日経記事;『ホンダ、中国で低価格ハイブリッド 合弁先と開発 100万円台半ば、16年発売』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ホンダ、中国で低価格ハイブリッド 合弁先と開発 100万円台半ば、16年発売』に関する考察

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皆様、

おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月12日付の日経新聞に、『ホンダ、中国で低価格ハイブリッド 合弁先と開発 100万円台半ば、16年発売』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ホンダは2016年に中国で低価格のハイブリッド車(HV)を発売する。提携先の自動車大手2社と共同開発して現地生産する。構造が簡単な基幹システムを採用し、同国で販売しているHVのほぼ半額の100万円台半ばの価格で売る予定。

中国政府は大気汚染対策の一環でエコカー普及策に力を入れており、ホンダは低価格車の投入により出遅れている同国市場で巻き返しを急ぐ。

トヨタ自動車も第一汽車集団(吉林省)、広州汽車集団(広東省)とHVの共同開発を表明している。HVで先行するトヨタ、ホンダが相次いで低価格モデル投入に踏み切ることで、世界最大の自動車市場での普及を後押ししそうだ。

ホンダは東風汽車集団(湖北省)、広州汽車との合弁拠点で低価格HVを共同開発・生産する。小型車「フィット」シリーズをベースにする見通し。現在、日本で販売する「フィットハイブリッド」が163万5千円と世界で最も安い。その水準まで価格を引き下げる。年間数千台規模で生産を開始、売れ行きを見ながら同2万~3万台程度まで増やす。

ホンダは2種類のHV技術を持つが、ガソリンエンジンをモーターが補完するシステムを最初の技術供与の対象とする。構造が単純なため設計・製造技術を移転しやすい。現地の部品メーカーの部品や設備でつくれるように設計も見直す。

現在、中国で販売する「フィットハイブリッド」は日本から輸出するため高い関税がかかり価格は17万9800元(約300万円)と同クラスのガソリン車の2倍と高い。このためホンダのHV3車種の中国での販売台数は今年1~11月の累計で133台にとどまる。

中国政府は自動車産業の強化・育成を目指し、EVに対して最大6万元(約100万円)の購入補助金の付与や地場メーカーへの支援をしてきた。中国を代表する比亜迪(BYD)のEV「e6」でも価格が約37万元(約630万円)と高価で12年の販売は約1700台と成果は出ていない。

大気汚染などの問題から、5月にEVや家庭で充電できるプラグインハイブリッド(PHV)を対象に補助金を付けて、20年までに500万台普及させる新たな燃費規制を導入。現地でのエコカー開発の機運が再び高まっている。

ホンダとトヨタは現地メーカーの技術力底上げにつながる共同開発に踏み切ることでHVの購入補助金など支援を引き出したい考えだ。

中国では日産自動車が11月、14年から中国独自ブランドでEVを発売することを表明。独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)など欧米勢もEVの発売を計画。ホンダは低価格HVの発売で12年に約60万台(シェアで約4%)にとどまる中国での販売台数を15年に130万台まで高める。』


何度か本ブログ・コラムで書きましたように、欧米の自動車メーカーである、GM、フォード、フォルクスワーゲンなどは、国内自動車メーカーに先行して、中国市場で生産の現地化を進めました。

さらに、中国顧客の要求仕様・機能・性能などを把握して、現地市場に合致した自動車を提供することで、売上拡大を図ってきました。

国内自動車メーカーは、当初、現地生産には積極的でなく、輸出事業を通じて、中国市場開拓を行ってきましたが、現地化で成功した欧米自動車メーカーに売上規模で差をつけられていました。

特に、トヨタとホンダが中国市場では大きく出遅れました。両社とも、中国市場開拓のために、現地生産を拡大してきました。

この状況下、中国政府は、深刻度を増す大気汚染対策のために、環境対応車の開発・実用化を支援しており、海外自動車メーカーにEVやPVの中国内生産を強く求めています。

今まで、トヨタとホンダは、HVやEVの技術・ノウハウの流出リスクを警戒して、中国内に開発・製造拠点をつくることに消極的でした。

しかし、トヨタはすでに中国政府の要請を受け入れて、記事にありますように、第一汽車集団(吉林省)、広州汽車集団(広東省)とHVの共同開発を発表しています。

日産自動車は、EVの発売を行うことを表明しています。今回のホンダの決定は、トヨタや日産などの動きをみて、HVあるいはPHVの本格参入を決めたと判断します。

HVやPHVは、国内自動車メーカーが圧倒的な開発・実用化の技術・ノウハウをもっている分野です。

HVやPHVは、現時点で実用的な環境対応車であることは間違いありません。EVは、次世代蓄電池が開発・実用化されて、充電後の走行距離と、充電時間がガソリンエンジン車とほぼ同等にならない限り、HVやPHVを超えないとみています。

また、国内市場では、2015年から政府施策として、燃料電池車あるいは水素自動車の普及を支援することが決まっており、トヨタとホンダが積極的な開発・実用化を進めています。

燃料電池車、あるいは水素自動車は、究極の環境対応車と言われています。これは、二酸化炭素や硫黄などの有害物質を出さないことによります。

国内自動車メーカーが燃料電池車、あるいは水素自動車を300万円程度の価格で販売できるようになれば、政府の助成金も合わせると、中間所得層が買える自動車になります。

HVやPHVは、当面の実用的な環境対応車であり、将来は、燃料電池車、あるいは水素自動車が主役をつとめることになるとみています。

新興国市場では、当面の間、HVやPHVが環境対応車の主役になります。HVやPHVが新興国市場で普及するためのポイントは、現地顧客の要求する仕様・機能・価格に合った自動車の開発・実用化になります。

トヨタとホンダは、上記しましたようにHVやPHVの開発・実用化で他社より先行しています。両社とも、量産技術・ノウハウを蓄積しており、HVやPHVの次世代車開発のロードマップも作成・実行中であると推測します。

両社は、HVやPHVに対してある意味、成熟した技術・ノウハウをもちつつあります。この成熟した技術・ノウハウの活用で、中国市場で低価格したHVやPHVを生産、販売することを決めたと考えます。

中国のガソリンエンジン車の排ガスによる大気汚染は、ASEAN共通の課題になります。さらに、石油の使用量増加は、資源エネルギー獲得コストの上昇につながります。

当面の実用的な環境対応車であるHVやPHVは、環境対応と共に、低燃費も実現する重要な役割を担います。

トヨタとホンダは、中国市場で低価格のHVやPHVを開発・実用化して、そのノウハウををASEANで展開すれば、現地の環境改善に貢献しながら、大きな新規事業機会を得ることにつながります。

また、低価格帯のHVやPHVの技術・ノウハウが、中国メーカーに流出しても、自社でさらに進化したHVやPHVを開発・実用化すれば、差別化・差異化を図れます。

今のHVやPHVの課題の一つは、価格の高さにあります。トヨタとホンダが、中国市場で低価格品を開発・実用化する意義は大きいものがあります。

米国は、シェールガスの開発や普及で、石油の価格にあまり関心をもたなくなっており、大型車が好調に売れています。

しかし、米国は例外です。他の新興国や欧州は、石油の使用量に大きな関心をもっており、調達コストの低減化が、日本と同じように最重要課題の一つになります。

米国でも、二酸化炭素や有毒ガスの排出削減は大きな課題になりますので、HVやPHVに対する潜在需要は高いとみます。

今後のトヨタとホンダによる、HVやPHVの事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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