日経記事;『ホンダ 中核事業に集中 エコカー/新興国 太陽電池から撤退 電子部品子会社日本電産に売却』考察 - 事業・企業再生戦略 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ホンダ 中核事業に集中 エコカー/新興国 太陽電池から撤退 電子部品子会社日本電産に売却』考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月31日付の日経新聞に、『ホンダ 中核事業に集中 エコカー/新興国 太陽電池から撤退 電子部品子会社日本電産に売却』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ホンダは30日、自動車向け電子制御部品子会社、ホンダエレシス(横浜市)の全保有株式を日本電産に売却すると発表した。販売が低迷していた太陽電池事業からの撤退も決めた。

今後はエコカー開発や新興国を中心とした世界市場の攻略に経営資源を集中する。2016年度の世界販売600万台達成に向けて、部品コストの削減など事業構造の改革を急ぐ。

エレシスは衝突被害軽減システムやアンチロックブレーキなど安全分野に強い。消費者の安全への関心が高まるなか、車の差別化を図る上でも重要な技術領域だ。ただ、300億円程度の売り上げの95%をホンダ向けが占めている。

ホンダの岩村哲夫副社長は同日、都内で開いた13年度の第2四半期決算会見で「日本電産が電子制御部品を世界に広く販売すれば、コストが安くなり、我々の仕入れにも利点が出る」などと売却の理由を語った。

エレシスはホンダが60.8%を出資し02年に設立。NECのほか、ホンダグループのショーワと日信工業も出資しており、全社が14年3月末までに日本電産に株式を売却する。

自動車部品の市場では部品同士を組み合わせて一体化し様々な車種に使うモジュール化が進んでいる。モーターに強い日本電産が電子制御技術を取り込んでモジュールを開発し、自動車メーカーなどへ量販すれば、ホンダは子会社から仕入れるよりも低コストでの調達が可能になる。製品力の向上も期待できる。

ホンダは既に、20年に独ボッシュなど世界部品大手30社程度への発注比率を11年の16%から2倍以上の40%に引き上げる施策も打ち出している。今回のエレシス売却もこうした調達体制の見直しの延長線上にある。

ホンダは同日、子会社ホンダソルテック(熊本県大津町)を来年3月に解散し、太陽電池事業から撤退することも発表した。ホンダは2006年に参入。独自開発した銅とレアメタル(希少金属)を原料とする太陽電池を製造していた。

再生可能エネルギーの全量買い取り制度で日本の太陽電池市場は拡大したが、価格競争が厳しく販売が低迷していた。来年2月で受注を終了し生産を終え次第、工場を閉鎖する。

ホンダの12年度の世界販売台数は約400万台。これを16年度に12年度比5割増の600万台にする計画。販売増に向け、インドでは14年に生産能力を倍増させるなど新興国での事業拡大を図る。

新興国で人気の低価格車でも収益を確保するには一段のコスト削減が欠かせない。燃料電池車やハイブリッド車(HV)など費用のかかるエコカー開発に注力する必要もあり、収益力強化が大きな課題となっている。』


本日の記事は、現時点で売上及び利益も高水準にあるホンダが集中と選択を行うことについて書いています。

ホンダの集中と選択は、本業である自動車事業関連に経営資源を絞って投資効率を上げるやり方になります。

高収益下での集中と選択は、守りより積極的に攻める姿勢を出しやすくなります。また、現状の円安状態は、自動車メーカーにとって収益が出やすい事業環境にありますので、合理化効果はさらに高まります。

ホンダ、トヨタ、日産自動車などの国内自動車メーカーの経営状況は、全般的に良好です。円安、米国市場の回復などの後押しがあることによります。

しかし、今後の新興国市場での海外メーカーとの競合、ハイブリッド車や電気自動車の開発・商品化、さらに、次世代エコカーの本命である水素自動車の開発・実用化など、国内自動車メーカーが直面する課題は山積しています。

これらの課題を解決していくには、巨額の開発コストを必要とします。

トヨタの場合、自動車の年間の販売・生産台数は1,000万台と世界最高水準にあり、世界の自動車メーカーの中では最大の資金力をもっています。

そのトヨタでさえ、水素自動車の開発・実用化を1社単独で行うことは難しく、例えば、独BMWなどと提携して2015年の市場導入を目指しています。

ホンダの場合、現状の年間販売台数は、400万台であり、トヨタの半分以下です。また、ホンダは今まで他社と連携せず、1社単独での開発・実用化にこだわってきました。

しかし、水素自動車の開発・実用化の場合、巨額投資が必要であり、1社単独で行うにはリスクが高いので、今年、米GMとの提携を発表しました。

GMは電池の化学反応の分野、ホンダは電池のコンパクトな設計などで強みを発揮するとされています。

ホンダは、世界市場での販売台数を年間400万台から600万台に上げる計画をもっています。この計画を実現するには、新興国での販売増加が必要になります。

新興国で販売台数を伸ばすには、現地顧客の要求する仕様・機能・性能・価格などに合致した自動車の開発・実用化がポイントになります。

開発コストだけでなく、製造コストの削減が必要不可欠になります。

既にホンダだけでなく、トヨタや日産自動車などの国内自動車メーカーは、系列企業からの部品調達比率を下げて、世界中の部品メーカーからコストに見合った部品を購入する方式に切り替えています。

新興国市場で販売台数を上げるには、コストパーフォーマンスの良い自動車を生産・販売する必要がありますので、柔軟な部品調達は本質的に必要な選択肢になります。

ホンダの今回の決定の背景には、自前主義からの脱皮を図る姿勢が出ています。モジュール化された自動車部品を自社内で作るよりも、日本電産のような専業メーカーからから購入した方が、安く調達できるとの読みになっているとのこと。

モジュール化された自動車部品の多くは、汎用化していきますので、自動車メーカーが自社生産にこだわっていると、価格競争力をもつことは難しくなる可能性が高くなります。

かっての国内家電メーカーが自社技術・生産にこだわって、コスト競争力を下げた一因になっていることが実証しています。

ホンダの決定は、家電メーカーの轍を踏まない判断とみます。日本電産のような電子部品専業メーカーとの連携を深めることがホンダにとって重要になります。

さらに、今回の集中と選択は、自動車事業に直接関係ない、太陽電池事業から撤退することをきめています。

この本業回帰のやり方は、賢明であり、合理的です。

今後、ホンダが世界市場での年間売上600万台の実現と、水素自動車などの開発・実用化に向けてシンプルで明確な経営姿勢の維持強化を期待します。

今後もホンダの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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