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日経記事;『トヨタ、中国2社とハイブリッド開発  国産化支援で市場開拓』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月21日付の日経新聞に、『トヨタ、中国2社とハイブリッド開発  国産化支援で市場開拓』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車は中国第3位の第一汽車集団(吉林省)、同6位の広州汽車集団(広東省)とハイブリッド車(HV)を共同開発する。これまでトヨタは日本から基幹部品を輸出し、組み立てるだけにとどめてきた。

今後は基幹部品や制御技術の開発・生産まで現地で手掛け、中国の「HV国産化」に協力する。出遅れていた世界最大市場で得意のHVを軸に巻き返す。

広東省広州で21日に報道関係者向けに公開する「中国(広州)国際汽車展覧会(広州モーターショー)」で表明する。

トヨタは第一汽車と「一汽トヨタ」、広州汽車と「広汽トヨタ」の2つの合弁会社を持つ。両社の研究開発部門と連携し、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせて、燃費性能を高めるHV技術を共同開発する。

現地の道路事情や中国の消費者が好む乗り心地に合わせた制御技術を盛り込み、中国専用のHVとする。2つの合弁会社の工場で生産、2015年に販売する。

これまでトヨタは中国へのHV技術の流出懸念からバッテリーやモーターなど基幹部品を日本から輸出、現地の合弁会社で組み立てていた。このため「プリウス」の車両価格は20万元(約320万円)と、中国市場におけるガソリン車の普及価格帯の2倍に膨らんでおり販売低迷の原因になっていた。

今回の提携強化によりHVの中核となる制御技術のノウハウを公開するほか、バッテリーも現地の民営電池メーカーと共同開発・生産する。上海市郊外にこのほど開設した研究開発拠点を核に合弁メーカーとの技術交流を一段と深め、安価な部品を調達し車両価格を引き下げる。

深刻化する大気汚染やエネルギー問題を解決するため、中国政府は今年5月に20年までの新しい燃費規制を導入した。電気自動車(EV)や家庭で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)に補助金を付けて、20年までに500万台普及させる目標も打ち出している。

しかし、充電施設の整備が遅れ、12年のEV、PHVの販売台数はそれぞれ1万台超、1500台程度にとどまっている。EVやHVなどエコカー分野で地場メーカーも育っていない。

トヨタは、エコカーの普及の遅れや、自国の環境技術開発に悩む中国政府にアピールする形で現地化を推進する。これまで基幹技術の開発は社内にとどめてきたが、その方針を転換。世界最大の2000万台市場を本格開拓する。

すでにトヨタは富士重工業やマツダといった国内勢にHV技術を供与している。他社との協業を広げることでHVシステムを量産し、車両価格の引き下げにつなげる戦略にかじを切った。環境技術の育成が課題になっている中国勢とも組むことで、HVの低コスト化を一段と進める。』


本日の記事は、トヨタ自動車が現時点では最新技術の一つとなっている、ハイブリッド車(HV)の中核技術・ノウハウを中国側に提供して、中国市場で勝ち組になる選択を行ったことについて書いています。

記事にありますように、今までトヨタ自動車は、HVやプラグインハイブリッド車(PHV)の中国側への技術・ノウハウ提供には慎重でした。

これは、中国側にHVやPHVの中核技術・ノウハウを提供すると、コピー商品を廉価に大量生産することで、最終的には中国企業に市場シェアを奪われる国内企業の経験を多く見てきたことによります。

従って、今までのトヨタ自動車は、国内で作ったHVを中国に輸出するやり方で対応してきました。必然的に輸入車であるHVの販売価格は、相対的に中国内生産車と比べて高くなります。

記事には、「プリウス」の車両価格は20万元(約320万円)と、中国市場におけるガソリン車の普及価格帯の2倍に膨らんでいるとされています。

しかも、中国政府の意図として、HVには補助金もつけていませんので、顧客には手が届きにくい状況になっています。

中国政府は、トヨタ自動車とHVの中国展開について交渉を重ねてきました。HVに補助金をつけないのは、トヨタに対する圧力の意味もあります。

一方、トヨタは、現時点で最大の自動車市場である中国での参入が出遅れて、米GMや独フォルクスワーゲン、日産自動車などに比べて6%という低いシェアにとどまっています。

今回のトヨタによるHVやPHVの中核技術・ノウハウ提供・開示は、中国市場でのシェア拡大を最優先に決断したと考えます。

この決断は、トヨタにとって苦渋のものであると推測します。一般的に中国企業は、知財権などに価値を見出さない傾向にあります。

他社が開発・実用化した技術・ノウハウを無償でそのままコピーして、大量生産で安く製造・販売することで、事業拡大してきた経緯があります。

しかし、トヨタが決断した以上、中国でHVやPHVの事業を急拡大して、中国市場だけでなく、他の新興国市場でも、当該国の要求する仕様・機能・性能・価格などにあったHVやPHVを製造・販売することを期待します。

中国内で生産・販売すると、大市場相手の事業展開ができますので、HVやPHVの開発・製造コスト削減が可能になります。

トヨタには、中国展開で得られるノウハウや低価格を最大の武器にして、今までHVやPHVの普及が進んでいない国での販売拡大を実現できる可能性があります。

但し、トヨタには当然のごとく、HVやPHVの中核技術・ノウハウの無意味な流出を防ぐための最大限努力することが求められます。

トヨタやホンダのHV、PHVの中核技術・ノウハウは、明らかに世界最先端となっています。また、現時点では、HVやPHVは当面の主力環境対応車としての地位が高まっています。

環境対応車としては、水素自動車(燃料電池自動車)がHVやPHVの次世代車として考えられています。

日本政府は、2015年から水素ステーションなどの建設も行いながら、水素自動車の本格普及を目指すための施策を打ち出しています。

トヨタやホンダなどの国内自動車メーカーも積極的に水素自動車の開発・実用化を進めており、2015年に市場導入する計画です。

水素自動車は、排気ガスを出さない点で究極の環境対応車とされます。国内自動車メーカーが現在のHVやPHVクラスの販売価格帯で、水素自動車を提供できれば、需要拡大することは確実です。

トヨタが中国企業との提携で、廉価版のHVやPHVで事業拡大しながら、次のステップとして最先端の技術・ノウハウを集めた水素自動車での新市場開拓の実現を大いに期待します。

トヨタやホンダなどの国内自動車メーカーが水素自動車の開発・実用化に成功すれば、本格的な環境対応車としての需要が日欧米市場で高まります。

今回のトヨタの中国展開に対する施策は、次世代環境対応車へのやり方も含めて総合的な見地から意思決定されたと推測します。

今後のトヨタの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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