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村田 英幸
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(弁護士)
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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日経記事;『液晶,シャープと明暗ジャパンディスプレイ 上場前倒し 寄り合い所帯を強みに』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月8日付の日経新聞に、『真相深層 液晶、シャープと明暗 ジャパンディスプレイ上場前倒し 寄り合い所帯を強みに』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業が統合して誕生したジャパンディスプレイが2013年度内に上場する方針を固めた。当初計画より2年前倒しのスピード上場となる。同じ寄り合い所帯のエルピーダメモリは経営破綻、ルネサスエレクトロニクスは赤字が続く。ジャパンディスプレイの経営が軌道に乗ったのは、母体企業とのしがらみを断ったことが大きい。

今年6月、ジャパンディスプレイの主力工場である茂原工場が稼働した。7割の株式を保有する政府系ファンド、産業革新機構からの出資金を元にパナソニックから買収した拠点だ。

「少しでも早く稼働させろと言い続けた」とジャパンディスプレイの大塚周一社長は言う。パナソニックは茂原工場をテレビ向け液晶パネルの生産拠点とした。スマホやタブレット(多機能携帯端末)に使われる中小型向けにするには製造装置の入れ替えが必要。その作業を急ピッチで進め、当初計画より半年前倒しでの稼働にこぎ着けた。

大量受注逃さず

突貫工事を進めたのはアップルとサムスンのスマホ2強を切り崩そうと、旗艦モデル量産を計画していた華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などへの供給を狙ったからだ。

大塚社長は経営破綻したエルピーダメモリの元最高執行責任者(COO)。資金不足で増産投資のタイミングを逃した過去の苦い経験を生かし大量受注を取り付けた。

14年3月期は売上高の約15%が中国向けになる見通し。「スマホメーカーはまずジャパンディスプレイに発注するようになった」とスマホメーカー幹部は言う。2強に偏らない体制は前倒し上場の追い風になっている。

発足当時は「各社の低採算部門の寄せ集め」といわれた同社。実際、日立は画面コントラスト、東芝は高精細パネル、ソニーはタッチパネルに強みを持っていたが、競争力は乏しく、低いシェアに甘んじていた。

1年余りで評価が一変したのは、この「寄り合い所帯」である面が実は大きい。画面の明暗をくっきりしたい、タッチパネルの操作性を高めたい……。スマホメーカーは製品の顔であるパネルをどう特徴づけるかにこだわる。ジャパンディスプレイはニーズに応じて3社の看板技術の組み合わせを自在に変え、供給先の多様化を実現している。

NEC、日立製作所、三菱電機のDRAM事業が統合したエルピーダメモリ、同じ3社のシステムLSI(大規模集積回路)事業などを集約して誕生したルネサスエレクトロニクス。経営破綻や赤字続きの原因は統合後の母体企業の関与にある。たすき掛け人事が続き、拠点削減でももめた。

意思決定簡素に

産業革新機構はこれを反面教師にして、ジャパンディスプレイに出資する3社としがらみのない大塚氏を社長に指名。社内取締役を2人だけにするなど簡素な意思決定の仕組みが、「寄り合い所帯の強み」を支える。

中小型液晶でジャパンディスプレイに次ぐ世界シェア2位のシャープ。関係者は「あの時、統合に参加していれば」とつぶやく。統合会社を作る際にはシャープにも声がかかったが、「3社より自社技術に自信があって乗らなかった」(同)。

そのシャープは昨年末、従来の液晶パネルに比べ消費電力が8割以上少ないイグゾーを発売した。「再建の切り札」(高橋興三社長)と位置付け、自社のスマホやタブレットだけでなく、外販に力を入れるが振るわない。富士通のパソコンやアップルの「iPad(アイパッド)」などには供給しているが、期待を寄せるスマホ向けの外販実績は今のところない。

「従来パネルよりも2倍以上の価格が敬遠されている」とパネル装置メーカー幹部は言う。安定した生産が難しいことにも原因があるようで、「量産開始を1年は遅らせるべきだった」とドイツ証券の中根康夫シニアアナリストは指摘する。

