIは蒸気を通す配管の材質を見直した。従来の鉄主体から耐熱性の高い素材「クロム」を多く含有するステンレス鋼に切り替え、高温の蒸気にも対応できるようにした。

同社は改修対象の設備でどの部分を最新の配管に切り替えればいいかを診断。主力の相生工場(兵庫県相生市)などで各設備の形状に合わせて最新の配管を設計・生産する。

すでに各地の電力会社と商談を始めている。現在国内にある石炭火力発電は約90基。同社はまず国内で年2、3件の受注を目指す。アジアでも老朽化した発電設備の刷新需要は根強い。

IHIは低コストで発電量を増やせる改修案件にも力を入れ、アジアなど海外の電力会社との関係を構築し、新規の大型設備の受注にもつなげる。

IHIはボイラーを主力製品とするエネルギー関連事業の年間売上高は3500億円程度。石炭火力発電設備では最近、中国の重電大手が技術力を高めている。インドや東南アジアなど海外市場でも競合が激しくなっているだけに、IHIは今回の改修技術を生かして対抗する考えだ。』

高効率ボイラーは、石炭やガスなどを燃焼させて得る熱で高圧高温の水蒸気を作り出す装置です。現在、主に使われているボイラーは、蒸気温度が500~550度の装置であり、発電効率は約40%とされています。

昨年来、IHIや三菱重工業などの発電プラントメーカーが相次いで、連携・協業して「超々臨界」装置の開発・実用化を進めていることが報道されています。

現在、実用化されている「超々臨界」装置は、蒸気温度が600度台で、発電効率は42%とされています。

石炭火力の課題は、石油や天然ガスによる発電と比べると、CO2、SOx、NOxなどの排出量が多いことによります。

例えば、地球温暖化の要因の一つとされるCO2排出削減は、日本やその他海外諸国にとっても、待ったなしに取り組むべき緊急かつ重要な課題の一つになります。

石炭火力を使う場合、石炭の性状によるNOx、SOxなどの大気汚染物質排出の軽減、および温暖化物質であるCO2排出対策は必要になります。

「超々臨界」装置の開発・実用化がCO2、SOx、NOxの排出削減のポイントになります。蒸気温度が高いほど、これら有害物質の排出量を減らせます。

この「超々臨界」装置については、今まで国内企業が優位性をもっていましたが、最近、日・欧・米企業から中国企業への技術供与により中国製の「超々臨界」装置が国内製より安く提供されるようになっています。

例えば、2010年の世界のボイラー発注数は260基で、このうち33%の86基が超臨界、超々臨界は
23基でした。超々臨界のうち21基が中国、残り2基が韓国による発注でした。2010年度のボイラー受注量の6割は中国製でした。

石炭火力発電装置の需要は、現時点では、新興国市場が中心になります。これは、どの国も電力供給問題を抱えており、安価な発電装置となる石炭火力に対するニーズが高いことによります。

新興国は、基本的に財政基盤が脆弱です。安価な原材料や労働力を活用できる中国メーカーの火力発電装置のコスト競争力が、IHIや三菱重工業などの国内メーカーより高いことにより、中国勢に遅れを取りました。

中国や韓国メーカーに対抗するために、国内メーカーは「超々臨界」については、さらに効率を向上させるために蒸気温度を700℃~750度まで高めて、熱効率46%以上を狙う先進的超々臨界圧技術の開発・実用化を2016年度を目標に進めています。

もう一つの方法は、何度か本ブログ・コラムで書きましたように、さらなる高効率化を目指し、石炭をガス化した一酸化炭素(CO)と水素(H2)の合成ガスを燃焼させガスタービンで発電し、さらに排ガスから水蒸気を作って蒸気タービンで発電する石炭ガス化コンバインドサイクル発電装置です。

この装置の特徴は、従来の石炭火力では利用の困難な灰融点の低い低品位炭(褐炭)も使用できることで、将来的には石炭火力発電コストをさらに下げることが期待されています。

IHIや三菱重工業などの国内メーカーの上記新技術は、中国や韓国メーカーへの競争力強化だけでなく、CO2、SOx、NOxなどの排出量を天然ガスによる火力発電並みに抑えることを可能にすると言われています。


さて、本日の記事にありますのは、IHIが開発・実用化したもので、老朽化した石炭火力発電所の発電効率を世界最高水準に引き上げる改修可能にする優れものです。

既存の石炭火力発電装置は、低い発電効率と、高い、CO2、SOx、NOxなどの排出量の課題を抱えています。

IHIの改修技術は、1基100億円のコストで、既存の火力でも蒸気温度が650度まで上り、発電効率は42%で、CO2の排出量も約5%抑えることが可能になりますので、ほぼ「超々臨界」並みの性能をもつことができます。

1基100億円のコストは、「超々臨界」装置の設置コストの5分の1とされます。IHIの改修技術は、老朽化した石炭火力発電装置の再生させますので、国内だけでなく、新興国を中心とした海外市場で大きな潜在需要が見込まれます。

多分、三菱重工業などの他の国内メーカーも、同じような改修技術の開発・実用化に向けて動いていると推測します。

IHIや三菱重工業などの国内メーカーの新技術によって、より低コストで環境対応した石炭火力発電装置が数多く改修や新規設置されれば、石油や天然ガスに依存しすぎた化石燃料使用から脱皮できる可能性が高くなります。

特に、IHIの改修技術は、コスト圧縮と環境対応を両立させることができますので、国内市場で実証試験を数多く行って、新興国市場に早期に事業展開することを期待します。

優位性のある技術やノウハウをもつ石炭火力発電装置の開発・実用化で、中国や韓国メーカーとの競争に打ち勝って、IHIや三菱重工業などの国内メーカーが世界市場で勝ち組になることが重要です。

今後とも、IHIや三菱重工業などの国内メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

 

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