米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(3) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?3(3)

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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(3)(第3回) 
〜組み合わせ自明に関する教科書的事例〜

   Agrizap, Inc.,
   Plaintiff-Cross Appellant,
     v.
   Woodstream Corp.,
   Defendant-Appellant.


河野特許事務所 執筆者 弁理士 河野英仁 2008年6月5日


3.CAFCでの争点
組み合わせが自明といえるか?
 本件特許の出願日の1年以上前に権利者自身が販売していた駆除装置”Gopher Zapper”(対応U.S. Patent No.5,269,091)が主引例(以下、先行技術1という)となった。先行技術1の内容は以下のとおりである。図3は先行技術1の組み立て構造を示す斜視図であり、図4はスイッチの断面構造を示す断面図である。



図3 先行技術1の組み立て構造を示す斜視図



図4 スイッチの断面構造を示す断面図

 矩形状の導電性板15は小動物の重みにより上下方向へ移動する。導電性板15の下側には電極20,21が対向して配置されている。電極20,21は通常鉛直方向に離間しているが、小動物の重みにより導電性板15が上側の電極20を鉛直方向に向けて押すことになる。これにより、電極20,21が接触し、本件特許と同様に導電性板15に高電圧が印加されることになる。

 すなわち、先行技術1は、機械的なスイッチにより高電圧発生器を作動させる。その一方で、636特許は電気的なスイッチにより高電圧発生器を作動させる。それ以外の構成は同一である。
 その他の先行技術は以下の2つである。
先行技術2 U.S. Patent No.4,048,746(以下、Dye特許)
先行技術3 U.S. Patent No.4,200,809(以下、Madsen特許)

 Dye特許はネズミ等の小動物を駆除するための装置を開示している。図5はDye特許の装置概要を示す説明図である。小動物32が2つの分離した接触点13,14に触れた場合に、小動物が抵抗となって内部回路が高電圧発生器を作動させ、接触点13,14に高電圧が供給される。


図5 Dye特許の装置概要を示す説明図

 Madsen特許は、小動物を対象とするものではないが、2つの電極が露出した牛追い棒を開示している。

 主引例である先行技術文献1に、Dye特許またはMadsen特許を組み合わせて、636特許の構成とすることが、自明か否かが争点となった。 (第4回につづく)