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「うつ病」が原因トップ 10年連続、自殺3万人超

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日本国内で昨年1年間に自殺した人は前年に比べ2.9%(938人)増の3万3093人で、このうち「うつ病」が原因・動機とみられる人が約18%に当たる6060人に上り最多だったことが19日、警察庁のまとめで分かった(グラフをクリックすると拡大します)。

総数は2003年の3万4427人に次ぐ過去2番目で、10年連続で3万人を超えた。年代別で60歳以上、30歳代が過去最多。発生場所でみた都道府県別10万人当たり自殺者(自殺率)は、39人の山梨が前年の秋田に代わり最悪だった。

警察庁は自殺対策に役立てるため07年に自殺統計原票を改正、動機の項目などをきめ細かくしており、今回が初の公表。昨年6月に自殺総合対策大綱を策定し、多重債務問題などに取り組む政府はデータを基にさらなる対策を迫られそうだ。

新しい統計は原因・動機を52項目に分類。遺書や診断書、ネット掲示板への書き込みや関係者の話から推定し、複合することも考慮して3つまで選べることとした。

最も多かった原因・動機は「うつ病」で、2番目が「身体の病気」の5240人と健康問題が上位を占めた。次いで「多重債務」の1973人、「その他の負債」の1656人と経済・生活問題が続いた。

年代別では60歳以上が最多で、前年比8.9%(987人)増の1万2107人と過去最悪。50歳代の7046人、40歳代の5096人がこれに次ぎ、中高年の割合が高い傾向は変わらなかった。性別では男性が約71%だった。

19歳以下は前年に比べ12%(75人)減の548人。このうち「いじめ」が原因とみられるのは10人で「友達との不和など」が25人いた。

職業別では無職が1万8990人と57.4%を占め、うち年金・雇用保険生活者が4982人、失業者が1756人で、被雇用者・勤め人は9154人だった。

図表、読売新聞社
文章、共同通信社



「過労自殺、過去最多の81人、心の病で労災急増、07年度」に次ぐ自殺のニュースです。やはり30代をはじめ働き盛りの方々が過労・疲弊の末に抑鬱状態となり自殺に至る過程が想像されます。改めてうつ病の早期発見・早期治療を国家規模で推進するよう、厚生労働省、日本医師会、日本精神神経学会などの団体が中心となり活動していく必要があります。

また早期発見の前に一次予防できるよう、職場環境、社会構造の改善も必要です。過重労働パワハラのない労働環境、格差を作り過ぎない思いやりのある社会構造が望まれます。秋葉原の殺傷事件はまさにそのような社会背景を一因として起こりました。許されない事件ですが、自分に死刑を期待するような行為でもあり、精神医学ではこれを間接自殺と呼びます。

自殺には他にも様々な種類があります。まず精神病性か非精神病性かに分類されます。精神病性自殺とは統合失調症や躁うつ病などの精神病によるもの。''非精神病性自殺''とは経済困窮、恋愛問題、不治の病などの諸事情によるものを言います。非精神病性は更に逃避自殺、短絡自殺、狂言自殺に分類されます。''逃避自殺''とは辛い現実から逃げるために行うもの、''短絡自殺''とは嫉妬などから衝動的に行うもの、''狂言自殺''とは人目を引きたくて行うものです(濱田秀伯、精神症候学、弘文堂)。

個人で行う自殺の一方で、複数自殺、集団自殺もあります。最近インターネットの匿名掲示板などで見知らぬ者同士が誘い合い、練炭や硫化水素を用いた自殺が増えており、早急な防止策が求められます。また''一家心中、無理心中''のように昔から続いている他者を巻き込む''拡大自殺''もあります。

いずれの例においても、自殺の背景には抑鬱状態と将来への絶望があると言っても過言ではありません。抑鬱状態に陥ると抑鬱気分や意欲低下から、周囲と交流を絶ち、夢や希望を失い、しまいには生きる気力さえ失ってしまうのです。ついては、うつ病をはじめとした精神疾患の早期発見・早期治療、および一次予防としての環境調整、社会改善をしていく必要があると思います。今回の警察庁の発表のもと、改めて国内において活発な議論と政策の立案を望む次第です。

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