「文化財保護法」 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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「文化財保護法」

(文化財の定義)
第2条  この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
一  建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
二  演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
三  衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
四  貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
五  地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)
六  周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)
2  この法律の規定(第27条から第29条まで、第37条、第55条第1項第4号、第153条第1項第1号、第165条、第171条及び附則第3条の規定を除く。)中「重要文化財」には、国宝を含むものとする。
3  この法律の規定(第109条、第110条、第112条、第122条、第131条第1項第4号、第153条第1項第7号・第8号、第165条並びに第171条の規定を除く。)中「史跡名勝天然記念物」には、特別史跡名勝天然記念物を含むものとする。
 
原告適格
最高裁平成1・6・20
静岡県指定史跡を研究対象としている学術研究者は、当該史跡の指定解除処分の取消しを訴求する原告適格を有しない。

文化財保護法と私法上の行為の効力
最高裁昭和50年3月6日
重要文化財の所有者が文化財保護法46条1項所定の国に対する売渡の申出をせずに、重要文化財を第3者に有償で譲渡しても、同条項は国による先買権を定めたにすぎず、国宝保存法13条3項のように主務大臣の許可を得ずに国宝の処分行為を無効とする規定がないから、売買の効力に影響がない(売買は有効である。)。

(国に対する売渡しの申出)
第46条  重要文化財を有償で譲り渡そうとする者は、譲渡の相手方、予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積った額。)その他文部科学省令で定める事項を記載した書面をもって、まず文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならない。
2  前項の書面においては、当該相手方に対して譲り渡したい事情を記載することができる。
3  文化庁長官は、前項の規定により記載された事情を相当と認めるときは、当該申出のあった後30日以内に当該重要文化財を買い取らない旨の通知をするものとする。
4  第1項の規定による売渡しの申出のあった後30日以内に文化庁長官が当該重要文化財を国において買い取るべき旨の通知をしたときは、第1項の規定による申出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
5  第1項に規定する者は、前項の期間(その期間内に文化庁長官が当該重要文化財を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該重要文化財を譲り渡してはならない。

損失補償
最高裁昭和50・4・11
文化財保護法80条による史蹟名勝天然記念物の現状変更の制限につき損失補償に関する規定を欠くことをもって、直ちに同条が憲法29条3項に違反するとはいえない。

