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日経記事;『弱い風の発電量向上 日立が新型風車』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

本年は、本日からブログ・コラムを書き始めます。
本年もよろしくお願いいたします。

1月5日付の日経新聞に、『弱い風の発電量向上 日立が新型風車』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所は弱い風でも発電量を高めることができる新型風力発電機を開発した。ブレード(羽根)の改良などにより、風速4~12メートルの発電量を従来機種に比べて15%高めた。

日本国内は風力発電に向いた場所でも年間の平均風速は6~7メートル程度のことが多い。日立は2014年初めにも実証実験を始め、16年までに市場投入したい考えだ。

従来機に比べ、ブレードの直径をおよそ1割大きくすることで風のエネルギーを受けやすくした。風速12.5メートル以上で出す最大発電能力は2000キロワットで従来機種と変わらないが、実際に吹くことが多い風の強さでの発電能力を高めた。風速4メートルから発電を始める。

まずはグループ会社の日立産機システム中条事業所(新潟県胎内市)に実験機を設置して1年間データを集め、発電事業者に売り込む。価格は1基あたり2億8000万円程度の見込み。

国内では環境影響評価(アセスメント)など開発準備に入っている風力発電が、現在稼働している風力発電設備(約260万キロワット)を上回る300万キロワット程度あるとされる。国は風力や地熱の普及を後押しする方針。』


政府は、昨年後半から風力発電の普及を後押しする施策を打ってきました。これは、現在、再生可能エネルギーの中で、太陽光発電装置の設置が極端に多くなっているため、よりバランスのとれた形への是正を行おうとするものです。

太陽光発電の普及は、他の再生可能エネルギーのやり方に比べて、技術的難易度が低く、買取価格も相対的に高く設定されていることによります。

太陽光発電装置の中核部品である、太陽光パネルは現在、中国製品なども含めると低価格で調達できるようになっています。

一般事業家が、土地さえあれば手軽に発電事業をできるビジネス環境にありますので、多くの企業が太陽光発電事業に参入しています。

太陽光発電の課題は、気象条件に左右されることと、高い買取価格にあります。気象条件への対応の仕方としては、蓄電池を使用して発電中の不要な電力を蓄電しておいて、発電できない時間帯は、蓄電池の電池を使用するやり方で対応するやり方があります。

太陽光発電の最大の問題は、高い買取価格にあります。個人や企業が電力を使用する場合、高い買取価格が、高い電気料金に反映されます。

企業の場合、高い電気料金は、コスト上昇の要因の一つになります。現在の日本は、多くの発電を天然ガスや石油による火力発電に頼っています。

現在の円安は、天然ガスや石油の輸入価格を押し上げています。昨年の貿易赤字の大きな要因の一つに、天然ガスや石油の高い輸入コストにあります。

原子力発電の今後の見通しが不明な状況化で、日本にとって必要な施策は、低コストで輸入に頼らない安定した発電事業のやり方になります。

もちろん、二酸化炭素排出削減などの環境対応も同時に実行する必要があります。

このような事業環境下で、日本にとって有力な発電事業のやり方が、風力発電と地熱発電になります。
日本は、世界でも有数な温泉資源をもっていますので、地熱発電は有望なやり方になります。

しかし、地熱発電は温泉を使っている宿泊業者などとの調整などが必要であり、普及には更なる時間を必要とします。

風力発電は、現在の再生可能エネルギーの中で、発電の安定性、低コスト化の可能性などの観点からもっとも有望なやり方になります。

政府が上記しましたように、風力発電事業の後押しを積極的に行っているのは、これらの理由によります。

福島沖や千葉・銚子沖、北九州沖などで巨大風車を使う洋上風力発電の実証実験が進んでいます。また、陸上でも小型風車による発電プラントが積極的に設置されるようになっています。

私が風力発電に注目していますのは、何度か本ブログ・コラムでのべていますように、風力発電装置は、多くの部品部材から成り立っており、国内企業の強みを発揮できることによります。

太陽光発電の場合、中国メーカーの採算を度外視した太陽光パネル製品が数多く市場に供給されたたため、国内メーカーは苦境に立たされています。

これは、太陽光パネル自体での差別化が困難になっており、汎用化していることによります。もちろん、安い太陽光パネルは、低コストでの太陽光発電を実現するメリットもあります。


風力発電装置の場合、1万~2万点とされる部品部材が使用されます。これらの多くの部品部材で国内メーカーは、強みを発揮します。

例えば、ブレードの場合、素材には風車の大型化に伴い、従来のガラス繊維に代わって鉄の10倍以上の強靱さを持ち、かつ軽い炭素繊維強化プラスチックの採用が増えています。供給メーカーとしては東レ、三菱レイヨン、帝人系の東邦テナックスがあります。

炭素繊維系は、国内メーカーの独壇場です。炭素繊維強化プラスチックは、洋上風力装置のブレードでも大きな効果が期待されています。

風車の回転力を動力に変換する増速機(ギアボックス)部分に使う軸受け(ベアリング)では、日本メーカーの風車向け世界シェアは50%を占めているとのこと。

日本精工やNTN、ジェイテクト、THKなどは耐久性を高めた製品を相次ぎ開発・実用化しています。

さて、そのブレードに関して、大型風車メーカーの一つである日立製作所は、弱い風でも発電量を高めることができる新型風力発電機を開発したとのこと。

記事にありますように、国内で風力発電に適した地域の年間の平均風速は6~7メートル程度です。

日立は、この新型風力発電装置で、風速4メートルから発電を始めると記事には書かれています。
この実証試験が成功すると、国内の陸地で風力発電が可能な地域では何時でも発電できることになります。

風力発電装置に関して、このような技術革新・改良が継続して行われることを大いに期待します。


一般的に、風力発電装置関連への参入企業は航空機や自動車、船舶などの部品部材メーカーとの重複が多くなっています。また、電気自動車(EV)分野は発電機や蓄電池など共通の部品部材が目立つようになっています。

風力発電装置は、国内メーカーの強みが発揮できる事業分野であり、上記のように自動車、船舶、EVなどと重複する部分が多いので、風力だけに特化した開発・実用化の規模が小さくて済みます。

部品部材が、各事業分にまたがって活用できることは、国内メーカーの産業すそ野が広がることを意味します。

国内で実用化されて、実証試験が終わった風力発電装置は、海外市場に売込めます。ASEANやインド、バングラデシュなどの国では、慢性的な電力不足に悩まされています。

陸上、洋上を問わず、国内企業による風力発電装置が海外市場で事業化できる可能性があります。風力発電装置は、メーカーだけでなく、建築会社や造船会社などでも新規事業機会創出の機会につながります。

今後の国内風力発電事業の進展に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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