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日経記事;『ソニー、電池部門 売却見送り 中核事業に育成』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、

おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月29日付の日経新聞に、『ソニー、電池部門 売却見送り 中核事業に育成』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ソニーは電池事業の売却を見送る。これまで水面下で政府系ファンドの産業革新機構から日産自動車とNECの共同電池事業への参加を求められて話し合いを続けてきたが、円高修正や新規受注増で事業環境が改善。

スマートフォン(スマホ)など成長性の高い機器の開発に役立つ電池は分離せず中核事業に育成した方が得策と判断した。

ソニーが革新機構に電池事業の統合交渉から離脱する意向を伝えたことが28日、明らかになった。ソニーは電子機器向けの小型電池を手がけており、ウォン安を追い風に世界最大手の韓国サムスンSDIなどの攻勢を受けて採算が悪化。

売却も視野に入れ、2012年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と接触。13年からは自動車向け電池を手がける日産・NECの共同出資会社との統合案を軸に立て直しを検討してきた。

しかし、円高修正で電池事業の業績が改善、最近開発した新製品の引き合いも増えている。このほど来年度の事業計画や中期計画の策定作業の中で、スマホや身につける情報機器(ウエアラブル端末)の開発に向け電池事業は重要性が増すと判断した。

関係者によると日産・NECとの事業統合について事業評価や成長戦略などを巡って溝が埋まらないと判断したもよう。革新機構などはソニーに交渉の継続を求めているという。

ソニーは1991年に世界で初めてリチウムイオン電池の実用化に成功するなど高い技術力を持つ。売り上げ規模は年間1500億円程度とみられる。調査会社テクノ・システム・リサーチによると12年の世界シェアは8%程度で4位。』


電池は、何度か本ブログ・コラムで述べていますように、今後の個人生活や事業展開する上で、重要な社会インフラの一つになります。

電池を使う商品の視点からみますと、電池は、電子電気機器や自動車を使う上で、重要な部品の一つになります。

電池の性能が、搭載する商品自体の付加価値を左右する重要な部品であることは確実です。

ソニーは、そのような電池事業からの撤退や売却の可能性を、「集中と選択」のプロセスの中で選択肢として、2013年初めにその方針案を表明しました。

2013年1月29日付の日経新聞に、「電池、再編機運高まる ソニーの事業売却検討呼び水に 革新機構、国内の統合模索」のタイトルで記事が掲載されました。

その記事の冒頭に以下のように書かれていました。

「国内電池産業の再編機運が高まっている。リチウムイオン電池分野で強みを持っていた日本勢が韓国勢の激しい追い上げにさらされるなか、ソニーは電池事業の売却を検討しており、政府系ファンドの産業革新機構や台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などと交渉している。電池技術の海外流出を懸念する革新機構は国内電池メーカーの合従連衡を模索している。」

ソニーの電池事業売却案が公式に表明されてから、産業革新機構が中心になって、国内電池事業の再編成を模索し始めました。

本日の記事通りの内容ですと、ソニーは電池事業売却方針を見直したことになります。ソニーは良く知られていますように、世界で初めてリチウムイオン電池をパソコンなどの電子機器に搭載したメーカーです。

そのソニーが電池事業売却を検討したのは、今後の市場環境、競合他社の開発動向、競合状況などから、事業継続の是非を勘案して決めたと理解しています。

パナソニックやNECなどの他の国内家電メーカーが、電池事業を今後の事業展開の要の一つとする方針とは、異なるものでした。

ソニーが、再度、電池事業継続を決めたとすると、電池の事業性や今後の開発・実用化競争に一定の目処をつけたことになります。

もしそうだとすると、今のソニーにとって重要なことは、電池事業の競争力強化になります。自社の事業分野である電子機器分野での競争力だけでなく、電池事業の大きな市場である車載・産業・家庭用市場を開拓して、当該市場で強い商品力をもたないと勝ち残れません。

電池事業は、化学プラントと同じような装置産業です。継続的な技術開発・実用化と、コスト競争力を維持強化するための投資が必要になります。

この二つのことを実現するには、ソニーは世界市場で勝ち組みになって大きな収益を確保拡大する必要があります。

今回のソニーの電池事業に対する新方針は、上記事項を検討して決めたと推測します。電池市場は、パナソニックやNECなどの国内メーカーだけでなく、中国や韓国メーカーとの熾烈な競争が待ち受けています。

現在、リチウムイオン電池市場では、サムスンがトップシェアをもっています。ソニーがリチウムイオン電池事業を継続するのであれば、サムスンとの競争にどう打ち勝っていくのかが課題の一つになります。

さらに、大きな市場である車載用途の開発・実用化がソニーにとっては、重要になります。例えば、ソニーは、日産自動車との連携を実現して、車載用途市場に参入できる可能性があります。

また、家庭や産業用途向けの電池の開発・実用化も、事業拡大の視点から重要になります。

今後、ソニーがどのような電池事業の展開に関する計画作成を行って、実現していくか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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