日経記事;『都市型鉄道 日本流を輸出 JR東・丸紅など タイで受注、定時運行ノウハウ提供』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『都市型鉄道 日本流を輸出 JR東・丸紅など タイで受注、定時運行ノウハウ提供』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月3日付の日経新聞に、『都市型鉄道 日本流を輸出 JR東・丸紅など タイで受注、定時運行ノウハウ提供』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東日本旅客鉄道(JR東日本)は新興国向けに都市型鉄道システムの輸出を始める。第1弾として丸紅、東芝との3社連合でタイの都市型鉄道を受注した。車両から信号、送配電網、メンテナンスまでのパッケージ型輸出となる。

世界の鉄道インフラ市場は2020年までに現状比2割増の年22兆円となる見通し。JR東日本は定時運行に必要なノウハウを提供しアジアの鉄道需要を取り込む。

新興国では都市機能の拡充と環境対策から都市型鉄道の整備が相次ぐ。日本政府も鉄道をインフラ輸出の柱の1つと位置づけており、JRなど鉄道関連企業にとって新幹線技術を生かす高速鉄道と並ぶ有力な輸出分野となっている。

人口の減少で国内事業の成長が期待できない中、JR東日本は鉄道システム輸出を有力な事業に育て、将来は鉄道運行の請け負いまで手がけたい考えだ。

今回、受注したのはバンコクメトロ公社(BMCL)が16年の運行開始を目指すバンコク市内の全長23キロメートルの新路線。受注額は400億円のもよう。車両63両のほか架線、信号システム、16駅の駅設備、車両基地などのほか、10年契約で各設備のメンテナンスも手がける。

JR東日本の社員を中心に20人前後のスタッフが現地に常駐、整備士などの人材を育成するなど安全運行に必要なノウハウを提供する。

車両はJR東日本の子会社が製造し、送配電網など機器は東芝が調達する。丸紅はプロジェクト管理を請け負う。

JR東日本は海外では鉄道の事業化調査などを受注してきた。今回は鉄道運行に必要な機器やシステムを初めて輸出する。

日本の鉄道輸出は車両などの単品輸出が多かったが、今後はJRなどの企業連合が日本の強みである正確で安全な運行技術まで一括提供するケースが増える見通し。

JR東日本はこれを機にマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道プロジェクトの受注も目指す。他の鉄道会社でも東海旅客鉄道(JR東海)が台湾新幹線向けに自動列車制御装置(ATC)などの設備刷新で技術供与をした。東京メトロはベトナム・ハノイで計画が進む都市型鉄道に協力している。』


世界市場での社会インフラ事業は、国内企業にとって大きな成長が期待できる分野です。特に、経済発展中の新興国市場では、確実な需要が見込まれます。

私は、2週間前にタイのバンコクに出張してきました。4年前に訪問したときと比べて、バンコクは近代都市化が進んでいました。

多くの高層ビルが立ち並び、道路は整備され、路上にいる浮浪者の数も減っていました。タイが豊かになっていることを改めて再確認しました。

しかしながら、多くの自動車やオートバイが道路を埋め尽くし、交通渋滞が常態化していることと、排気ガスなどによる大気汚染の深刻化については、変化がありませんでした。

インドネシアのジャカルタ、フィリピンのマニラ、ベトナムのホーチミンやハノイなども同じ状況です。

これらの都市での、交通渋滞や大気汚染の悪影響を低減するためには、通勤用の電車施設を整備することが有効であることは、間違いありません。

先日、トルコのイスタンブールで大成建設などの国内企業が建設を進めていた、ボスポラス海峡横断鉄道トンネル建設工事が完成して、安倍首相も訪問して完成式典が行われました。

この海底トンネル工事は、最も難しい工事の一つとされており、大成建設の総力をあげての支援や努力で成功したと言っても過言ではありません。

少々残念だったのは、この海底トンネルを走る電車の車両は、韓国製であることです。日本人としては、国内企業の車両が利用されることを期待するのは、当然です。

社会インフラ事業を国内企業の成長分野に取り込むには、電車の車両や運行管理のノウハウなどの総合力をアピールして、プロジェクト全体を抑えるやり方が必要になります。

発注する政府や現地企業などの関係者に、電車車両の性能・販売価格、車両の維持運営コストやノウハウ、消耗部品の供給体制、電車運行システムの開発・維持などの全ての面での優位性を明確化して、国内企業の総合力を理解してもらうやり方が必要になります。

日立製作所は、今年新たに英国の高速鉄道の更新に伴って270両の車両を受注しました。昨年7月に受注した車両(596両)の追加分として英国運輸省に納入する。保守サービスを含む受注額は12億ポンド(約1824億円)とのこと。

日立は、車両の製造と27年半の保守サービスを提供し、2016年には車両の製造工場を作ります。
工場新設は、英国での雇用創出になると共に、消耗部品などの供給体制も強化されますので、現地で電車車両の産業集積が起こります。

日立のやり方は、今後の社会インフラ事業を世界市場で展開するための施策の一つとして有効です。

英国の場合、電車の走行運営は多くの経験とノウハウをもっていますので、国内企業の支援は必要ありません。

しかし、タイなどの新興国では、電車をダイヤ通りに、かつ、安全に維持運営・運行するノウハウをもっていない場合があります。

本日の記事にあります、JR東日本、丸紅、東芝の3社連合でバンコクの車両提供、電車運行の維持運営まで提供するプロジェクトは、現地のニーズを取り込んだ総合力で勝ち取ったことになります。

車両単体の販売価格では、国内企業は韓国や中国企業に負ける場合があります。国内企業も受注する車両台数によっては、現地生産や現地での部品供給などで、販売価格を下げる努力は、当然のごとく必要になります。

同時に、国内企業は、電車車両の販売価格だけでなく、電車を安全に、かつ、ダイヤ通りに維持運営・運行することが、顧客満足度を高めると共に、電車システムの維持コストを効率的におさえられるメリットなどを説明して、総合力で受注につなげる努力が必要になります。

受注車両数が多ければ、当該車両の現地生産も可能になり、相手国には雇用創出と生産ノウハウ蓄積につながるメリットがあります。

この視点からみますと、上記JR東日本、丸紅、東芝の3社連合や、日立製作所のやり方は、今後の電車車両提供に関する社会インフラ事業推進の参考事例になります。

車両単独商品の販売価格では、国内企業は韓国や中国企業に比べて不利な状況になったとしても、電車の維持運営・運行という総合力や、現地生産などの実現などを組み合わせて、優位性を明確化して当該案件を取りに行く姿勢が求められます。

このやり方は、電車だけでなく、他の社会インフラ事業で勝ち組になるために重要であり、必要になります。

電車走行の維持運営・運行は、「お・も・て・な・し」に代表される国内企業のソフトパワーの一つになり、強みになっています。

国内の電車走行の維持管理・運用・運行の安全性や正確さが証明しています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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