事業者は特定適格消費者団体による集団訴訟のプロセス理解が必須(3/3) - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

西野 泰広
REPsコンサルティング レップスコンサルティング 代表
埼玉県
経営コンサルタント

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丹多 弘一
丹多 弘一
(経営コンサルタント)
西野 泰広
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2016年12月09日更新

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事業者は特定適格消費者団体による集団訴訟のプロセス理解が必須(3/3)

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企業のリスクマネジメント 集団的消費者被害回復制度

未然防止に欠かせない「知識と意識」。

 今回は「いかにして集団訴訟に至る事案を防止するか」その防止策である『事案発生の未然防止』
についてお伝えいたします。

 「事案発生の未然防止」はどの企業も行っているはずです、それでも問題となる事案は発生して
います。 ではなぜ防ぐことが出来ないのでしょうか?

未然防止を行うにはいくつかのポイントがあります。
[知識・意識・組織・人材・管理マニュアル・管理費用] ですが、この中で最も重要なのが『知識と意識』
です。

  ・知識がなければ、意識は生(うまれ)まれません。
  ・意識がなければ、知識は生(い)かせません。
  ・知識に意識が伴わなければ、適切な行動も起きないし適切な管理も出来ません。

未然防止が出来ない要因の多くは、防止に必要な知識(情報)が不足しているためです。

前回(1/3、2/3)までは回避に必要となる知識についてお伝えいたしました。今回は未然防止の
意識を高めて行動を起こすトリガーとしていただくために、「告知コスト」について説明いたします。

告知のコストを知ることは『意識』の向上に繋がり、「未然防止行動」や「事案発生時の市場対応の
判断」に大きく寄与します。

例えば下記のような例では、告知コストを理解することで「未然防止の意識」が、より芽生えてくる
はずです。

 

【告知コストについて】
企業が自主的に「当該被害者の被害回復」を行うために、告知文を新聞に掲載した場合の費用を
算出してみました。

[1] 新聞告知費用 (告知文の新聞掲載費用)
    社会面の下段に一般的な告知文(19㎝×2段)を掲載した場合を例にします。

       ・全国版の5大紙に掲載した場合  約2000万円 

       ・更にブロック紙、準ブロック紙、地方紙に掲載すると 約3000万円 

    約5000万円の費用がかかります。

          ※どの新聞にまで掲載するかは被害の程度に左右されると考えます。

[2] 被害回復(救済)にかかる費用  ※前回の例題を使用します。
    カシミア(50%)のセーターを回収し返金した場合を例として費用を算出してみます。  

   ■算出のために、カシミアセーターの
       ・販売価格を5000円 ・不適合品の販売数(混入数)を1万枚とします。

   ■回収方法は、宅配便の送料着払いで送付いただき後日購入代金相当を返金することにします。
       ・送料を1枚800円、 返金額は5000円とします。

    販売数1万枚の内、半数の5000枚が回収されたと想定しての算出です。

     ・送料の総費用: 5000枚×800円 = 400万円
     ・総返金額: 5000枚×5000円 = 2500万円

     被害回復費用 約2900万円

 

[3] 被害者(5000人)からの「問い合わせ」や「回収受付、返金対応」などの処理業務を専門業者
   に委託した場合の費用。

   処理業務の委託費用は(1ヵ月間) 900万円

 

総合計金額は 約8800万円


[4] 他にも

   ・告知文の作成工数
   ・応対用Q&Aの作成工数
   ・危機管理広報(メディア対応)の工数
   ・市場対応に関する各種会議(情報共有)の工数
   などが発生します。



また【事案の発生で失うもの】は、
約8800万円のキャッシュアウトと、事案対応に関する数多くの従業員工数ですが、更に
レピュテーションの低下で失う貴重な無形の資産(信用や信頼)があります。

未然防止が出来れば、これまでに築き上げてきた『信用・信頼』を維持することができ、更に事案の
対応に必要となる高額なキャッシュアウトを防ぐことが出来ます。

 

前々回の1/3と前回の2/3と、今回の[1]~[4]を総合的に評価することで、初めて適切な判断や
行動が可能となります。

 言い方を変えれば、「告知コスト」が分からなければ適切な判断や行動は出来ないはずです。
頭の中では“ 未然防止が必要であると理解しているのに ”適切な行動に至らないのは、告知時に
要するコストを正確に把握していないことで、未然防止に必要である重要な『意識』が希薄になって
いるためです。

未然防止には「労力とコスト」を要しますが、上記のような高額な『キャッシュアウト』と『信用・信頼』
が防げる効果を考えれば「同額コストと労力」と言えます。

未然防止の意識を高めるためには、告知コストの把握が重要であることが理解できたと思います。