渋谷達紀『著作権法』、書評 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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渋谷達紀『著作権法』、書評

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著作権法/中央経済社
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著作権法

7,350 単行本

 

最新の裁判例に言及されているのが良い。

 

通説と異なる独自の点

・美術の著作物(絵画、彫刻)について、固定を要件と解している。この解釈の不都合な点は、彫刻を設計図にしたがって固定した場合や増製した場合、固定前に、彫刻の著作物が存在しないことになるが、それでは結論が妥当ではない。また、固定後に美術の著作物の原作品が毀損・滅失した場合にも美術の著作物は存在しているとのバランスをどうとるのか、疑問がある。

・建築の著作物について、建築物の完成・固定を要件と解している。この見解では、設計図にしたがって建築の著作物を建築する前は、建築の著作物は存在しないこととなるが、結論が妥当であろうか。著作権法2条1項15号ロがある建築の著作物については、条文上の根拠があり、この規定をみなし規定と解するから、説明可能であろうが、そのような条文の存在しない他の著作物について、どのように説明するのであろうか。

・写真の著作物について、固定を要件と解している。この見解は、現像前の写真、デジタルカメラで撮影し、現像する前にも、固定されていないと解している。そうすると、現像前の未発行の写真については、保護が与えられないこととなるが、結論が妥当であろうか。

なお、旧法では、写真の著作物について、固定を要件としていたが、現行法である。もっとも、同じ解釈を取るべきといえるかは疑問である。

・ゲームソフトを映画の著作物ではないと解している。

 渋谷達紀 (2013/2/16)

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