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日経記事;『スズキ、HV独自開発 アジア投入も視野 小型車はタイを輸出拠点』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月17日付の日経新聞に、『スズキ、HV独自開発 アジア投入も視野 小型車はタイを輸出拠点』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『スズキの鈴木修会長兼社長は6日、日本経済新聞社の取材に応じ、「ハイブリッド車(HV)を開発し、将来はインドや東南アジアに展開したい」と述べた。大型投資に踏み切るタイやインドネシアの新工場から戦略小型車をベトナムやミャンマーなど周辺諸国へ輸出する考えも表明。インドに偏っている収益基盤を東南アジアに広げていく考えだ。

スズキは独フォルクスワーゲン(VW)と環境分野での技術の取り込みを狙って資本関係を結んだ。しかし、提携のあり方を巡って対立。スズキは提携解消を求め国際仲裁裁判所で係争中だ。

鈴木会長は「仲裁中の内容についてはコメントできない」としたものの、VWとの提携解消を機に、次世代エコカー開発を独自開発に切り替える。

これまで「レンジエクステンダー」と呼ばれる発電専用エンジンを積んだエコカーを開発していたがコストなどの面から中止した。減速時の回転力を使って生み出したエネルギーを利用する「エネチャージ」と呼ばれる技術を発展させ、燃費性能を上げる。

5年後をめどにHVを開発。燃費性能に優れる軽の技術を小型車に盛り込み、今後、燃費規制が強化されるアジアで展開する方針だ。

海外戦略について鈴木会長は「インドネシアとタイの新工場を東南アジア域内に輸出する旗艦工場に位置づける」と話した。インドネシアで年産能力を20万台、タイで5万台の計25万台とし、左ハンドル車をベトナム、フィリピン、ミャンマー、カンボジアへ1~2割程度輸出を目指す。

まず関税引き下げが進む東南アジア諸国連合(ASEAN)域内を狙い、軽の技術を取り入れた「Aスター」を各地に出荷する方針だ。

政府で軽自動車税の増税が検討されていることについては「消費税を上げるために軽だけがさらに増税ということは支離滅裂で、国民感情としても筋が通らないことだ」と改めて反論。

「軽の部品メーカーなど下請けは零細企業も多く、雇用への影響も大きい。(政府が求める)賃上げへの影響も出るかもしれない」と語り、地元の雇用や経営を大きく圧迫するとの懸念を示した。』

本日の記事は、国内自動車メーカーの一つであスズキが、ガソリンエンジンベースの軽・小型乗用車に加えて、HVを次世代の主力商品とすることについて書いています。

スズキは、国内自動車市場で、軽自動車で存在感を出しています。いわば、スズキは軽の専業メーカーとして、事業展開しています。

加えて、国内自動車メーカーの先陣をきって、軽のノウハウをベースに、インドで小型乗用車市場を開拓して、大きな新規事業とシェアを獲得してきました。

現在のスズキの売りは、ガソリンエンジン車として、高効率で低燃費な軽と小型乗用車を開発・商用化することにあります。

しかし、このガソリンエンジン主体のビジネスモデルの変換が、国内および世界市場で求められています。

これは、国内および世界市場で二酸化炭素や有害物質の排出量削減化の大きなニーズが顕在化しつつあり、自動車メーカーはこれに真正面から対応しないと市場で事業活動が出来にくくなりつつあることです。

同じ国内自動車メーカーの中で、トヨタとホンダは、いち早くHVの開発・商用化に目処をつけて、国内だけでなく、米国市場でも売上拡大をしています。

米国は、シェールガスやシェールオイルの産出で、ガソリンがぶ飲み車と言われる大型車の販売が好調です。中東などからの石油に対する依存度が大きく下がりつつあり、自動車の燃費に対して関心をもつ必要が低下していることによります。

一方で、米国市場には、環境問題に対して大きな関心をもっている顧客も数多く存在しており、HVに対する需要は高く、トヨタやホンダの乗用車が売れています。

ASEANを中心とする東南アジア市場をみると、乗用車に対しては、低燃費と環境対応の両方のニーズが年々高まっています。

ASEANでは、一部の国を除いては、石油や天然ガスを輸入に頼っています。石油や天然ガスの価格は、高止まりしており、これらの輸入に要する金額は、日本と同じように貿易収支に悪影響を与えています。

また、ガソリンエンジン車が数多く市場に出回ったことで、排気ガスから生じる環境悪化が深刻化しています。バンコクやジャカルタなどの大都市での、大気汚染は深刻度を増しています。

私は、先日バンコクに行きましたが、大気汚染の実態を再確認しました。

自動車メーカーは、大気汚染に対して対応策を出す必要があります。基本的には、石油の使用量を徹底的に低くする、あるいはゼロにする対策車を提供することが社会的責務であり、そうしなければ事業存続が出来なくなる社会・事業環境になりつつあります。

現時点で実用的な対応車が、HVです。また、HV後の解決策が水素自動車あるいは、燃料電池車が本命とされています。

政府は、2015年以降トヨタやホンダなどと協力して、国内で圧縮水素を燃料として使用する燃料電池自動車等の圧縮水素自動車の本格的な普及の開始を計画しています。

このように、水素自動車や燃料電池車の商用化も具体化しつつ中で、HVをもっていない自動車メーカーは、市場から淘汰される可能性があります。

軽自動車自体にも、TPP交渉による米国からの規制変更要求や、自動車税の増税などの事業環境が変わることが予想されています。

今回、スズキがHVの自社開発・商用化を決めた背景には、上記の状況があるとみます。スズキの決定は、企業が現在の主力商品・事業が堅牢な間に、次の新規事業機会を得るための準備に入ることに相当します。

スズキのやり方は、中小企業が次世代主力事業を立ち上げるための、典型的なパターンの一つになります。

電気自動車(EV)が次世代環境対応車の切り札になることには、疑問を持っています。充電後の走行距離の短さと充電に要する時間の長さなどから、現在のガソリンエンジン車のように大きく普及するとは、考え難いことによります。

HVが当面の実用的な解であり、2015年以降に上記しました水素自動車や燃料電池車の普及が加速する可能性があることもEV普及に対する疑問の理由になります。

この視点からみますと、スズキがHVを次世代環境対応車として位置付けたことは、合理的です。スズキがやる以上、どの自動車メーカーより低コストで付加価値の高いHVを早期に商用化することを大いに期待します。

今後のスズキの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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