インド特許法の基礎(第7回)(3):特許出願 - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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インド特許法の基礎(第7回)(3):特許出願

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インド特許法の基礎(第7回)(3)

~特許出願(3)~

 

2014年2月14日

執筆者 河野特許事務所

弁理士 安田 恵

 

(3)時期的要件

(ⅰ)アクセプタンス期間内に特許付与された場合

 親出願の特許付与前に分割出願を行うことが要件である(第16条(1))。分割出願は、下図に示すように、①出願人が自発的に、又は②発明の単一性要件違反の拒絶理由が審査報告によって通知されたときに行うことができる。

 

 

(ⅱ)アクセプタンス期間内で特許付与に至らなかった場合

 アクセプタンス期間内に特許が付与されず、アクセプタンス期間が経過した場合に、分割出願が可能か否かについての明示の規定は無い。原則として、アクセプタンス期間を経過すると、特許出願は放棄されたものとみなされる(第21条)。聴聞の申請を行えば、アクセプタンス期間経過後も特許出願は特許庁に係属することになるが、アクセプタンス期間経過後に分割出願を行うことの適法性は不確かである。このため、分割出願は、アクセプタンス期間内(最初の審査報告から12ヶ月以内)に行うことが望ましい。

 

 

(4)手続的要件

(a)願書及び明細書

分割出願は、完全明細書を添付した特許出願でなければならない(第16条(1),第7条(1))。仮明細書を添付して分割出願を行うことは認められていない。提出書類は通常の特許出願と同様である。

 願書には、通常の特許出願における願書の記載事項に加え,親出願の番号を記載しなければならない(規則13(2))。また、願書には本出願が分割出願である旨の宣言を記載する(様式1)。更に、親出願で行った優先権主張の申立は、分割出願においても行うべきである。日本特許法のように、分割出願における優先権主張の手続きを省略できる旨の規定はインド特許法に存在しない。

(b)出願先

 分割出願は、親出願を行った所轄庁に行わなければならない[1]。ただし、分割出願が、親出願の所轄庁以外の特許庁にされた場合であっても、分割出願の審査は親出願と比較して行われる[2]

 

(c)手数料

 分割出願は、独立した特許出願として扱われるため、通常の特許出願と同様の手数料を納付しなければならない。

(d)出願審査請求

 分割出願の出願日若しくは親出願の優先日から48月以内、又は分割出願の出願日から6月の、いずれか後に満了する期間内に行わなければならない(規則24B(1)(iv) )。図解すると、審査請求可能な期間は下図ケース1~3によって表される。

(ケース1)

 

 

(ケース2)

 

 

(ケース3)

 


5.分割出願の効果

(1)優先日

 分割出願の完全明細書に記載された発明の優先日は、当該発明が最初に開示された明細書の提出日となる(第11条(4))。

 

(2)存続期間

 分割出願に係る特許権の存続期間は、親出願の出願日から20年間である(第53条(1))。なお、親出願がPCT国内段階出願の場合、親出願の国際出願日から20年間である(第53条(1))。

 

(3)独立性

 分割出願は、親出願とは独立した特許出願として取り扱われ(第16条(3))、審査手続きも親出願とは別に進行する。

 

以上



[1] 「分割出願はその原出願と比較して審査する必要があることから、分割出願をする所轄庁は、当該主要出願をした特許庁である。」(「特許庁の特許実務及び手続の手引(インド)」,第3章「特許の出願」,03.02「概要」)

[2] 「分割出願が、主要出願とは異なる裁判管轄権にされた場合、当該分割出願の審査は主要出願と比較して行われる。」」(「特許庁の特許実務及び手続の手引(インド)」,第6章「分割出願及び追加特許」,06.01.04「所轄庁」)

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