(重要有形民俗文化財の管理)
第80条  重要有形民俗文化財の管理には、第30条から第34条までの規定を準用する。
(管理方法の指示)
第30条  文化庁長官は、重要文化財の所有者に対し、重要文化財の管理に関し必要な指示をすることができる。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第31条  重要文化財の所有者は、文化財保護法並びにこれに基いて発する文部科学省令及び文化庁長官の指示に従い、重要文化財を管理しなければならない。
2  重要文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者をもっぱら自己に代り当該重要文化財の管理の責に任ずべき者(以下この節及び第十二章において「管理責任者」という。)に選任することができる。
3  前項の規定により管理責任者を選任したときは、重要文化財の所有者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、当該管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4  管理責任者には、前条及び第1項の規定を準用する。
(所有者又は管理責任者の変更)
第32条  重要文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、且つ、旧所有者に対し交付された指定書を添えて、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
2  重要文化財の所有者は、管理責任者を変更したときは、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、新管理責任者と連署の上20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。この場合には、前条第3項の規定は、適用しない。
3  重要文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、20日以内に文化庁長官に届け出なければならない。氏名若しくは名称又は住所の変更が重要文化財の所有者に係るときは、届出の際指定書を添えなければならない。
(管理団体による管理)
第32条の2  重要文化財につき、所有者が判明しない場合又は所有者・管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、文化庁長官は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して、当該重要文化財の保存のため必要な管理(当該重要文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該重要文化財の所有者の所有・管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。
2  前項の規定による指定をするには、文化庁長官は、あらかじめ、当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者並びに指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意を得なければならない。
3  第1項の規定による指定は、その旨を官報で告示するとともに、前項に規定する所有者、占有者及び地方公共団体その他の法人に通知してする。
4  第1項の規定による指定には、第28条第2項の規定を準用する。
5  重要文化財の所有者・占有者は、正当な理由がなくて、第1項の規定による指定を受けた地方公共団体その他の法人(以下この節及び第十二章において「管理団体」という。)が行う管理又はその管理のため必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
6  管理団体には、第30条及び第31条第1項の規定を準用する。
第32条の3  前条第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、文化庁長官は、管理団体の指定を解除することができる。
2  前項の規定による解除には、第32条の2第3項及び第28条第2項の規定を準用する。
第32条の4  管理団体が行う管理に要する費用は、この法律に特別の定のある場合を除いて、管理団体の負担とする。
2  前項の規定は、管理団体と所有者との協議により、管理団体が行う管理により所有者の受ける利益の限度において、管理に要する費用の一部を所有者の負担とすることを妨げるものではない。
(滅失、き損等)
第33条  重要文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、その事実を知った日から十日以内に文化庁長官に届け出なければならない。
(所在の変更)
第34条  重要文化財の所在の場所を変更しようとするときは、重要文化財の所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもって、且つ、指定書を添えて、所在の場所を変更しようとする日の2十日前までに文化庁長官に届け出なければならない。但し、文部科学省令の定める場合には、届出を要せず、若しくは届出の際指定書の添附を要せず、又は文部科学省令の定めるところにより所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
     第3款 保護
(修理)
第34条の2  重要文化財の修理は、所有者が行うものとする。但し、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。
(管理団体による修理)
第34条の3  管理団体が修理を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その修理の方法及び時期について当該重要文化財の所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基く占有者の意見を聞かなければならない。
2  管理団体が修理を行う場合には、第32条の2第5項及び第32条の4の規定を準用する。
(管理又は修理の補助)
第35条  重要文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、重要文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、政府は、その経費の一部に充てさせるため、重要文化財の所有者又は管理団体に対し補助金を交付することができる。
2  前項の補助金を交付する場合には、文化庁長官は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。
3  文化庁長官は、必要があると認めるときは、第1項の補助金を交付する重要文化財の管理又は修理について指揮監督することができる。
(管理に関する命令又は勧告)
第36条  重要文化財を管理する者が不適任なため又は管理が適当でないため重要文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られる虞があると認めるときは、文化庁長官は、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、重要文化財の管理をする者の選任又は変更、管理方法の改善、防火施設その他の保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を命じ、又は勧告することができる。
2  前項の規定による命令又は勧告に基いてする措置のために要する費用は、文部科学省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
3  前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、前条第3項の規定を準用する。
(修理に関する命令又は勧告)
第37条  文化庁長官は、国宝がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な命令又は勧告をすることができる。
2  文化庁長官は、国宝以外の重要文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3  前二項の規定による命令又は勧告に基いてする修理のために要する費用は、文部科学省令の定めるところにより、その全部又は一部を国庫の負担とすることができる。
4  前項の規定により国庫が費用の全部又は一部を負担する場合には、第35条第3項の規定を準用する。
(文化庁長官による国宝の修理等の施行)
第38条  文化庁長官は、左の各号の一に該当する場合においては、国宝につき自ら修理を行い、又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をすることができる。
一  所有者、管理責任者又は管理団体が前二条の規定による命令に従わないとき。
二  国宝がき損している場合又は滅失し、き損し、若しくは盗み取られる虞がある場合において、所有者、管理責任者又は管理団体に修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置をさせることが適当でないと認められるとき。
2  前項の規定による修理又は措置をしようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該国宝の名称、修理又は措置の内容、着手の時期その他必要と認める事項を記載した令書を交付するとともに、権原に基く占有者にこれらの事項を通知しなければならない。
第39条  文化庁長官は、前条第1項の規定による修理又は措置をするときは、文化庁の職員のうちから、当該修理又は措置の施行及び当該国宝の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
2  前項の規定により責に任ずべき者と定められた者は、当該修理又は措置の施行に当るときは、その身分を証明する証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを示し、且つ、その正当な意見を十分に尊重しなければならない。
3  前条第1項の規定による修理又は措置の施行には、第32条の2第5項の規定を準用する。
第40条  第38条第1項の規定による修理又は措置のために要する費用は、国庫の負担とする。
2  文化庁長官は、文部科学省令の定めるところにより、第38条第1項の規定による修理又は措置のために要した費用の一部を所有者(管理団体がある場合は、その者)から徴収することができる。但し、同条第1項第2号の場合には、修理又は措置を要するに至った事由が所有者、管理責任者・管理団体の責に帰すべきとき、又は所有者・管理団体がその費用の一部を負担する能力があるときに限る。
3  前項の規定による徴収については、行政代執行法 第5条 及び第6条 の規定を準用する。

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