高い技術力へのこだわりが裏目に出ているシャープに対し、ジャパンディスプレイは需要家動向に応じてパネルの性能と価格を変える。新興国で台頭する割安なスマホ向けには「海外企業への生産委託も検討している」(大塚社長)。柔軟性が中小型液晶パネル2強の明暗を分けている。』


本日の記事にありますジャパンディスプレイについては、当該会社の設立時に、今後の成長期待を含めて、ブログ・コラムを書きました。

その後、常にジャパンディスプレイの動きに注目してきました。

液晶テレビ分野では、国内家電メーカーは、韓国、台湾、韓国勢に価格競争力で負けてしまい、シェアや売上を大きく落としました。

その結果、国内勢は大幅赤字状態に陥り、大規模な集中と選択を行うことになり、一部メーカーではまだ終了していません。

このような事業環境下で、ジャパンディスプレイは、日立、東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業の統合事業として、再出発しました。

この動きを支えた機関の一つが、産業革新機構です。新会社に出資すると共に、経営に参画して事業再生の支援をしています。

ジャパンディスプレイ発足時に最も関心を集めたのが、新会社の寄り合い所帯でした。これは、過去の寄り合い所帯経営の多くが失敗したことによります。

失敗の多くが新会社の組織のあり方によります。一般的に多くの国内企業は、寄り合い所帯の新会社を運営するために、役員や管理職のたすき掛け人事を行うことになります。

これは、新会社の組織運営をスムーズに行うための生活の知恵とも呼ぶべきもので、出身企業のしがらみを残しながら、新会社の組織運営を行うことで新組織の維持運営を時間をかけてなじませていくやり方です。

市場が右肩上がりの拡大期であり、競争が激化していなければ、時間をかけて新会社の組織運営になじんでいくやり方は、有効です。

しかし、市場の変化が激しく、海外企業との競争が激しい市場環境では、このたすき掛け人事のようなやり方は、極めて不合理なものになります。

寄り合い所帯で出身企業のやり方や人事政策がたすき掛けでは、迅速かつ有効な意思決定や実行ができないことは明確です。

これは、最近の多くの寄り合い所帯経営が、上手くいかなくなっていることで如実に示しています。

ジャパンディスプレイの場合、新社長は統合する3社とは直接関係のない大塚氏を社長に迎えています。

大塚さんは、米テキサス・インスツルメンツ(TI)、ソニーを勤めたあと、エルピーダの経営幹部となった経験をもっています。

ソニーの勤務経験はありますが、統合前にはソニーにいませんでした。また、役員をみますと、本日の記事にありますように、代表取締役社長の大塚さんと、取締役の有賀さんの二人のみで、残りの役員は全員非常勤です。ちなみに、有賀さんはソニーモバイルディスプレイの代表取締役社長でした。

現時点での、資本金 3275億円、従業員数 約6200人規模の企業としては、取締役二人のみというのは、異例の少なさです。

このことは、ジャパンディスプレイの意思決定力が、今までの寄り合い所帯経営と比べて格段に速いことを示しています。

ジャパンディスプレイの競合相手の、海外勢は即断即決的な速さで経営を行っていますので、現在のようなシンプルな組織運営を維持強化できれば、勝ち組になる可能性が高くなります。

もともと、三社はそれぞれ液晶ディスプレー技術で異なった強みをもっていますので、会社運営を効率的に行えれば、商品競争力が強まることになります。

ジャパンディスプレイは、本日の記事にありますように、出だし好調のようです。発足時は、寄り合い所帯経営の弱みについて、大きな関心を集めました。

しかし、現時点ではジャパンディスプレイの経営には、寄り合い所帯による弊害は少ないとの印象をもちます。

今回のジャパンディスプレイのやり方が、今後の国内企業の統合の一つのひな型になることを期待します。

現在、多くの国内企業がM&Aを事業拡大や新規事業立上などの施策の一つとして活用しています。M&Aでは、買収後の組織統合・運営を如何に上手く実行できるかが、成否を分けます。

今までの国内企業のやり方では、組織統合・運営を上手く行える企業が少なかったのですが、最近、中小企業の中にも、M&Aを有効に活用して、事業拡大を行えるところが増えています。

今後、M&Aや事業統合で事業の強化・拡大を検討している企業にとって、ジャパンディスプレイのやり方は、参考事例になります。

この視点から、今後ともジャパンディスプレイに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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